第3話

 倒れていた。

 自販機の前。

 裏道。

 駆け寄って抱き起こして。

 伸びてきた手を、握る。

 彼だった。あのときのままの、彼がいる。でも、倒れてる。

 彼の温もり。ほとんど感じない。冷たかった。手も。握り返す力は、かなしいぐらい、小さかった。


「よぉ。来てくれたんだな」


 そう言って、笑った、ような、気がした。

 それだけで。


「ねぇ」


 それっきり。


「ねぇ。起きてよ」


 起きない。


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