第9話 森に戻った俺様は駆逐するのだ。
「おおー!お前達元気だったかー?」
「「ギャアアア!」」
森に行く前にユウの所へ行って約束の報酬を貰った俺はそれからすぐにゴブリン達のいる所までやって来た。
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「まさかそのまま帰ってこないとかないよね?」
「あ、当たり前だろ!?キチンと約束は守るさ!!」
「………じゃあ念のために【これ】渡しとくから、僕の手伝いの準備できたら連絡して?
確か1週間で準備できるって言ってたよね?」
「お、おう!でももしかしたらこの町から遠いところにしか求めてるゴブリンはいないかもしれないからなあ!!1週間以上は掛かるかもしれないなあ!?」
「大丈夫だよ?どうせこの辺にはワイバーンはもういないし、時間が掛かりそうなら【ドラグーンダンジョン】の近くの町で待ってるからキチンと来てね?遅くても1ヶ月以内には来てほしいな。
僕もそろそろ国に帰らなきゃいけないからさ?」
「別に俺の事待ってなくても良いぞ?せっかくなら違う人に頼んでも…」
「ヴァリーよりも上手にワイバーンを制圧出来る人がいるならお願いしたいけど心当たりある?
………ないよね?めんどくさくなったのか知らないけど………
来なかったらどうなるか分かるよね?」
「必ず行きます!」
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………この森に来る前のユウとのやりとりだ。
ユウからは前々から手伝っていた分の報酬である【スキルの宝玉】を貰った。伊達にお偉い出の子供じゃないな。レアなスキルの宝玉も多数あり、他にも大事なマジックアイテムを融通してもらえた。
次回のワイバーンのテイムの報酬もスキルの宝玉をお願いしたが手伝いがめんどくさくなってきたし、【この町にいたら嫌な予感】がするので今日で出ていく予定だ。
町から出ていくのは確定だけど、ユウの手伝いはしてやるか。何処にいても連絡が取れるようにと対になっている【念話機】も渡されたから準備が出来たら連絡しよう。
べ、別にユウが怖いとかじゃない!!1度アイツを怒らせて大変なことが起きたのがと、とととと、トラウマになんかなってない!!
………それはさておきだ。
俺が帰って来て嬉しそうにするゴブリン達。ゴブリンの死体が数体あるので何度か戦ったようだが別段外傷はなさそうだ。
「よし、まずはお前達に名前を付けよう」
「「ゴギャアアアア!」」
名前がないのも可哀想だしそっちの方が愛着もわく。それに名前を付けたゴブリンと付けないゴブリンで比較した時にも付けた方が強くなる傾向があるのだ。
「んー………今回は色でいくか。お前はアカ、アオ、クロ、シロ………そしてお前は功労賞だからバイオにしよう!」
「グギャ!!」
功労賞ゴブリンは今回の立役者だから少しお洒落に【バイオ】。そして他のは今後もゴブリンは増えてくので簡単な名前にした。イチイチ考えるの大変なんだよ。
「バイオはこのままいけばリーダー格にする予定だから頑張れよ?」
「グギャ!!」
スキル保有数が多いゴブリンはバイオだけだからそもそものポテンシャルのあるゴブリンをテイムしていきたい。
五つのスキルを持てるホブゴブリンは望みすぎだけど、出来れば4つは持てるホブゴブリンじゃないとちょっとキツイ。
「それようにユウから【鑑定紙】も貰ったから1000体までなら確認できる。」
ユウからはスキルの宝玉の他に鑑定紙という使用すればモンスターの能力が分かるアイテムも貰った。キチンとした鑑定紙なら結構な値段がするが、俺が知りたいのはスキル保有上限数のみ。それだけを知る鑑定紙は割りとお手頃な物なので大量に手に入るんだってユウが言っていた。
これで最初の段階でスキル保有数がどれぐらいなのかが分かる。
「よし、今日も仲間達を迎えに行きますか!! 」
「「ギュオオ!!」」
「所で、残してたホブゴブリンと魔石はどうしたんだっけ?」
見たところゴブリンの死体は転がってるが、ホブゴブリンの死体はちょっともない。ゴブリンは腹が減れば共食いもしてしまうようなアホだから食べたんだろう。それにゴブリンの死体も心臓の所が抉られていて魔石が全て無くなってるようだな………
「………おい。誰が魔石くった?」
「「ギュオ!!」」
「ギョギョ!?」
バイオ以外のホブゴブリン達が一斉に指をさす。
バイオがホブゴブリンとゴブリンの魔石を全部食べてしまったらしい。そりゃそうか。1番強い奴が食べれば強くなると分かる魔石を食べるのは集団の中なら理解できることだ。
「………そうか。バイオが全部食べたなら仕方ないな。この中ではお前が1番有能だしな。」
「ギョギョオ!!ギョオギョオギョギョ!!!」
バイオはレッドキャップが持っていたナイフを渡してたがそう言えば魔石を食べてはダメだと言うのを忘れていた。
好きにして良いぞって言って町に帰ったしな………俺はアホだ。
久しぶりにホブゴブリンを育てたから忘れてた。失敗したな。せっかくスキルが五つも保有できた個体なのに。
「ユウは今回どんなスキルの宝玉をくれたんだ………
………おお!自然回復のスキルが5つに身体能力増加もある!それに魔法系のスキルも!!
今回は太っ腹だな!」
ユウから貰ったスキルの宝玉は収納リングに全部収めたがスキルがどんな物なのか確認してなかった。スキルの宝玉のまとめてある紙を確認すると良い方向で驚愕した。
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【自然回復】5個
【身体能力増加】5個
【腕力増加】5個
【脚力増加】5個
【知性増加】5個
【身体強化】10個
【腕力強化】10個
【脚力強化】10個
【火魔法】1個
【水魔法】1個
【斬撃波】1個
【巨大】1個
【巨大化】1個
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計60個のスキルの宝玉を報酬としてくれた上に鑑定紙を1000枚も付けてくれたのだ。
自然回復はもう無かったし、○○増加のスキルもありがたい。強化系のスキルは沢山あるからそこまで喜べないが、【火魔法】と【水魔法】のスキルの宝玉なんて激レアなスキルを報酬としてくれないと思っていたのでテンション爆上げだ。
スキルの宝玉で【○○魔法】の物は市場には出回らない。出回ったとしても金持ちがとんでもない金額で買うので俺のような家を勘当されたようなガキには手に入れるのが本当に難しい世の中なのだ。
というか俺にスキルがまだ取れるなら自分に使ってるぐらいには貴重なスキルだ。
「まあこれなら諦めても良いか?」
いやあ失敗した。どうせならバイオを上手く育てていけばそれなりになったのにな。
「バイオ?こっちにこい。」
「ギョアアア。」
バイオが近づいて来ると俺は貰ったばかりのミスリルの大剣を異空間リングから取り出した。
「さようなら。短い間だったけど助かったよ。」
「ギョア…。」ぶちゅ。
何かが潰れるような音と共にバイオは俺の叩き落としたミスリルの大剣に潰された。
「次はミスらないように気を付けよう。」
どうせならスキル保有数5個は持てる奴にしないとな。
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