第8話 過去の話に出てくる俺様はとても優秀だ
~王子sideで話を進めて行きます~
我はこの国の王子であるガイア。小さい頃から、この国の王になり民を導く存在として育ってきた。
小さな頃から英才教育をさせられ、王として民を守れるような人格者であろうと必死に努力してきた。
しかし1人では何も上手くはいかぬ。この国には昔から国王を支える為の御三家と言われる支柱が存在するが、その御三家の子供は全員が我と同い年の子供がいるのだ。
その子供達は皆が神童と噂され将来は明るいと言われていた。
1人は【五大魔法】という昔話に出てくるような魔法使いと同じスキルを持ち
1人は【聖女】という世界でただ1人しか持ちえぬスキルを持ち
1人は【ゴブリンしかテイム出来ない】が【スキル保有上限数】がこの国始まって以来の才能を持ち
そして我は【テイム】【超直感】【王の器】という髙ランクのスキルを持つ。
この国の未来は明るい。我もそう思っていた。
「お初にお目にかかります。
私はヴァリー・カンビーノと申します。」
あの【悪魔】に出会うまでは。
その者は端から見れば好青年の印象を受け、物腰も柔らかく勤勉であり模範となるような者だ。
だがしかし我の【超直感】のスキルが警戒するのだ。
あの者をこの国にいさせれば
この国が滅ぶと。
それから我はあやつに警戒し見張りの兵士や暗部の者も付けていた。
見張りからは勤勉な好青年の報告しかあがってこない。
終いには兵士からは…「いやあ!アノ子は良い子ですね!?この間ね?町で偶然話し掛けられましてね?いつもご苦労様です。ってわざわざ頭を下げてお辞儀をしてくれるんすよ?俺のような一介の兵士を覚えてくれるなんて嬉しいですねえ?」
そして暗部の者も「ガイア様。あの方はとてつもない人格者です。ガイア様が危惧するような方ではありません。」
というような良い報告しか出てこない。
テイマー専門の学校ではテイマーとしての実力はゴブリンしかテイム出来ないのだから低くて当たり前だが、座学や個人の実技は高い筈なのに何故かテストでは落第しないギリギリで通過している。
冒険者としても活躍してるらしいが偽名で登録してるからかヴァリーの名前は表には出てこない。
その事について暗部に問いただしても何故か有耶無耶な答えしか返ってこないのだ。
本人に問いただしても…
「お恥ずかしい話なのですが、私は父親に嫌われてるようでして………冒険者をしてお金を稼いでると知られれば一家の恥だと言われて勘当されてしまうかも知れないので秘密にしてるのです。
勿論ガイア様が父に報告しろと言うのであれば伝えますが…」
というような会話をしてるとあやつを守るように【聖女】のスキルを持つ御三家の子供や【五大魔法】のスキルを持つ御三家の子供が弁明してくるのだ。
あやつが悪い方向になりそうな話は何かしら有耶無耶にされ、そしていつの間にか我はあやつが嫌いだという噂が流れていたのだ。
そしてあやつの家に盗賊が押し入ったという事件が発生しスキルの宝玉が全て奪われたという情報が耳に入ってきた。
それを聞いた我はあの悪魔が盗賊に見せ掛けて盗んだのだと直感した。
しかしそれを皆に言ってもあやつを皆が弁護し、そして御三家の聖女が
「私がずっと一緒にいたのでヴァリーは無実です。どうしてガイア様はそんなにヴァリーを悪者にしたいんですか!?」
そう言ってあやつを守ったのだ。
聖女はあやつを守る為に嘘をついたのだ。その事件の時は聖女はあやつといないのを我は知っている。
しかしそれを言ってしまえば今後この国の未来がどうなるかというのが考えなくても理解した我はただ黙ってるしかなかったのだ。
ダンジョンのスタンピードの原因も我は超直感のスキルのおかげであやつが原因だというのが分かっていた。
国の一大事である。あやつの相手をするよりもまずはスタンピードを何とかするのが先だとあやつ以外の御三家の二人、そして騎士団と名だたる冒険者を連れてスタンピードへと向かうとあやつはこのダンジョンのボスである【タイラントドラゴン】と対峙していたのだ。
タイラントドラゴンはあやつのテイムしていたゴブリン達が相手していたがただのゴブリンが1000体いても、10000体いたとしても勝てる相手ではない。
「これは………あやつが1人で倒したというのか?」
タイラントドラゴンと対峙してる周囲にはあやつとゴブリンが倒したであろう、このダンジョンで出現するドラゴン種の死体が無数に転がっている。
我はあやつに恐怖した。
そしてあやつと残っているゴブリンではタイラントドラゴンには勝てぬと。
あやつも理解してた筈だ。なのに何故逃げない?
タイラントドラゴンはゴブリン達を全て全滅させたが自身もボロボロだ。
そしてそんなボロボロなタイラントドラゴンは渾身の力でブレスをあやつに放つ。
あやつは避けれる筈だ。超直感が教えてくれる。
しかし反応が遅れたように見せかけて右腕を全部焼かれてしまったのだ。
「がああああああ!!!!」
「「ヴァリー!!」」
皆があやつを心配する。
ああそうか。
あやつはこれを狙ってたのだ。
今この場には国の重鎮が多くいる。
その者達の心を
この瞬間で掴んだのだ。
あやつは危険だ。この国を守るためにはあやつを追い出すしかない。
そして我は何とかあやつを家から勘当させることに成功した。
しかしそのせいで我は信頼を失ってしまったのだ。
それでも良い。あの悪魔からこの国を救えるのであれば。
超直感が教えてくれるのだ。
あの悪魔はこの国にいれば必ず
この国を滅ぼすと
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