第7話 武器屋に行った俺様は卒業祝いをもらった



「これも無くなったんだろ?【異空間】の広さは前の物と遜色無い筈だから大事にしろよ!?ガッハッハッハ!!これはお前に助けられた奴等からの卒業祝いだ!」



「イヤイヤイヤイヤ!誰っすかそれ!?そんな誰かを助けるなんてユウぐらいしか覚えないっすよ!?


それにこの大剣も【ミスリル】の大剣っすよね!?」





レッグスさんから別に渡された物は【異空間リング】と【ミスリルの大剣】だ。



異空間リングは別の異空間を往き来出来る激レアアイテムでテイマーにとって必需品でもある。


その理由はテイムしたモンスターの保持の為だ。


自身がその類いのスキルを持ってるのであれば関係ないが、生憎俺が持ってるスキルは戦闘に特化したものだけ。



普通のテイマーならモンスターを別の空間に転移させてモンスターを保持する。スキルが無ければそれ系のアイテムで代用するんだけど、俺は前回のダンジョンの【スタンピード】で苦労して育てたゴブリン達も武器も全てを無くしてしまった。


元々は異空間リングは家が世間体を考えて仕方なくという形で俺にくれた物があったが、それすらもなくなった。………というか【右腕が全部消しとんでしまった】ので右の指にはめていた指輪も消失してしまったんだ。


あの場に再生スキルを持ってる奴と【聖女】がいなければ俺の右腕は今もなくなったまんまだったと思うと寒気がする。





「何を言うか!?この間のスタンピードでどれだけの者達がお前に感謝したか分からんのか!?


冒険者の奴等やヴァリーに直接関われない商人や町の者達!皆がお前の功績を知っているんだ!」



「イヤイヤそれこそあれは冒険者の皆のおかげだし俺の功績はあのバカ王子が全部持ってたじゃないっすか!!


………それに最後の詰めが甘くて俺は怪我したようなもんだし自業自得っすよ?」





少し前になるが俺はドラゴン種のダンジョンのスタンピードに遭遇した。

それもユウのワイバーンのテイムを手伝う為にそのダンジョンにいたんだが、俺達がワイバーンの多い階層にたどり着いた時にスタンピードが発生したんだ。

その時にスタンピードを解決するために俺の精鋭のゴブリン達は尽力を持って奮闘したので人間の死者は1人もでなかった。


ただそのせいで俺は死にかけたし、小さい頃から共にいたゴブリンも殺られてしまった。


装備も殆ど無くなったが元はといえばスタンピードが起きたのは俺のせいだったりもする。


【1人を除いて】誰もその事実を知らないから黙ってるが言ってしまえば自分で招いた問題なので色々と諦めてる部分が多いんだ。




「………お前は昔から変わらんな?何度も同じ話になるがあのスタンピードが解決したのはお前のおかげだ。それなのに王の倅はヴァリーの成果を横取りしあまつさえ、『スタンピードはその能無しのクズが起こしたんだ!』と言いやがる!!


あれを聞いた瞬間お前が止めなかったら俺達はあの倅を八つ裂きにしてたところだ!!」






はい!その通り!!


………というかあの王子は俺が起こしたトラブルを昔から当ててくるんだよな。皆王子を信じてないがアイツは口は悪いし、俺に対してはキツイけど、中々鋭いんだよ。


俺の成果を横取りしたように見せ掛けたのも俺なんだし。



アイツも町の奴等のように甘ければこの街にいても良かったんだがなあ?




「だからなヴァリー?この沢山の武器とミスリルの大剣。そして異空間リングは感謝してる奴等からの卒業祝いだと思ってもらってくれや!!


金ももう皆から貰ってるからいらんからな!?ガッハッハッハ!!」





「………ありがたく頂きます。本当にありがとう。」






そんなやり取りをしながら俺は大量の武器とミスリルの大剣。そして異空間リングをレッグスさんから卒業祝いとして渡されたんだ。


その大量の武器を異空間リングに収納しレッグスさんに深く頭を下げると俺は店を後にした。











「………ふぅ。予想よりも沢山貰ったな?異空間リングまで貰えるとは予想外だったけどな?くっくっく!」






異空間リングなんて買えばどれだけの値段になるかも分からんし、ミスリルの大剣なんて異空間リング10個あっても足りないような高価な武器だ。


貰った大量の武器もなまくらな訳もなく【スキル付き】の物や業物も多いだろうしラッキーだったな!!





「くっくっく!!


本当にこの街の奴等は皆優しいなあ?」




実を言うとレッグスさんから武器を貰えるとは思っていた。その為に俺が同情されるような振る舞いや好かれるような態度を取ってたしな。





王子という苛めッコがいたおかげで案外楽に物事を進められた。





「あとは防具と消耗品だな。」






そして俺の馴染みである防具屋と消耗品を販売してる店でも同じ様な事が発生した。




「これは私達からの卒業祝いだと思って!」




「おお!!卒業おめでとう!!その位は俺達からの卒業祝いだ!!」







こうして俺は自分のお金を一文も使うこともなく、武器、防具、消耗品を大量に仕入れることに成功した。





やはり大事なのは日頃の行いだな?





「これで後はユウの所に行って報酬を貰うだけだ。」




さっさとこの街から出るために頑張りますか。


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