第6話 森に行く準備する俺様は馴染みの店に行く






森から町に帰った後は直ぐに宿へと戻り泥のように眠った。


何時間も森の中を歩いて大量のゴブリンをテイムした俺は相当疲れていたんだろう。


しかし俺には【自然回復】と【ショートスリーパー】のスキルを持ってるので数時間の睡眠でも体力全快だ。







【ショートスリーパー】少しの時間の睡眠で体力、精神力が回復する。普通に睡眠するよりも5倍の効果を発揮する









「流石に数時間であれだけ酷使したら仕方ないか。」



思ったよりも寝てしまった。本当であれば1、2時間のつもりが5時間も寝てしまっている。そのおかげで元気もりもりだが、ホブゴブリン達も気になるし、それに誰かにコロニーを見つけられてしまったら俺の計画が水の泡になってしまう。





「さっさと準備しないとな!」




直ぐに身支度を整えて宿から飛び出すと一直線に目的地へと向かった。


その場所は俺の泊まっている宿から近い場所にあり到着するのには時間が掛からなかった。


その場所は大きな看板のある建物で、看板には剣と斧が描かれている。


この場所は俺が学校に通ってる時からお世話になっている武器屋だ。





「おはようございまーす。」



「はいよー!!


………ってヴァリーじゃないか!!久しぶりだな!元気してたか!?」



「まぁボチボチっすね?レッグスさんも元気そうで良かったっす。」




「俺はいつでも元気に決まってらあ!!それよりどうした?学校は休みか?」




武器屋の中に入ると顔見知りである男がいた。


その男は俺よりも頭2つ分も身長があり、ムキムキの坊主頭で今までに何度もお世話になっているこの武器屋の店主のレッグスさん。




「学校は昨日卒業しましたよ。それよりもゴブリン達に持たせる武器と俺用の武器が欲しいんすけど、何か良いのありませんか??」




「おお!そりゃあめでたいな!!卒業おめでとう!!


良し!それなら大サービスしてやるが、お前のたいけ………そう言えばこの間ので武器もゴブリン達もオシャカになっちゃったんだもんな!!」



「あれはマジで死にかけましたからね………もうコリゴリっす。」



「ガッハッハッハ!!それでも誰も死んでねえんだからそんな暗い顔すんじゃねぇぞ!!


俺やドラグが見込んだだけの事はある!!


んで卒業したってことはあれか!?遂に勘当されたか!!」




「………勘当されましたよ。そんな嬉しそうに言わないでくださいよ。」




「ガッハッハッハ!!そりゃあめでたい!!


お前はあんな家にいたらダメだぞ!?貴族様は頭が固いからダメだ!それにお前の父親は昔から融通が利かないしな!勘当されて正解だぞ!?


こんな国1つじゃなくお前なら世界にも名を轟かせられるんだからなああ!!!ガッハッハッハ!!」




「………何でも良いけど武器をください。」



「ガッハッハッハ!!すまんすまん!ヴァリーは家族が大好きだもんなあ!?悪口を言ったつもりはないんだぞ!?

だが勘当されても好きなんてよっぽどだぞ!?ガッハッハッハ!!


………すまんすまん!ヴァリーに会えて楽しくなってしまった!ゴブリン達の武器は何を準備すれば良いんだ?お前は大剣で良いんだろう?」



「ゴブリン用にはナックルを左右の手に付けられるセット2つと棍棒を2つで。俺は大剣で大丈夫っす。 」





「ガッハッハッハ!!分かった!!少し待っていろよ!!」



「………朝からテンション高いおっさんだな。」





レッグスさんはイイ人なんだけどテンションが高いし、俺に対しての評価が高いから困っている。



昔から俺の父親とも面識があるらしいがどんな関係性なのかは教えてくれないし、父親にだってまともに会話すら出来ないのだから聞けてない。


この国の王子様に嫌われてるので有名な俺に武器を売ってくれるような店は少ないのだ。俺に優しくして将来この国の王になる者に嫌われたくはないから仕方ないことだ。


なのでレッグスさんには感謝している。レッグスさんがいなかったら強いモンスターに早い段階で殺られていただろうな。


………それでもレッグスさんの所に来るのをやめようか本気で考える時があるのは正直な所だ。あの人無神経に色々言ってくるんだよ。







「おお!!待たせたな!!


そら、目的の品を持ってきたぞ!!」




「ありがとうごさいます。


………ってこんなに頼んでないっすよ?え?ナックルと棍棒っすよ?そして大剣は?」




暫くするとレッグスさんは戻ってきたが持ってきた武器が沢山ある。

色々な種類の剣や斧、棍棒や槍に弓やクロスボウと本当に様々な武器があり倉庫から全部持ってきたんじゃないかという量だ。


人数で言えば100人の軍隊全員が武器を整えられるような物凄い量だがこんな量は流石にいらないぞ?持ってけないしな。



しかもこんなに大量の武器があるのに大剣はねえし。




「ガッハッハッハ!!そしてこの収納リングを俺からの卒業祝いでやろうじゃないか!!」




「………え?こんな高価な物貰えないっすよ!?」




「その収納リングは中々な物でなあ?今俺が持ってきた倉庫の武器の山を100回持ってきても楽々と入る量だぞ!!ガッハッハッハ!!おかげで倉庫が空になった!!」






本当に倉庫の中身全部持ってきたのかい。





「………これを全部買う金もないっすよ?」





正直な所は武器はあればあるだけ助かる。ゴブリンをテイムしてると軍隊規模になるし俺が今から従えるゴブリンも100,200以上の規模にするつもりだ。



ただそうするにはもう1つ大事なアイテムがあるんだが、それもあの大きな戦いで壊れちゃったんだよな。




残ってるのは首からかけていた収納リングただ1つだけだ。




「ガッハッハッハ!!そして最後はこの大剣とこれだ!!」



「………え?これってもしかして………。」



「1番欲しかった物だろう?ガッハッハッハ!!」





そう言ってレッグスさんが渡してくれた物を見て驚いてしまった。




それは武器屋では手に入る訳がないと思っていた俺が1番必要だと思ってる物だったからだ。




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