第5話 実家からちょろまかした俺様は部下達を強くする。




「まずは功労賞のお前からだな。」



「ゴギャ!」



家からちょろまかした収納リングを手に取ると中に入っているスキルの宝玉を3つ取り出した。


その宝玉は【身体強化】【鉄壁】【鋼の肉体】の3つだ。




【身体強化】発動すると身体能力を全体的に強化する


【鉄壁】発動すると防御力が増しダメージが受けにくくなる


【鋼の肉体】常時体が鋼のように頑丈になる




そもそもスキルにはパッシブスキルとアクティブスキルという2つの種類があり、身体強化と鉄壁は発動型のアクティブスキル。

鋼の肉体はそのスキルを持ってるだけで効果のあるパッシブスキルだ。



スキルの宝玉を渡し自分の体に叩き付けるように割らせると3つのスキルは無事に功労賞ゴブが取得した。


「お?まだスキル付けれるな?やっぱりお前は優秀だ。」



「ゴギャ!!」



そしてスキルは取得できる上限がある。ゴブリンの場合だと大抵は多くても2つ。そしてホブゴブリンだと3つが上限の場合が多い。

しかしこの功労賞のゴブは四つ目のスキルを付与出来るのがテイムしてるから体感的に理解できるんだ。


スキルを付与できる上限というのはとても大事な才能の1つで、俺が学園に入学する時にも生徒全員が必ず調べる。

人間は平均的には4~7個のスキルを持てるのが一般的だが、中には10,20とスキルを持てる奴もいるし、逆に1つしか持てない奴もいる。



テイムしてるモンスターだとまだスキルの上限数には辿り着いてないというのは分かるが、上限が分かる訳じゃなく、まだスキルを付与できるというのが分かるだけだからまずはスキルを取らせてみよう。




「これもお前にやるよ。」



そう言って取り出したスキルの宝玉は【挑発】




【挑発】発動すると対象の意識を自分に向けることが出来る。



功労賞ゴブは直ぐに挑発のスキルを付与すると驚く事が起きた。



「おい!マジかよ!?5つ目もスキル持てんのか!!



失敗した!!それならもっと違うスキル構成にしたのに!!」


4つ目のスキルを取らせるとまだスキルを付与できる事実に気付いてしまった。


5つもスキルを持てる個体というのはホブゴブリンでは今回で2度目で、ゴブリンの進化させる過程でスキルというのはとても重要な要素の1つ。


五つも取れるのが始めから分かってたらタンク系で考えずにもっと違う方向性でやれたのに………




「流石に6つは………


………ないか。」



収納リングから【自然回復】という所持してるスキルの宝玉の中でもレアなスキルを付与させたが、流石に5つのスキルで打ち止めのようだ。



【自然回復】自動で体力や怪我を回復する。回復量は元々の能力値に依存する。(パッシブスキル)




このスキルは普通に強い。持久力戦になったら役立つスキルで、もし戦ったレッドキャップがこのスキルを持っていたら殺られていたのは俺達だろう。


家からちょろまかしたスキルの宝玉でもこのスキルは2つしか無かったし、もう既に1つは前にテイムしていたゴブリンに使ったから在庫は0だ。



本当であればもっと違うスキル構成にしたゴブに使いたかったが、宝の持ち腐れになるんだったら今使った方が得策だろう。



それから他のホブゴブリン達にもスキルを付与したが功労賞ゴブみたいに何個もスキルを持てる訳ではなく、四体ともスキルが3つ持てるのが上限だった。



他四体のスキル構成はこんな感じだ。




ホブゴブリン①

・身体強化

・棍棒術

・腕力増加



ホブゴブリン②

・身体強化

・棍棒術

・腕力増加



ホブゴブリン③

・身体強化

・格闘術

・脚力増加



ホブゴブリン④

・身体強化

・格闘術

・脚力増加






残り四体はオーソドックスなホブゴブリンのスキル構成をしていく。というか、格闘術や腕力強化、脚力強化のスキルの宝玉が余ってるからこの構成にしたというのもある。



身体の部位増加系のスキルは低ランクの【ダンジョン】でも直ぐに手に入るし、●●術というスキルも比較的手に入りやすいスキルだ。





【棍棒術】棍棒を装備したときの動作が滑らかになり、使えば使うほど棍棒を装備した時の能力値が上昇する。



【格闘術】何も持たない時の戦闘する動作が滑らかになり、使えば使うほど素手での戦闘をした時の能力値が上昇する。



【腕力増加】常時腕力が上がる。


【脚力増加】常時脚力が上がる。





ホブゴブリン五体が固まっていてこのスキルを持ってるならそう簡単には負けないだろう。


勘違いしてはいけないのは野生に生息するホブゴブリンはスキルを持ってる個体の方が稀だ。


俺が思っているオーソドックスなホブゴブリンというのはあくまでも俺が使役してるホブゴブリンの話であって、通常とは異なる。




「レッドキャップの魔石は………お前で良いか?」





「ギョオア!?」



「ギョギョオ!?ギョギョオ!?」





スキル構成を終えて倒したレッドキャップからも魔石を取り除くとその魔石は功労賞ゴブではなく、身体強化、格闘術、脚力強化のスキル構成をしたホブゴブリンに渡した。


功労賞ゴブは自分が貰えると思ったのか、俺が違うホブゴブリンに魔石を渡して驚いてるようだ。




「お前は【レッドキャップ】にする気はないからな?申し訳ないけど。」




レッドキャップは確かに強いが功労賞ゴブはまた別の方向で進化させる。


そうなると1番相性の良いスキル構成のホブゴブリンに取り込ませるのが良いとの判断だ。





「これで準備は整ったな。俺は帰るけど、お前達はこの場所付近で待機して遭遇するモンスターを倒しててくれ。倒したモンスターは好きにして良いぞ?」





もう夜も遅い。森の奥まで来てしまったのでもう少し町の近くの場所までホブゴブリンを連れて来ると俺は付与したスキルを積極的に使用するように指示し町へと帰る。




浅い場所であればそんなに強いモンスターも出ないだろう。






「出来る限り早めに帰ってくるからな。」




そう言い残し俺はホブゴブリン達の元から離れていった。









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