第4話 勝てば官軍の俺様はゴブリンを進化させる。




「ギョアア!」



駆け出した俺に気付いたレッドキャップだが最早それは後の祭りだ。


レッドキャップの首を掴み地面に叩きつけ、持っていたナイフを取り上げる。



「ギョオアア!!ギョアア!」



「クソ!力が強いな!!コイツの体を皆で抑え込め!!」



「「ギョギョオ!!」」





叩き付けてレッドキャップを抑えたは良いものの俺1人では少しキツイ。生き残っているゴブリン達に指示を出し抑えるのを手伝って貰い、なんとかレッドキャップは抵抗できない所まで制圧することに成功した。



抑えてるゴブリン達はもう5匹しか生き残りはいない。生き残ってるゴブリンの中には今回の功労賞のゴブリンは生き残ってるようでそのゴブリンはレッドキャップに振り払われただけで今にもくたばりそうなダメージを負っている。



あんなにいたゴブリンが残り少ないというのがこのレッドキャップというモンスターの強さが伺える。


このレベルのモンスターなら中堅の冒険者のチームでも負けても可笑しくないレベルの強さだった。


しかし数は力だ。格下のゴブリンでも100体近くもの数には並大抵の実力では太刀打ちするのは難しいだろう。


それが体が大きかったり空に逃げれるようなモンスターなら話は変わってくるがレッドキャップが体も通常のゴブリンと変わらない。


力も強いがこのモンスターは1対1で本領発揮するタイプだし今回の場合は俺に運が向いていた。




「俺の作戦勝ちだな?ご苦労さん?」



「グギョア!!グギョアアア!!ギョアアア!!!」




レッドキャップはバカにされたことが分かったのか力が更に強まり抑えてるゴブリン達が今にも吹き飛びそうだ。さっさと終わらせるか。



「さようなら。」



俺はそう言うとレッドキャップの首を奪ったナイフで切りつけ暫くするとレッドキャップは動かなくなった。




「思ったよりも呆気なかったか?」




レッドキャップと相対しても俺が無傷だというだけで実際はゴブリンが100体近くも倒されてる訳だから呆気なくはないか?


周りを見渡してもテイムしたばかりのゴブリン達の屍が所狭しと倒れている。



生き残りのゴブリンは五体だが全てのゴブリンはボロボロだ。



「よし、先ずは生き残ったゴブリン達を回復させて強化するか。お前達は座って休んでて良いぞ? 」



時間も夜遅くなってきたし今日は生き残ってるゴブリン達を強化して町に帰ろう。



生き残ったゴブリン達はその場で座り込み肩で息をしている。功労賞のゴブリンは1番酷く、早く回復させないと死んでしまうかもしれないような状況だ。



「丁度良くナイフが手に入って良かったな。


汚くなるのは………仕方ないな。」



テイムされてたゴブリンの胸辺りにナイフを突きつけ空いた胸の中に腕を突っ込んだ。





「いつやってもこれは慣れねえな………



………あった!」





ゴブリンの中から取り出したのは【魔石】だ。大抵のモンスターの心臓付近にある物でこの魔石がゴブリンを強化するために必要な物だ。


ゴブリンのような弱いモンスターだと親指の爪程度の大きさしかないが数は沢山ある。


1体のゴブリンから魔石を取り出すとまた違うゴブリンの亡骸から魔石を取り除いていく。



10個ほど魔石を手にすると今回の1番の功労賞であるゴブリンへとその魔石を渡した。



「ほら。この魔石全部飲み込んで良いぞ?」


「グ、グギョ?」


「良いから早く飲み込め。早く。」



俺が指示したことで渋々と渡された魔石を飲み込んでいくゴブリン。


取り立てホヤホヤだからゴブリンの血は付いてるが元々ゴブリンが雑食で何でも食べるからあまり気にならないだろう。



「グ、グギョオオ!?ギョ!」



魔石を飲み込んだゴブリンは直ぐに変化が見られる。



先ずはボロボロだった体が回復している。魔石を飲み込む度にゴブリンは元気になり10個目を全て飲み込むと大きな変化が見られた。



「ギョオオオ!!!」



「お?無事に【ホブゴブリン】に進化したな?これからも宜しくな?」



全ての魔石を飲み込んだゴブリンは体が光り大きくなっていく。

その姿はレッドキャップに付き添っていたホブゴブリンのように大きくなりゴブリンからホブゴブリンへと進化した。



「グギョオオオオ!!」



俺の言葉に反応して雄叫びをあげるホブゴブリン。



俺はゴブリンしかテイムのスキルを発動することは出来ないが、【テイムしてるゴブリンが進化した】としてもテイム状態は変わらないのだ。




「進化さえさせればゴブリンだって強いのに………」





元々俺の父親は俺がゴブリンしか従えることが出来ないと思ってるから家から勘当させたが、進化さえさせられるなら話は変わってくる。


ゴブリンは確かに最弱ではある。が、それは進化させたら可能性は無限大に広がるのだ。



………なのにクソ親父は俺の話をちっとも聞かず勘当するんだからな!いつか泣かしてやるからな!!




………話がそれた。そして何処にでも生存できるからこそ色々な派生で進化を遂げるゴブリンはモンスターの種族の中でも1、2を争う程に種類が多い。



モンスターには強さでランクがあり1番低いランクから1番高いランクまで総なめにしているのがゴブリン種だ。



俺も最初はゴブリンしかテイム出来ないということに悲観したが、今ではゴブリンがテイム出来る事が幸運だと思っている。




それから俺は魔石を全て取り除いて他のゴブリン達四体に分け与えホブゴブリンに進化させる事に成功した。





五体のホブゴブリンを進化させる頃には深夜になっていた。もうどうせなら最後までやってしまおう。






「さて。今回のゴブリン達はどんな【スキル】を付けようか?」





俺は首にかけてあるネックレスに通してある【収納リング】を手に持つとホブゴブリン達を見て自然と口角が上がっていた。











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