第2話 一人ぼっちの俺様は仲間を従える


真っ暗な森の中に入ると直ぐにお目当てのモンスターに遭遇した。



「グギョグギョ?グギョ?」



「ギョオギョオギョオオ。」





「………三体か。楽勝だな。」




少し離れた場所には小さな緑色の体をしたモンスター、ゴブリンが三体歩いている。



通常であれば真っ暗な森でゴブリンを見つける何てのは難しいが俺には【気配察知】と【夜目】のスキルを持っているので簡単に見つけれてしまう。



ゴブリン達も真っ暗な森を歩いてはいるが、俺のようにハッキリとは見えていないのか木にぶつかってしまっている。



「グギョグギョ!!」



「グギョオ?グギョギョギョギョ!!!」



自分で木にぶつかってるのに仲間のゴブリンに対して怒ってるゴブリンは内輪揉めをしている。それから暫く行動を観察してると知能もソコまで高くないのを伺える。




「アイツらは産まれたばかりのゴブリンか………楽勝だけどこの辺りに【コロニー】でも出来たか?」




元々ゴブリンはソコまで知能が高くもなく、ましてや力も強いわけではない。鍛えてない男性でも武器を持てば簡単に倒せてしまう程度のモンスターだ。


ただし繁殖能力は高く、そして長く生きたゴブリンは多種多様な進化を遂げたり、ゴブリンであっても強い個体は存在するので一概に雑魚だけと括れるモンスターでもない。



ゴブリンだからとバカにして殺られてしまった新人冒険者も少なくないのが現状だ。



今回見つけた三匹は観察してる限り経験則から言っても産まれたばかりの個体というのは明白だが、夜の森を歩いてるというのは珍しい。


予想した通りなら、3体~5体程度のゴブリンが寄り添って寝てる所を楽々とテイムする予定だったが、 夜にゴブリン達が歩いてるのはエサを探す為か見回りの2つの理由がある。


夜目を待ってる個体なら夜に活動してエサを探すのも理解できるがそういう訳でもない。



他のゴブリンや違うモンスターに元々の縄張りを荒らされたならボロボロの体をしてる筈だしその可能性も低いだろう。




そうなると【誰かに命令されてる可能性が高い。】



ゴブリンの上位種が近くでコロニーを作ると見られる現象だ。



「ラッキーだな。この森には頻繁に来るけどコロニーを最初に見つけられたのは久しぶりだ!」



コロニーとはゴブリンや同じ種類のモンスターが集団になり集落のように密集することだ。コロニーが出来るとその場所は魔力が強まりその場所にいるモンスターも強くなったり上位種が多くいたり進化しやすかったりする。


流石に大きくなりすぎたコロニーなら【ギルド】に報告しなくちゃダメだけど、そのコロニーを俺が壊滅出来るレベルで大きなコロニーだったらありがたいな。


まぁ、出来なかったとしても俺が有効活用してからしか報告はしないけどな?



「さっさとゴブリン達をテイムしてコロニーを探すか!」



そういうと俺の所持しているスキルの【身体強化】を発動してゴブリン達の元へと駆け出した。




「グギョオ?………ギョオギ!?」


「ギョオア!」



ゴブリン達が気付いた時にはもう遅い。1番近くにいたゴブリンに足払いをして転ばせた後、直ぐ様2番目に近いゴブリンを倒れたゴブリンの上へと投げ飛ばした。



「一丁前に棍棒なんかもって…んなよ!!」



「ギョ!!ギョアア!」



そして最後のゴブリンはその一体だけが棍棒を持っていたが、棍棒を持っていた右手を蹴って棍棒を離させると小さな体のゴブリンの首を掴み、倒れてる2体のゴブリンに勢い良く押し付ける。



「ギョオアア!!」



三体のゴブリンは一瞬の内に俺の手によって拘束されたが別にこのゴブリン達が軽いのではない。力もそれ程強くないと言っても普通の成人男性の平均はあるだろう。



こんなにも易々と拘束できたのは俺の持つスキルのおかげだ。



伊達に家が有名な金持ちだったんじゃない。俺の家には死蔵されてる【スキルの宝玉】が腐る程あったんだ。



スキルの宝玉とはダンジョンで見つかるレアなアイテムでそのアイテムを使えばスキルを手に入れることが出来る。


そのスキルの宝玉を使い俺は沢山のスキルを所持しているのだ。



後から知った話だとそのスキルの宝玉はテイムしたモンスターにスキルを付与させる為に沢山あったらしいが家にある全部のスキルの宝玉を盗賊の仕業のように見せ掛けて全部ちょろまかしたのは良い思い出だ。


その時に一緒に頂戴した収納リングという、【収納ボックス】のスキルが付与されたアイテムは今も重宝している。



あの時は国中でニュースになった。まさか犯人が身内なんて傑作だよな。



自分達にスキルの宝玉を使うなんて頭もあの家の奴等には無いだろうし今後も俺が有効活用させてもらおう。




「お前らもこれから宜しくな?テイム!!」




「ギョオオオ………ギョ?」





拘束したゴブリン達を包むような光が現れて俺とゴブリン達に繋がりのような何か感じる。



繋がりを感じた瞬間暴れていたゴブリン達は大人しくなり、それと同時に俺も拘束を解いた。





ゴブリン三体とのテイムは成功し、新たに俺の仲間が三体増えた。







この調子でドンドンゴブリンを増やしてくぞ。



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