第12話 重圧 2
「みんなが支えてくれるって言ったって、結局は独りで闘うしかないんだよ。叩かれて、闘って……心もカラダもボロボロになっていくんだよ」
あぁ、唇を噛んだら血が出ちゃうよ。折角の綺麗な唇なのに。
「光にはわかんないんだろうけど」
そうだね。その通りだよ。
貴女と共にステージに立つ約束を守れなかった私には、何もわからない。
自分が経験してないことはわからない。
「……ねぇ結、貴女はどうしてアイドルになろうと思ったの。誰のためにアイドルになったの」
だから必死に自分の想いを伝える。
自分ができることを精一杯やる。
「お姉さんのためでしょ。思い出してよ」
たとえ貴女の心をえぐることになったとしても、貴女を元の居場所へ戻さなきゃいけないから。
「それに、約束してくれたよね。『センターで華開いて、散らない桜になってみせるから』って」
その瞬間、彼女の大きな瞳から涙がポロリと零れ落ちた。
「……っ、怖いの! 知ってるでしょ、お姉ちゃんが自殺した理由。私よりも完璧で誰からも愛されていたお姉ちゃんなのに、私を独りにして逝っちゃったんだよ」
「知ってる。たしかにお姉さんは結を残して逝ってしまった。でもね、今の結は独りじゃないでしょ」
私がいるでしょ。
真っすぐに彼女の目を見つめて言えば、更に涙がポロリとテーブルの上に零れ落ちた。
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