第2話 可愛子ちゃんと美人さん 2

「なになに、なんの話?」


 あーもうっ、曲について話し合っていたはずのみんなの視線が私に集中しちゃったじゃん。


「光の居――」


「なんでもないよお。それよりさ、私も踊りたい曲あるんだ」


「おっ、なになに?」


 可愛子ちゃんBが身を乗り出して聞いてくれる。


「K-POPなんだけど……知ってるかな?」


 SNSの通知を切ってMVをみんなに見せる。


「あっ、知ってる!」


「ロックテイストかあ。いいかも」


 うんうん、いい反応。


「私もこの曲、好きだな」


 柔らかい声音で微笑みながら言ったのは、今目をつけている美人さん。


 切れ長の目に、立体的な顔のパーツ。黒髪セミロングのクールビューティ。


 普段は全然笑わないんだけど、たまーに私に向かって微笑んでくれるんだよねえ。


 これは脈ありかな?


「二人とも気が合うねえ。んじゃあ、これも候補に入れとこうか」


 可愛子ちゃんBがルーズリーフに曲名を書いた。


 上にずらっと書かれた曲たちを見ると、この曲が選ばれる可能性は低い。


 でも、それはどうでもいい。


 大事なのは、クールビューティ美人さんと意見が合ったってこと。


 これは今がチャンス。


「ねえ私さ、このグループのこの曲も好きなんだけど……」


 機を逃さず、アタックしなきゃね。


 可愛子ちゃんAからの鋭い視線を感じるけど、気にしない気にしない。


「私も好きだよ。カッコいいよね」


「そうそう!」


 良かった。趣味が合うみたい。


 まっ、合わなかったら合わせにいくだけなんですけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る