第2話 可愛子ちゃんと美人さん 1/2

 ダンスサークルのメンバーと集まって食べる、いつもの昼食。


 みんな可愛くて、美人ばっかり。


 眼福。眼福。


 そんなことを思いながら牛丼を食べていたら、ピロン、ピロン、ピロンと立て続けに鳴ったスマホ。


ひかりちゃん、めっちゃメッセージ来てるけど見なくていいの?」


「あー大丈夫大丈夫」


 と言いつつも、一瞬だけ画面を見て、マナーモードにしてからスマホを伏せた。


「早く曲決めちゃお」


「そうだねー早くしないと先輩と被っちゃいそうだし。なにがいいかなあ」


 11月の文化祭に向けてみんなが踊りたい曲を挙げていく中、もう一度スマホを手に取った。


 おーおー、滅茶苦茶メッセ来てんじゃん。


 なになに? 【今日は何時に帰って来るの】【今なにしてるの】か。


 いつも通りだなあ、結。


 今までこんな頻繁にメッセを送ってくることなんてなかったのに、私のアパートに転がり込んで来てからというもの、鬼電、鬼メッセの嵐。


 どういう心境の変化なんでしょうねえ。


 このまま放置してると通知が溜まっていくだけだし、一旦返信しますか。


 どうせ1時間後ぐらいに、同じ文章が送られてくるんだろうけど。


「うわっ、死ぬほどメッセージ来てんね」


 横に座ってサンドウィッチを頬張っていた可愛子ちゃんAが、勝手に画面の覗き込みながら言った。


「面倒くさそう。彼氏? 彼女?」


 私の恋愛対象がどっちもいけるっていうのは、サークルの中で周知の事実。


 それを知って遠ざかっていく友人もいれば、こうしてなんでもないように傍にいてくれる友人もいる。


 ありがたやー。


 って、話しが脱線してる。


「面倒じゃないよ、。あと、どっちでもない」


 Aちゃんは可愛いんだけどねえ、貴女は私の好みじゃないのよ。


 まぁ可愛いは正義だし、適当にあしらう理由はないからちゃんと答えてあげる。


「そっか」


 ほっと胸をなでおろしちゃって。私のこと好きなんだなあ。


 バレバレだよ。


 残念ながら、貴女は攻略対象外ですが。


 自意識過剰? いいえ、経験上。


「ただの居候だよ」


「やっぱり面倒くさそう」


「あはっ」


 失笑にも似た笑い声が漏れてしまった。


 あのねえ、面倒なのは貴女の方なのよ。


 タイプでもない貴女に、プライベートをズカズカ土足で荒らされたくないんですよ。






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