第478話 そして、十年後
(結婚十周年記念式典、楽しかったなぁ……)
衝撃の結婚式から十年が経った、
いや一番衝撃的なのは披露宴兼頌主お仕置破廉恥ショーだったのだが、
あれを第一回とすると、今日まで一番キツいお仕置はなんと! 三十七回しかされていません!!
(いや、そのうち一回はノーカンに近いと思っている!)
あれは八年前だったかな、
リア先生の弟さんにアイザックさんって居たでしょ、
その奥さん、ベルルちゃん似のなんだっけアナルミラビリスちゃんだっけ?
(ええっと……あっ、フェリスシルヴェストリアちゃんだ!!)
うん、彼女の妹さんが山猫獣人らしくすっごくモフモフの魅力的で、
手を出したのが見つかってお仕置ベッドで……いやあれは六割は誘われてだから!
などという言い訳も許して貰えず、徹底的に公開処刑されたのだけれども……
(妹ちゃんがベッドの横で、全裸で正座させられて、みんなそっちに視界が行っていたはず!)
しかも首から『私は領主様を無断でつまみ食いした泥棒猫です』って大きな札を下げられて……
だから、僕自体はそれほど見られてないはずだから、事実上のノーカンのはずっ!
という事でお仕置は今日まで十年間、三十六回しか……いえ三十七回です、はい、ごめんなさい。
(なんて考えていたらお屋敷に到着しちゃった)
コロシアムからお城まではすぐだからね、
それでも十年前と変わらずメイドエルフ三人が警備してくれている、
サニエルさんとフラストさんとキュークさん、えっ名前が違うって?!
(姿も違うよ!)
このあたりについてはまあ、後で。
「ただいまー」
「おかえりなさいませ、皆様、居間でお待ちしております」
「うん、ありがとう、ミランダさん」
十年経って立派な熟女メイドになりつつある第六夫人ミランダさん、
あっ、愛人準愛人制度は第十二公爵家までは、ほぼ無くなりました!
なので僕は十年間で第十一公爵家にまでなったので、奥さんは十二番目まで持てます!
(十二人じゃなく十二番なのはまあ、これも後で)
って誰に説明しているんだろう僕は。
「あっ、その櫛は」
「はい、久々に付けてみました、エレノアの形見です」
「じゃあ、その方も一緒に、だね」
十年も経つと誰だそれはってなるかもだけど、
ミランダさんがミネルヴァ名義で娼館に居た頃の仲間だ、
いつのまにか変身したサキュバスに入れ替わっていて本人は多分、もう……というやつだ。
(残された部屋にあった、櫛だけ貰ってきちゃったんだよね)
そういえばあの事件の時に捕らえた魔女、
まだ特製アイテム袋の中らしいけど今どうなっているんだろう、
かといって十年経った記念に開けようとは思わないけれども。
「あっ、ミストさん!」
「ジゼルさん、丁度来た所だったんだ」
「はい、息子と娘ふたりは先に入っているようです」
四十代になっても一瞬だけ少女に見えるドワーフのジゼルさん、
第九夫人だけれどすっかり大陸一番の鍛冶師と呼び声が高い、
子供が出来てもそれを背負ったまま鍛冶屋していた姿が今でも印象的だ。
「あっ、そういえばミランダさんの」
「うちの息子ふたり娘ふたりも中ですよ」
居間の入口まで行くと扉の前で待っていたのは……!!
「あっパパ! 式典面白かったよ!」
「アンナ、戻ってきてたんだ」
「うん今日だけ、ううん、この時間だけね!」
ジッポンの王子に嫁いだアンナちゃん、
身に着けている『キモノ』とかいうのが独特で美人だ。
「第三夫人だからって、虐められてないよね?」
「うん、『ガイジンさん』って差別しちゃいけないみたいで逆に気を使ってもらってるよ!」
「良かった、あっちでの結婚式からもう二年かあ」「息子のムサシは預けてきたけど、いいよね?」
まあ顔は見たかったけど、
本当に会いたいなら転移テントですぐだ。
「あらアンナ、いつのまに」「今だよ!」
アンナちゃんのお母さん、
第十夫人のエスタさんもやってきた。
(うん、十年経って僕好みの熟女に仕上がっている)
エスタさんがアンナちゃんの着物姿に見とれている。
「ほんっとそれ綺麗ね、そういえばアンナ、ジッポンでの名前は」
「着物の裏に書いてあるよ、ほら、杏菜(あんな)って」
そうそう、こういう字を書くんだった。
(よく見たら離れた場所にクノイチが待機しているみたいだ、大切にされてるなぁ)
さあ、居間に入ろう。
メイドが扉を開けてくれたので中に向かって……!
「ただいま、ミスト=ポークレット二十六歳、いま戻ったよっ!!」
すると中でまず待ち構えていたのは……!!
「アナタ! まーたお小遣いを使い切りましたねっ?!」
「近い、近い近い近いっっ!!」
メカクレの顔をぐいぐい近づけてくる第十一夫人、
左右に分けた髪の毛が床に着きそうな変態奥様、サリーさんだ。
(何年前からだろ、こうやって顔を近づけてくるようになったの)
そしていつだったか、ふざけてキスしたらとんでもない事になった、
場所がどこだとか構わずアイテム袋から出すわ出すわ変態道具のオンパレード、
あれ以来、変な所で変なスイッチを押さないように気を付けている、いや道具のスイッチじゃなくて。
「まーたボリネー団長に唆されたんですかぁっ?!」
「い、いやまあ、男の付き合いっていうか、って今、肉団長さんは?!」
「ソフィベルランドの、ホテルオータムリーブス地下の賭博場ですっっ!!」
そう、僕はキュアミート先輩との約束を守り、
ソフィベルランドに『大人の遊び場』を多数作った、
温泉も引いて家族連れも楽しめるようにはしてあるのだが……
「あっ、あの空中映像だっけ、そろそろ新しいの撮ろうか」
ソフィベルランド入口上空に浮かび上がる、
魔石や音響装置や色んな物を組み合わせて作った、
動いている姿が声付きで浮かび上がる装置が宣伝をしてくれている。
『全裸~パラダイス!!』
温泉の縁で腰にタオル一枚捲いた、
僕とアルドライド国王陛下とナスタン国王、
あとジッポン国王が並んで軽快に動いている、映像広告とかいうやつだ。
(あれ作ったの五年前だからなぁ、そろそろ新作を)
映像の最後にはブロンズゴーレムが目を光らせながら両腕を動かしている、
首も回している、あれ子供に大人気らしい、確かに僕も最初に登った時は、ときめいた。
と、ぼーっと窓の外からそれを見ているとサリーさんに髪の先で耳をくすぐられた!!
「ひえっ?!」
「んもう、それで賭博場では、全部取られたんですか?!」
「その、少しは残すつもりだったんだけど、つい、熱くなっちゃって」
とはいえ、あそこのゲームは本当に面白い、
カードゲームは多種多様でウチの、運営側の青狸獣人が『バカラ』とかいう遊びを得意としていたり、
あと丸い魔石を回転する円盤の中へ入れて1~36まで、あと0と00もあったな、どこへ入るか当てる遊びとか……
(そもそも金貨銀貨を『チップ』という別の室内通貨に変える時点で、税金で儲かっているんだよな)
だから僕のお小遣いがあそこで無くなっても、
売り上げに貢献しているから良いのでは?!
「オークレースもですが、ほ・ど・ほ・ど・にっ!」
「わ、わかっているよ、でもあの地下賭博場自体、赤字じゃないんでしょう?」
「それはもう大黒字ですが、だからってお小遣いは、増やしませんよっ!!」
とほほ。
十年経っても、だめ貴族だもの。 ミスト
(大赤字にならないからくりが実はありましてね……)
余談になるが多少の負けは次回の勝ちに繋がるので構わない、
いやこの場合の負けは胴元、運営側、つまりポークレット家側の話ね、
もちろん陛下にエグい税金を取られてるから、国側って言っても良いかも。
(でもたまに居るんだよなあ、一度にとんでもない大勝ちする人が)
その場合はどうするか?
あの賭博場のウェイトレスや各ゲームを運営する者は、
物凄く魅力的なメンバーで固めている、そう、それはそれは凄く魅力的な。
(僕ですらクラクラするレベルなんだよな)
兎獣人の女性、巨乳女エルフ、あとやっぱり最高なのは高位種のチャームサキュバス!
そのあたりが目を光らせていて、大勝ちしたお客様が『そろそろ帰ろう』となったときに耳元で……
『今夜、どうですか?』
もちろん有料、しかも凄い値段である、
だがこれで大概の男は落ちる、まあ中にはジッポンの国王みたいに
『断る!』
とだけ言ってじゃらじゃら換金して……
まあ、あのヒデトク様に関しては国家間の友好だと思って諦めているが。
来るのもたまにだし、うん、隔月、こっちに気を使ってるなアレ。
(ちなみに大勝ちしたのが、女性だった場合は……)
『オチ●ポコ、どうですか?』
とイケメン獣人や美形男性エルフ、チャームインキュバスが耳元で囁いて……
「ミスト、戻ったか」
「あっリア先生、コロシアムでの剣技、素晴らしかったです!」
「子供を四人も生んだからな、そのせいで衰えたとは思いたくない」
続いて第五夫人、アメリア先生も!
「私はどうだったかしら?」
「リア先生のお相手として、まだまだイケてましたよ!」
「あら嬉しいわ、まだまだ元気でいられるのもミスト殿のおかげよ」
うん、とても五十代とは思えない美貌でもある。
「ミスト、むしろ伯母上が私のお相手をしてくれていたのだ」
「そうですね、感謝です」
「あら、なら待望の男の子でも……」「あははは、ま、まあ」
結局、アメリア先生との子はふたりとも女の子だったなぁ。
「あっ、ミストさん」
「エスリンちゃん!!」
次々と僕の奥さんが、居間へ大集合である。
(十年越しの、答え合わせが待ってるからねっ!)
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