第460話 教会群で花嫁のお披露目会 前編
旧中央街の領主お仕置ベッド前、
いつだったか真夜中の極秘結婚式をやった場所に、
昼前の僅かな時間だけ、花嫁のお披露目である。
(孤児院のみんなには、間近で見て欲しいからね)
一足先に正装で待つ僕、
ちなみにリア先生のご両親は昼食のため地下牢です、
これが終わったらコロシアムと合同教会の式が終わるまで、また吊るされるとか。
「なかなか様になっているデュフね」
「あっ先輩、肉の振り方はどうなりました?」
「徹夜での会議の末、程々に来る事になったデュフ」
良かった、もう会えないって事は無いんだ。
「今後ともよろしくお願いします」
「例の件は進めてもらえるデュフね?」
「ええもちろん、レイミーさんとも相談して、って彼女は?」「今日から担当デュフよ」
いやそれはもちろん良いのだけれど、
今どこに居るんだろうっていう、まあいいか。
(別にメイドとかじゃないんだし)
でもサリーさんみたいに、なし崩し的に……はさすがに無いか。
「さあ、準備が出来たみたいデュフよ」
孤児院からソフィーさんリア先生エスリンちゃんが出てきた、
さらに大教会から車いすのリア先生、押してくれているのはミランダさん、
そしてキリィさんモリィさん、聖教会からベルルちゃんとベルベットちゃん、って!
(なんで娘予定も花嫁姿っぽい感じなんだろ?!)
合同教会からはエスタさんと娘のアンナちゃんも花嫁衣裳ぽい、
あとサリーさんもこっちからか、最後にどっかからジゼルさん、
きっと精霊教会からだろう、造ったって報告うっすら聞いたし。
(みんな、みーんな純白の花嫁衣裳だ)
そして僕を取り囲む、
ええっと、これはまずどうしたらいいんだろう、
とりあえずうん、みんな笑顔だ、それぞれに声をかけよう。
「ソフィーさん、綺麗だよ」「ありがとう、ミストくん!」
「ベルルちゃん、可愛いよ」「ありがとうですわ、ミスト様!」
「リア先生、素敵です」「ありがとう、ミストも格好良いではないか」「ありがとうございます」
頭を下げておこう。
「エスリンちゃん、お嫁さんになってくれて、ありがとう」
「はいっ、私もミストくんの所へお嫁に行けて、結婚できて、ありがとう」
あの連れ去られた時のエスリンちゃんの言葉、
それをあえて打ち消すために言ってくれたみたいだ。
「アメリア先生、マタニティウェディングドレスも良い感じです」
「ふふ、ありがと、出産したらまた改めて、形だけでも式をしたいわ」
「はい、何度でも」
あーでもこんなこと言っちゃったら、
みんな個別結婚式やりたいって言われたらどうしよう、
まあいいや、それはそれで、とことん付き合おう。
(どうせこんな、だめ貴族にできる事なんて、それくらいだし)
「ミランダさん、美しいです」
「まあ、愛人風情に、ありがたいです」「風情だなんて!」
続いてメイドアサシンもこの時ばかりは可憐な花嫁だ。
「キリィさん、見惚れちゃいます」
「ありがとうございます、このような幸せを授けていただき、感謝しかありません」
「僕だって嬉しいよ!」
そしてモリィさん、うん、僕が間接的に伝えた通り、
いつも一緒のキリィさんとはドレスをできるだけ揃えないで欲しいと言った、
その要望通りだ、だってキリィさんはキリィさん、モリィさんはモリィさんだから。
「モリィさん、純白なドレス姿、とても似合っていますよ」
「ありがとうございます、私、私、嬉しいです」
「僕だって嬉しいよ!」
あっいけね、返事がカブっちゃった。
「ジゼルさん、こんなキュートな花嫁、貰っちゃっていいのかな、いえ、貰わせて下さい」
「ありがとうございます、今後も誠心誠意、仕えさせていただきます」
「いや奥さんって対等なものじゃ」「準愛人ですよ?」「奥さんですよ!」
うん、僕にとっては順番関係なく奥さんは奥さんだ。
「エスタさん、アンナちゃんも、まとめて僕に所へ、ってすでに名前的にはポークレットだもんね」
「はい、娘共々、よろしくお願いします」「アンナはいつパパと結婚するの~」「はは、こらこら」
流れ的には僕の息子と結婚させるんだっけ?
あまり本人の希望関係なく政略結婚とかさせたくないな、
ジッポンの王子に惚れちゃったりしたら……まあ、その時に考えよう。
(あっ、ベルベットちゃんも僕の声を待ってる!)
「ベルベットちゃんも、今日は予行練習かな? きゃあわいいよ」
かわいい、ではなく、きゃあわいい、である。
「ありがとーーーーー!!」
「ちょ、声おっきい、わかったから」
「りょーしゅさまとししょーーのあいだの、おとこのこに、とつぎまーーーーー!!!」
あっ、ちゃんとわかっているんだ。
(そして最後に、って相手は第四公爵家の御令嬢なんだけどな)
「サリーさん、すごいねその豪華なウェディングドレス」
「わっ、わたくしめ、そのっ、いっ、いろいろなことを考えますとですねぇ!」
「ありがとう」「こっ、こちらこそっ、あああありがととととうございますうううっっ!!!」
うん、変態メカクレも今日は許せる、
って元々、全て受け入れていたけれどもね、
結婚後は道具もあまりエスカレートしないで欲しいけれども。
(さあ、全員のに声を掛け終わったぞ)
「ええっと、それでこれから、あっ、神父は肉の王子様?!」
「惜しいデュフ、さあ、来るデュフよーー!!」
「おーほほほほほほほ!!!」
あー、どっか(多分、新設したばかりの真教会)から来るこの声はぁ!!!
「滑り込みセーフですわ!!」
「レイミーさん、なんでウェディングドレスなのー?!」
「事実上の、第十二夫人に立候補に来たからですわ!!」
(えええええぇぇぇぇぇ……)
押しかけ花嫁にドン引きする
だめ貴族だもの。 ミスト
「さあ、どうするデュフか?」
「えっと、断ったらどうなるんでしょう」
「レイミー、どうするデュフ?」
眼鏡をきらーんとさせるレイミーさん。
「そうですわね、昨夜の様子を、ミスト様のおっしゃられた最中の言葉を一語一句ここで……」
「そんな脅しはやめてー!」
「さあ、いかがなさいます? さあ、さあ、さあさあさあ!!」
僕の下した返事は……!!!
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