第302話 南東が落ち着いたら次は北西ですか
「グギャアアアアアアアーーー!!」
正真正銘の勇者剣でトドメを刺したリア先生!
「よし、これで終わったな」
ムスタ近くの封印ダンジョン、
そのラスボスである『ブラッディーベアー』を倒した所だ、
今回も玉座ではないがボスの背後にあった闇の渦を光魔法で固めて回収する。
「アンデッドと違って大変でしたね」
「いや、手間がかかっただけで我々はまったくの無傷だ」
もうこれ、冒険者というよりダンジョンの掃除屋みたいなもんだ。
「これもう僕ら、魔王とか倒せるんじゃないですか?」
……シーンとなるダンジョン内、
あれ? 僕、変な事、言っちゃったかな?
(まさかソフィーさんベルルちゃんが、本当に魔王だとか?!)
「さてミスト、今後の事なのだが」
「あっ、はい」
「ガラント帝国がいよいよ動くとの情報を得た」
ええっと、確かアルドライド王国の北西、
十二、三年前にそこと大規模な戦争をしたんだっけ、
しかもなぜか魔物のスタンピードと重なってだとか。
「攻め込んで来るんですか」
「ああ、時間の問題だ、できれば先手を打ちたい」
「そうなると、またビッグバンメテオですか」
ソフィーさんベルルちゃんを見ると首を左右に振っている。
「それですとアルドライドが戦争を仕掛けた事になりますね」
「ですわ、ビッグバンメテオはもうすっかり有名になってしまいましたわ」
「そうなんだ、あれ使うと僕らの仕業ってバレバレなのか、もう」
でも、勝てるのであれば先制攻撃でも良い気がするんだけれどもなあ。
「なので先手を打つにしても、我々とは気付かない方法でやらねばならない」
「あくまでも、何か自然発生的な魔物とか」
「そうだな、そいつが帝都でひとしきり暴れてくれれば、それで良い」
うーん、謎の魔物襲来かあ、
ソフィーさんベルルちゃんの正体が魔王なら、
謎のマスクでもつけて焼野原にしちゃった方が早くない?
(とは口に出せないよね、さあどうしよう)
「ええっと、仕舞っちゃった魔女ありますよね、あれを帝国に放つとか」
「ミストくん、どうやっていう事をきかすのですか?」
「記憶を消すにしても今からでは時間がかかりますわ」
「あっ、でも孤児院にすでに記憶を消したのが」
「あれはナスタンの王子のものですね、それに魔女五人使った所で威力はたかが知れているかと」
うーん、こうなるとますます僕らがマスクつけてとか。
「んー、うちのティムしてある、食肉用に繁殖してるオークを大量に送り込むとか、
それ言ったらサキュバスやラミア、あとオーガの皆さんも、ミミックは……どうだろう」
「ミストくん、それでしたらもっと良い魔物が居ますよ」
「ですわ、ミスト様が自ら封印した、暴れ始めると手に負えない巨大な魔物がおりますわ」
え、そんなの居たっけ?
ええっと、えええっとおー……
「僕が自ら……あ! 砂漠の!!」
「思い出したようですね」
「あれを帝都に放つ手がありますわあ」
確かにあんなものに暴れられたら、
アルドライド侵攻どころじゃなくなるな。
「でも、でも問題はどうやって帝都まで行くかですよね、転移テントは」
「マジカルリスタートの皆さんにお願いすれば、できない事はありませんが」
「ただ証拠が残ってしまいまわ、それにあの方達はナスタン最大のダンジョンを攻略中ですわ」
そんなことやってるんだ、
まあ彼らも実績を積まないといけないからね、
あえて最大のダンジョンを譲った、とかありそう。
「えっと、じゃあ」
「上空から落としていただきましょう」
「ですわ、凄まじい速度で帝都上空まで行けて、魔物を落として帰ってこられる者が約1名おりますわ」
……思い浮かぶのはあの少女、でも8歳じゃ?!
「できるかなあ」
「やらせてみましょう」
「きっと、成し遂げてくれますわ、わたくしの愛弟子ですわ」
大事な工作を8歳の少女に頼む
だめ貴族だもの。 ミスト
「んーーーー」
「どうしたミスト、難しい顔で考え込んで」
「アレを帝都に落下させて暴れさせるとなったら、相当な死傷者が出ますよね」
「何を今更、戦争だぞ、しかも前回はこちらに多大な犠牲者が出た」
「いや、人が大量に死んでいくの、ベルベットちゃんが見下ろしてて平気かなあって」
自分のした事の罪に押し潰されたりしないか、心配だ。
「ミストくん、そのあたりは平気かと」
「ベルベットなら大丈夫ですわ、そう躾けてありますわ」
「な、ならいいんだけれども……出発前、一応、話はしてみるよ」
空飛ぶ幼女に大量虐殺させるのは、正直、胸が痛い。
「ミスト、とにかくもうこれでナスタン周辺での仕事は終わりだ」
「早く帰って、一旦お休みにしましょう」
「ですわ、帰ったら新しい月、すぐにエスリンさんの誕生日ですわ」
あっ、そうだった!!
「誕生日プレゼント、ボリネー先輩にお願いしてたんだった」
「指輪、でしたよね」
「肉塊様チョイスでしたら問題ありませんわ」
「ボリネー先輩の事だ、こちらの想像を遥かに超える物を用意してくれるだろう」
白金貨でお願いしたからね、
どんな指輪がやってくるのか、
楽しみであり、ちょっと怖い。
(指輪どうこうより、ちゃんとエスリンちゃんの心を取り戻さないとなぁ……)
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