百葉箱手首切断殺人事件
第44話
「何であの右手が
そう語るのは右手の第一発見者、気象学部三年の
「……えと、空閑先輩は腕の持ち主である
「ま、そりゃねェ。二年連続同じクラスだったわけだし。特別仲が良かったってわけじゃないけどさ」
「……最後に古川先輩を見たのは何時ですか?」
「んー、教室で見たのは一週間前が最後かな。栞菜は基本レアキャラで、大体何時も図書室にいることが多いから」
「……図書室?」
「……うーん、でもおかしいなァ」
空閑はそう言って首を傾げている。
「……おかしいって、何がですか?」
「だって百葉箱の中にあった右手は結構匂うって言うか、冬場であれだけ腐敗が進んでるんだから二日以上は経ってると思うの。まァ素人の見立てではあるんだけどさ。だけど昨日、図書室で栞菜を見たって言ってた奴がいたんだ」
「…………」
――どういうことだ?
――古川栞菜は昨日の時点では生きていた?
「……誰がそう言っているんですか?」
「私の幼馴染みの
「……ストーカー、ですか」
「確か昨日の放課後に図書室の窓際の席に座っていたって、訊いてもないのにベラベラ喋ってたような」
「……あの、その人と少しお話ししたいんですが」
「あんなナヨナヨしたオタクと? アンタも物好きだねェ」
空閑美弥子はそう言って、トロンとした垂れ目を糸のように細める。
「……はァ」
「いいよ、これから電話してここに呼んであげる。アイツ、ラジオ体操部で学校に来るの無駄に早いからもう登校してるだろうし。その代わり、犯人わかったら私にも教えてよね」
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