第43話
「
「……ですから、志摩先輩にはアリバイがあるんですって」
「志摩さんが犯人なわけねーだろ、バーカ」
「…………」
「……ふん、自分のトリックに余程自信があるみたいやが、既にお前のアリバイトリックは看破した。あ、そういやこれはお前のやのうて
「……よく喋る探偵だこと。それで時限装置は見つかった?」
「ああ。非常階段。それ自体が時限装置やったんや」
白旗が口角を上げると、対照的に志摩の顔から笑みが消えた。
「大昔に
「……非常階段にそんなバネのオモチャがあったのかよ?」
「ちゃあんとあったよ。ドロドロに溶けたプラスチックのバネの残骸が」
「……それで、どうやって被害者を焼死させたってのよ?」
志摩は額に張りついた前髪を払いながら白旗を睨んでいる。
「もしも、階段からゆっくり降りてくるバネのオモチャが電気を帯びとったらとったらどうや? お前はスリンキーに渇いた布なんかを擦りつけて、静電気を発生させた。この冬の時期や。空気が乾燥しとるし、静電気はすぐに溜まる筈や。そしてスリンキーが階段を降りた先にガソリン塗れの気絶した隅田を配置しておけば、静電気の火花が引火して時限殺人の完成や」
「…………」
志摩は顔面蒼白で、ペタンと床に尻餅をつく。
「……志摩先輩?」
「……志摩さん、嘘だよな?」
「……隅田
「それはスマンかったなァ。俺も自分で自分の才能が怖ろしいで」
「
白旗はそこでムッとしたように口元を歪める。
「……ふん、他人の
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