第34話
翌日、
「……何でお前がここにおんねん!?」
放課後、
「シロちゃん先輩、ふみ
「…………」
旧校舎殺人事件の犯人は、映画部二年の
事件現場の生物室に八巻蘭の指紋と毛髪が残っていたことと、八巻の家がガラス屋だったことが逮捕の決め手となった。
「大体お前、犯人やったんとちゃうんか!? 警察は何しとんねん!!」
「ああ、僕が殺し屋っていうの、あれ嘘だから。冗談。ジョーク」
「……はァ!?」
「本当は僕、小説家目指してんの。書いてるジャンルは推理小説。それも物理トリックをメインにした、読者にフェアな謎解きを楽しんで貰えるような小説なの。
「……まさか」
「びっくりしちゃったよ~。できあがった小説を知り合いに見せたら、僕が書いたトリックその通りの事件が起こるんだもん。これも一種の盗作ってことになるのかなァ? あ、でもほら、紙の上で何人殺しても罪にはならないわけだから、僕がやったことは犯罪でも何でもないってわけ。ご理解戴けました? シロちゃん先輩」
喜屋武はヘラヘラ笑いながらいいわけにもならないようなことを言う。
「……コイツ、よくもまァいけしゃあしゃあと。でも、ようやっとわかったわ。何でこの学校で殺人事件が頻発すんのか。全部お前が裏で糸引いとったんやな?」
「嫌だなァ、シロちゃん先輩。僕はネタをパクられた被害者ですよ~。それに全部が全部僕のネタというわけでもないですし~」
「やかましい!! どう言い繕おうと、お前がろくでもない人殺しやっちゅう事実は動かへんねん!!」
「……わかんない人だなァ。僕はアンタと同じで、声ちゃん先輩と遊んでたいだけなんだ。アンタが僕を憎んでいるのだとしたら、それは同族嫌悪ってもんですよ」
「一緒にすな、ボケッ!!」
「まァシロちゃん先輩と違って、僕は探偵としてではなく、声ちゃん先輩の敵として戦いたいんですけどね。そして、最後は絶対に僕が勝つ」
「……もうええ、お前二度と俺たちの前に姿現すな」
「……あ、えっと、それはちょっと無理かも」
「あァん!?」
「だって僕、将棋部に入部することに決めたから」
「……はああああああああああああああああああああああああああああッ!?」
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