第27話 ギリギリアウト
そこでホールでの過去の思い出話は終わった。
「エレンちゃん、本当にごめん。
お母さんとお父さん、最初から知ってたんだ」
ぱんと手を合わせながら母親が謝ってくる。
「父さんもな……非常に苦しかったんだ。
父さんと母さんの年齢を聞いたら、両親にしてはいろいろ無理があると思ったかもしれないが……いや、本当にギル兄ぃに似ず素直で良い子に育ってくれて……」
父さんも手を合わせて謝ってくる。
両親の年齢を聞いて察しないおまえはバカだな、と言われているようでちょっとむかつく。
「でもな、エレンを一番下の妹とするギル兄ぃの計画はいろいろ無理があるんだ。
だって親父の死んでかなり経った後の子供になるからなぁ、自分と母さんの子供にするのが一番よかったんだ」
うん、実は先月結婚生活十年目のお祝いをしたときにちょっとあれっ?と思ったんだ。
わたしが生まれた後に正式な結婚をしたのかな、とかいろいろ私の中でつじつまを合わせたけど。お母さんの年齢からわたしの年齢を引くと、ぎりぎりアウトの年なるんだし。……怖くてそれ以上考えるのを止めたけど。
「それにエミリカさんが自分の一番末の妹っていうのも、いろいろきつかったんだ。
なんて本当はお父さんよりもけっこう年上――ぐぅは」
いろいろぶっちゃけを言いかけたお父さんが急にのけ反るとそのままソファですやすや眠った。
「――あ、ごめん。
ちょっと手が滑って魔法が漏れた」
お父さんに向かって人差し指を突き出したエミリカさんがそう言った。
となりで勇者が笑い転げている。
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