第19話 あの人はいま
「おおう、キミがギルとエミリカの子供かぁー。
いやぁすっかり大きくなって……」
生まれ故郷で村長をやっていた元神官が勇者の墓所に到着したのは墓所での騒ぎから三日経った後だった。
「は、始めまして。
エレノアと申します……」
わたしはホールの入り口でぺこりと頭を下げた。
「いやいや。初めてじゃないよぉ。
……もっとも最後に会ったのはまだ赤ん坊のころだけどねぇ」
伸ばした髭の下にある唇を緩めながら元神官は笑った。
「おっさん臭くなりやがって」
ホールの中からひょいと顔をだす勇者。
わたしの製造元の一人だ。
「村長なーんかやってるとこうなっちゃうんだよぉー。
まぁ久しぶりにパーティメンバーが全員そろった訳だ。
エミリカもオリジも中にいるんだろ
弟さん夫婦にも参加していただいて、まぁ今後のことを話し合おうや」
そう言って互いの拳を会わせてニヤリと笑い合う元神官と勇者。
「お嬢さんも早くお入りなさい」
「あ、はい」
わたしは元神官が開けて待っていてくれたドアの向こうに足を踏み入れた。
現在、勇者の墓所にいるのは警備に当たっている法王騎士団の面々のみだ。先日の事件以来、この公園は臨時休業となっている。
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