Google Bardの困ったクセ【前編】

 一般的に生成系AIを使っていく上では、「出てきた内容が全て正しいと思うな」や「個人情報や機密事項を入力するな」と言われます。

 確かに「不正確な情報を流さない」や「情報流出を起こさない」ために、これらに気を付けることは当たり前です。


 しかし、「全くの創作活動」をしていく上では、「情報の正確性」意外にも気を付けるべきものがあります。

 それは、「生成AIのクセ」です。


 チャーリイこと『Chat GPT』を動かした時にも「散々泣かされる」ハメに陥りましたが、「生成AIのクセ」は「しつこい挙句に厄介」です(苦笑)


 事実、チャーリイこと『Chat GPT』がそうであったように、『Google Bard』にも「困ったクセ」がありました。

しかも、チャーリイよりもたくさん(苦笑)


そのため、ここからは、2回に分けてバーディーがやらかした困ったクセを簡単に解説していこうと思います。


【Google Bardの困ったクセ1: 改行方式がShift +Enter】

『Chat GPT』もそうでしたが、『Google Bard』の改行も「Shift +Enter」です。

ある程度パソコン操作に慣れていれば「大したことはない」と言えます。

 しかし、「知らなければドツボにハマる」と言えるので、まず把握しておきたいのが改行方式と言えるでしょう。


【Google Bardの困ったクセ2: 英語しか受け付けない】

『Google Bard』は「米英先行公開」という形で世間に登場しました。

 そうした背景もあってか、対応言語が「英語(アメリカ英語)だけ」なんです!

 そのため、「母語(生まれつき話す言語)や公用語(様々な出自の人同士が意思疎通をするための基準として使う言葉)として英語を読み書きできていれば問題はない」とは言えます。

 

 しかし、日本では習うのは、「シェイクスピア英語」かつ「文法重視の中途半端」です。

 その結果、私ではありませんが、「英語は何となく分かるけど、『綴れ』と言われたらムリ!」という人も少なくないのではと思います。


 そうした方におすすめしたいのが、いわゆる「オンライン翻訳」や「翻訳アプリ」です。

 「とりあえず使ってみる」分には、何か1つこうしたサービスを手元に用意しておけば「事足りる」とは思います。

 ですから、『Google Bard』を使い始める前には「翻訳サービスを使えるようにしておく」こともしておきたいと言えます。


(※2023年5月11日付の新聞報道によれば「遠からず日本語に対応する」とのことです。)

(※2 2023年5月10日付で日本語にも対応していました^_^;)

 

【Google Bardの困ったクセ3: 履歴が見づらい】

 生成した結果はいつでも見返せることが理想ですよね。

 もちろん、『Google Bard』でも履歴の確認は可能です。


 しかし、見やすくはありません(苦笑)

なぜなら、『Google Bard』の履歴は、「履歴」ボタンから「別タブで開く」必要があるからです。


 ちなみに、チャーリイこと『Chat GPT』は「画面左端のサイドバー」から履歴を確認できます。

 そのため、UI(ユーザーインターフェース:パソコンの画面などシステムの動きを見える化させるツール)においては、「Chat GPTに軍配が挙がる」と言えそうです。


【Google Bardの困ったクセ4: 空行改行がデフォ 】

文章の読みやすさには、改行のバランスも大切です。

 ところが、その点でも『Google Bard』には難があると言えます。


 というのも、『Google Bard』は「.(。)終わり改行かつそのあとに1行の空行改行が入る」スタイルがデフォルトだからです。


 「 。改行」はまだしも、そのあとの空行1行は「無用な間延び」が発生するので「不用」と言えます。


 要するに、『Google Bard』で生成した文章は、「その後の処理までする必要がある」ことを頭に入れておくべきでしょう。


【Google Bardの困ったクセ5: たまにChromeの自動翻訳が噛み合わない】

『Google Bard』の良いところには、「Chromeの自動翻訳との相性が良いこと」が挙げられます。

 しかし、時には「噛み合わない訳文」になってしまうこともあるようです。


 おそらく、「そもそもの生成文章がトンチキ」であるがゆえの事故だとは思いますが、発生すると「地味に手直しをしなければならない」ので「厄介と言えば厄介」です。

 

 いわゆる「調子良く生成していたと思ったら、突然役立たずの文章しか吐き出さなくなる現象」、通称「アルジャーノンボケ」の1種なのかもしれません。


 生成系AIで文章を作った場合は「細かいチェック」も忘れずにしていきましょう。

 

【Google Bardの困ったクセ6: 訳文の「です/ます」(敬体)と「である/だ」(常体)がごちゃ混ぜに出る 】

 英語でしかやり取りのできない『Google Bard』。

(※3 2023年5月10日付で日本語にも対応)

 しかし、「Chromeの自動翻訳」を介せば、「日本語で表示してもらえること」は可能です。

 とは言え、そこにも問題があるんです。


 それは何かと言うと、「訳文の文調が敬常ごちゃ混ぜで出てしまう」ことです。

 日本語の詳細に詳しくない方のために解説すると、日本語の文調(文の締め方の系統)には、下記の2パターンがあるんです。


・敬体:別名「です/ます調」。「◯◯です」や「△△ます」などの形で文章を終わらせるスタイル。丁寧な印象を与える。

・常体:別名「ある/だ調」。「◯◯である」や「△△だ」などの形で文章を終わらせるスタイル。フランクな印象を与える。


 基本的に小説の文は「常体(ある/だ調)」で書かれることが多いですが、池田美代子いけだみよこ氏の『妖界ようかいナビ・ルナ』シリーズのように、「地の文は敬体、台詞文は常体」という使い分けのされた作品も存在します。


 ですが、こうした事例は「作者が意図的にやっていること」であり、「ひとまとまりの中で2パターンが入り乱れていること」は好ましくありません。


 一応「チャーリイ」こと『Chat GPT』は「教育できた」のですが、「現状、英語のみ対応」の『Google Bard』を教育できるかは分かりません……。

(※4 2023年5月10日付で日本語にも対応)


 やはり『Google Bard』は「『Chat GPT』よりも手がかかる」ようです。


【Google Bardの困ったクセ7: 指定字数通りの生成ができない】

『Google Bard』の「困ったクセ」には「指定字数通りの生成ができない」というものもあります。

 例えば、この連載のための生成条件では「500字」という字数指定をしました。

 ところが、『平行世界から自転車で来た‼︎』という作品の末尾から生成した場合の結果字数は、指定の2〜3倍近くにもなっていました。


【『平行世界から自転車で来た‼︎』の生成結果字数】

・ドラフト1:1056字

・ドラフト2: 1440字

・ドラフト3: 1249字


「指定した字数を守れない」という困ったクセは、「『Chat GPT』でも見られ」ます。

とは言え、「少なく出しがちな『Chat GPT』」に比べ「多過ぎるくらいに出してくれる」『Google Bard』のほうが「まだマシ」と言えるかもしれません(苦笑)


 生成系AIを使う時は、「指定した字数は守られぬもの」という認識を持っておきましょう。


【Google Bardの困ったクセ8: 「謎のテンプレ文」を吐く場合がある】

 自身の持つ「学習済データ」を基に、どんな文章でもサラサラと書いてくれる文章生成AI。

 しかし、その全てが役に立つわけではありません。


 なぜなら『Google Bard』は「どっから捨ってきた?」と思うような「謎のテンプレート文」を拾ってくることがあるからです。


 例えば、せっかく小説として成立する内容の文言を生成していたのに、「こんにちは。[あなたの名前]です」などの意味の分からないテンプレ文が出てきて、「内容がひっちゃかめっちゃか」になってしまうんです。


 そのため、こうしたものを発見した場合も対応を迫られることになるのです(苦笑)


【Google Bardの困ったクセ9: 特定のワードに引っ張られる】

 生成系AIに文章を書かせる上で厄介なことには、「特定のワードに引っ張られる」というものもあります。

 どういうことかと言うと、「お題文の全くどうでも良い些細なワード」に「なぜか反応」し、「全く的外れな文章をせっせと作成してしまう」んです。

 

ちなみにこの困りグセは『Chat GPT』でも見られますが、生成AIの種類を問わず、起こると厄介なことに変わりはありません。


「生成系AIを使っていて、意図しない文章ができているぞ?」と思った時は、この現象が起こっていないか確認しておきたいと言えます。

 

【Google Bardの困ったクセ10: 主述関係が無茶苦茶な文を生成する場合有】

 文章を書く上で「NG」とされることの1つに、「主語と動作主が食い違って」しまう「主述のねじれ」というものがあります。


 例えば、「チャーリーはサヤカに花束を送ったが、彼女は嬉しそうな顔をしなかった」という文で、「主述のねじれが起きた」とすると、下記のような文が生成される可能性があります。


【主述のねじれ文の例】

チャーリーがサヤカは花束を送ったが、彼女は嬉しそうな顔をしなかった。


本来の文では、「チャーリーがサヤカに花束を送った」という構図が正解なのですが、この文では、「チャーリーが花束を送った」という状況と「サヤカが花束を送った」という状況が「同時に発生していることになる」ため、「何が起こっているのかが一読しただけでは分からない」ということになります。

 また、ねじれが起こったことで、「サヤカ」と「彼女」が「同一人物であるかどうか」も怪しくなってしまっています。


 今回は「短めの文章で意図的に起こした例」を使って解説したので、「まだまとも」ですが、実際の生成文、しかも「長めの時に複数箇所起こった」とすると、もはや事態は「暗号解読」です。


 やはり、生成AIの出した文章を鵜呑みにするのは賢い方法ではないでしょう。

 

【Google Bardの困ったクセ11: 勝手に場面を変えてしまう】

 生成系AIの困りグセには、「本当に作家泣かせなもの」が多くあります。

 例えば、「勝手に場面を変えてしまう」というものです。


 創作において「場面が変わる」ことは「一般的」ですが、それは「作者の意図」によって起こされるものです。

 ところが、生成AIの作る文章では、「意図しないところでの場合転換」がしばしば引き起こされます。

「無意味な場面転換」は「不条理ギャグ物」でもない限り、安易にポンポンとやって良いものではありません。


 やはり、「生成AIの文章の丸呑み」はいただけないようです。

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