toad man 2
繁華街の真ん中、1階にザンギの美味い居酒屋が入っているビルの5階に整体がある。
二十三時までやっていて、多少残業をしても仕事終わりに疲れを取ることができるので、働く世代に人気だ。
もちろん、あやしいマッサージ店ではない。
腰痛持ちが祟って夜勤から日勤に異動となった当時のオレは収入が減って凹んでいた。
ボディメンテナンスのため訪れたその整体で、親切丁寧に初診の案内をしてくれた受付の女性に、オレは一瞬で落ちたのだった。
ワンルームの彼女の部屋は、今やオレと彼女の同棲部屋と化していた。
仕方がないのだ、オレは借上げ社宅住みだから。
日勤になったのはかえってラッキーだった。
彼女と付き合えたのはもちろん、生活リズムが劇的に整った。
仕事終わりは彼女の家に帰って作り置きの夕飯を食べ、深夜に帰宅した彼女とサクッとヤってそのまま寝落ちする。
腰痛はなかなか良くならないが、食費と光熱費は浮かせることが出来ているし、いい事づくしだ。
「カエデ、カエデ、好き」
カエデは顔を手で隠しているが、オレの囁きがその耳に届いているのを見逃さない。
つき合って半年のオレたちだが、マンネリ?倦怠期? というものはある。
最近の彼女は残業続きでなかなか疲れが取れず、オレとの行為にあまり集中できていない様子だった。
さらにここ数日は親御さんが泊まりに来ていたこともあって、オレは汚い社宅で自分を慰める毎日が続いていた。
だから今日のオレは、玄関で脱ぎ捨てた彼女のパンプスにさえ興奮するくらいに猛っているのだった。
自分で言うのもなんだがオレは変態だ。
せめて着替えさせてと拒む彼女を押し倒し、白衣を脱がせていく過程はたまらない。
ストッキングを脱がせた足も、制汗剤と汗の臭いが混じった腋の下も、皮脂で少しベタついた髪も、パンツの中で一日蒸れたあそこも、すべてがオレの興奮を誘う。
オレもあえて風呂に入らず汗まみれの状態で彼女を待つ。
彼女の肉体を押しつぶし、素肌が擦れ合って生まれる湿度を楽しむのだ。
まるで野生動物の交尾みたいに。
「愛してるよ、カエデ」
キスして囁くたびにカエデは震えた。
体液にまみれ、化粧がぐちゃぐちゃになったカエデの顔は快感に歪んでいて、たまらなく唆る。
オレは知っている。
初めは嫌がる素振りをみせても、乗り気ではなさそうでも、彼女はいつ何時もベッドのそばに隠すことなく自らゴムを用意しているのだ。
さらに二ヶ月ほど前、彼女は急に暗闇での目隠しプレイを所望するようになった。
激務続きで体のメンテが出来ていないからあまり見られたくない、というのが理由らしいが、よりにもよって暗闇目隠しプレイだぞ?
彼女もオレと同じくらい変態なのだ。
ドブとウンコよりも相性がいいことこの上ない。
しかし、フツーに見たいものは見たいだろ。
今日は久々だからと懇願するオレに、彼女は困ったように微笑んで、明かりをつけたまま目を見てすることに同意してくれたのだった。
裸の彼女はとても美しかった。
体のメンテなんてどうでもいい。
ムダ毛を処理していないのも、肌や髪が汗と脂でべたついているのも、濡れそぼった敏感なところも、オレだって同じさ。
オレの全てに応じてくれるカエデ、そして彼女の全てを慈しむオレ。
どこぞのカエルたちと違ってオレたちはほんとうに愛し合っている。
カエデは最高の女だ。
そんなこんなでいよいよ彼女とひとつになろうというとき、
「あーくん、ごめん、やっぱ、ちょっと、むりかも」
カエデが苦しそうに言った。
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