2-2 いつもより騒がしい校内②

「知ってるっていうのはつまり……かつて先生に教えてもらっていたということでしょうか」

「わからない。でも、そんなんじゃないと思う」


 そうだろう。さっきの彼女の反応を見るに、阿澄の画像は何かを思い出すヒントになるかもしれなかった。普通の生徒と先生の間にはない何かが、彼女と阿澄にある。


「あなたは、阿澄先生のことをどう思っていたんでしょうか」

「わからない。でも、何だろう。この人を見てあまりいい感じはしない。この人との間で、良くない出来事があったんだと思う」


 それを思い出せれば、彼女の記憶にぐんと近づける。阿澄が死んでしまった以上、彼から探るのはもうできない。彼女自身に思い出してもらうほかない。


「ねぇ和泉くん。頼みがあるんだ」


 彼女は一切の躊躇を見せず、和泉の目をまっすぐに見て言った。


「私に代わって、この先生を殺した犯人の手がかりを集めてきてくれないか」


 そう言われる気がしていた。


「この先生の死の真相を探ることで、自分の死の真相がわかるかもしれない。今のところ、手がかりになりそうなのはこの人しかいない。

 お願い。ここから動けない私に変わって、彼のことを調べてくれないか」


 彼女と阿澄がどう関わっているのか、和泉も気になるところだった。阿澄に対する個人的な感情はさておき、それが成仏に繋がるのなら、お安い御用だ。


「わかりました。先生の死について、調べてみます」

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