第9話 ホール、その顛末
遡ること一時間、ゴウタは酔った仲間の介抱をしていた。
(まったく、飲みすぎだろう。)
辺りはビールと日本酒の空き瓶が転がり、つまみとして持ち寄ったのかスナック類の空き袋が散乱していた。
「お。な、んだアレ?」
ぐでんぐでんに酔っぱらった中でトウが部屋の隅に何かを見つけたようだった。ここからでは薄暗くよく見えない。彼は千鳥足でよたよたと歩いていき、こちらへ持ってきた。古ぼけた日本人形だった。
「おー、こういうのウチにもあったわ。」けらけらと笑いながら無理やり腕を動かそうとすると、折れてしまった。「あー、やべーなー…まいっか。」
遊んでいるかと思いきやいきなり立ち上がり、人形が顔に被さったように見えた。ふざけているのかと思ったが、引きはがそうと必死になっているようだ。
「おい!」
トウはもがきながら階段のところまで後ずさると足をもたれさせて後ろに倒れた。がすん、と鈍い音がした。一拍置いて血が飛沫を上げて噴き出し、近寄ってもはや手遅れだと理解した。
その人形がこちらに飛びついてきた時に、こうやって殺されるのかと悟った。
うたたねしていた三人が目を覚ますと、次につんざくような悲鳴が上がったが、何が起きたのかを説明する者はここには存在しなかった。
残されたものは酔いながらもどうしたらいいのかと狼狽えつつ、死体を階段から動かした。腕のもがれた人形の着物が、床から血を吸い赤黒く染まった。
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