私の氷雪弾が射止める!!

「サッちゃんは、もう一発よろしく!

 ユキちゃんは、骨を吹っ飛ばして!

 キリちゃんは、分析お願い!」


 散開した全員に指示を出した萌香は、スカルドラゴンの正面で挑発する。


「オラァ! ブレスも吐けないダイエットしすぎの骨トカゲちゃんは、アタシの拳でバキバキに砕いてやるよぉ!」


 ガンガンと籠手同士を打つけて音を出す萌香へ、スケルトンドラゴンが巨体に似合わない俊敏さで襲い掛かった。


『GRAA!!』


 ブォン! ブォン! ガギンッ!!


「おっとっと、アブなッ!?」


 連続した尻尾の攻撃を避けていた萌香は、スケルトンドラゴンの噛みつきを間一髪で躱わす。


 その瞬間、


「隙あり、でござる」


 ズパン!!

 と、スカルドラゴンの長い尻尾が、根元である尾骨の部分で断ち切られる。


 更に、


「〔凍てつけ!!〕」


 ズダンッ! ダダダダダッ!

 と、断ち切られた骨の尻尾へ、大きな氷の弾丸と小さな氷の連弾が直撃して、吹き飛ばした。


「グッジョブ!!」


 そして、吹き飛ばされた尾骨の進行方向には、スケルトンドラゴンの突進を回避した勢いのまま回り込んでいた萌香が、構えた状態で待機していた。


 パキ、パキパキ……。


 吹き飛ぶ尻尾の全体が、食い込んだ氷の弾丸──氷雪弾に侵蝕されて凍りついていく。

 その氷結した尻尾の中心部へ向けて、萌香は気力で赤く輝いている左右の籠手を叩き込んだ。


「〈重ね〉!!」


 ドゴンッ!!


 凍りついた尾骨の中心が爆発したことで、粉々になった骨粉が、キラキラと氷の煌めきを撒き散らす。


『GRAAAAAAR!?』


 痛覚がある訳ではないが、己を構成する部位が欠損したことに気づいたスケルトンドラゴンが絶叫した。


「うし、作戦成功!

 流石に粉々じゃあ、修復は無理でしょ?」


 そう、萌香が笑って言うと、


「舐めるなよ、小娘がぁ!! 俺のドラゴンがこの程度で負けるかよぉ!!」


 再び、野天は叫びながら、長杖を掲げた。


『G、GRA!? GRAAAAAAaaaaaaaR!!!!』


 異界のチカラが、スケルトンドラゴンへと更に注ぎ込まれ、失われた尾の骨が再生していく。

 しかし、その色はドス黒く濁っており、再生中のスカルドラゴンも、苦しむように藻がいていた。


 その様子を見た萌香が呆れたように肩をすくめた。


「黙って待つワケないでしょ?

 サッちゃん、首飛ばしちゃって!!」


「承知……ぬッ!?」


 桜が萌香の指示で、隙だらけのスカルドラゴンに追撃を加えようとするが、スカルドラゴンの周囲に突然現れた数十体の骸骨を見て足を止めた。


「バカ共がぁ!! 此処は俺が見つけた偶発的なパワースポット……深度は6だぞ!?

 その中心部なら、お前達が無視してくれた雑魚妖魔共を、召喚し直すなんざ楽勝なんだよぉ!!

 さぁ、俺のドラゴンのために、骨身を惜しまず働け、雑魚共ぉ!!」


 次々と、骸骨が増加していき合計は数百体となっていた。

 全てが瘴気を放つ妖魔である。


「はあ? あの量の妖魔を制御?

 イミフなんですけど!?」


 スカルドラゴンの周囲に展開している骸骨妖魔軍に、一旦距離をとった萌香は、状況が分からず困惑した。


 すると、霧子が隣に現れて、萌香が指示していた分析の報告を始める。


「モカさん、スカルドラゴンの尻尾モドキが骸骨達に繋がっているっす。

 混沌を介して妖魔をコントロールしてるっすね」


「やっぱ黒いのは混沌かぁ……」


 危険な[禁忌指定秘物]を思い切り利用している野天の姿とスカルドラゴンを交互に見て、萌香はゲンナリした。

 その様子に構わず、霧子は報告を続ける。


「[混沌の欠片]はあの杖っすね。

 どうやら、異界の核である石版を召喚の補助システムとして利用することで、混沌を制御してるみたいっす。

 ただ、あのスカルドラゴンは混沌に耐えられていないっすから、もっと砕けばカタチを保てずに崩壊するっす」


「……え? 虚仮威しってこと?」


「多分、本来はスカルドラゴンに混沌への耐性を付与してから、召喚実験をする筈だったんだと思うっす。

 ぶっちゃけた話、"名持ち"でもない地竜型のスカルドラゴンなんて、飛べず吐けずの大きなトカゲの標本っすから」


「あぁ、なるへそ。ネームド化を狙って、ボクの考えた最強のスカルドラゴンを創るつもりだったワケね」


「使役系秘術師の業っすね」


「それじゃあ、ギャルパンチで男のロマンとやらを粉々に砕いてやりますか!!」


「む、惨いっす……」


 顔を引き攣らせる霧子と対照的な、いい笑顔を浮かべた萌香が叫ぶ。


「ユキちゃん、派手にお願い!!」


「はい! お任せを!!」


 その指示を予測していた雪姫は、既に位置取りを済ませた場所で萌香に応じながら、


 ズダンッ!

 と、無造作に斜め前方へと、大きな氷の弾丸──氷雪弾・大を撃ち込んだ。


「《氷雪の魔弾術師 蔵王雪姫》、行きますっ!!」


 そして、【名乗り】を上げた雪姫が、紫色の魔力を全身から迸らせながら、撃ち込まれた氷結弾・大に向かって飛び上がると、


 パキ、パキパキ……。


 地下空間の床に食い込んだ弾丸から勢いよく氷柱が伸び始めていく。


 その頂上へトンッと、軽い身のこなしで着地した雪姫は、間を置かず両手に二丁の銃を構えると、上方から骸骨妖魔軍に向かって氷雪弾を連射し始めた。


 ズダンッ! ダダダダダッ! ズダンッ!


『『『ゴッ!?』』』


『『『ガッ!?』』』


『『『ギッ!?』』』


 制御されているからこそ反撃も覚束ない骸骨妖魔軍へ、雪姫が両手に構えて氷雪弾を際限なく撃ち込んでいる銃──魔導銃は、左右で意匠に共通点がありつつも、形状が異なっていた。


 右手に握られた、リボルバー型で氷雪弾・大を等間隔で撃ち出している魔導銃[コールドパイソン]。

 銃口からは想像できない強力な魔力が籠った氷の弾丸が、骸骨妖魔軍を囲むように六ヶ所の地点を正確に貫いていく。


 左手に握られた、オートマチック型で氷雪弾を連続で撃ち出している魔導銃[フリーズイーグル]。

 魔力の続く限り弾切れを起こさない魔導銃から吐き出され続ける弾丸が、骸骨妖魔達の頭部へと連続で着弾し続けていく。


 優美な銀細工で蛇と鷲の意匠が彫られた、二丁の魔導銃を自在に操る雪姫は、左右の腕に別の意思があるかのように、異なる目標へ凄まじい精度で氷雪弾を命中させていった。


 そして、右手の銃から六ヶ所への狙撃を成功させた雪姫は、連射していた左手の銃と共に、両手の銃でクルクルとガンスピンを決ながら、冷酷な声で呪文を囁いた。


「〔冷たくなって、重くなれ〕」


 すると、骸骨妖魔軍へ撃ち込まれて頭部に食い込んだ氷結弾が紫色に妖しく煌めき、


「跪きなさい、〈雪んこ〉」


 スチャリとホルスターに両手の銃を納めた雪姫の宣告によって、


 ズズン!!


『『『『『ゴガッ!?』』』』』


 一斉に、骸骨妖魔軍の大半が、頭から床に倒れ込むことになった。


 更に、銃を手放した雪姫は、胸の前で腕を組み、絶対零度の視線で倒れ伏す骸骨妖魔達を見下ろすと、右足に魔力を纏わせて、


「〔こごれて、縛れ〕、〈氷縛陣〉!!」


 ダンッ!


 呪文と同時に氷柱を勢いよく踏みつけた。


 ズガンッ!! バキ、バキバキ……。


 氷柱に流し込まれた魔力と同調した六ヶ所の氷雪弾・大が、爆発するように弾けて氷の茨となる。


『GRAAAAAAR!?!?』


 そして、床に倒れ伏している骸骨妖魔の頭部に食い込んだ氷雪弾が共鳴することで、茨の範囲と重量が加速度的に増した結果、骸骨妖魔軍の中心に存在するスカルドラゴンごと、全てが凍りついていった。


(魔弾共鳴──〈氷雪重縛陣〉成功です。

 でも、やっぱりパイソンとイーグルを撃っていると、少しだけ気分がオカシクなってしまいますね……?)


 骸骨妖魔軍を媒介にすることで、スケルトンドラゴンを魔弾で射止める作戦を成功させた雪姫は、微笑んだ……つもりであったが、客観的には全てを見くだすような冷笑を浮かべていた。


 蔵王雪姫──お淑やかな退魔士の少女は、

旧き時代に雪女の血を受け入れた秘術師一族の血筋であり、【氷雪】の異能力を有する強力な秘術使いである。

 また、戦闘時、特に魔導銃を撃ち続けるほど、血に眠る雪の女王たる気質が、強く表に出てしまうのだ。


「ユキちゃん、パーペキ!! それじゃあ、いくよぉ!!」


 雪姫の連続技が決まった瞬間に、ロケットの如く萌香が飛び出した。


「モカ殿の露払いは任せるでござる」


 いつの間にか、萌香よりも前方で待機していた桜が、刀を下段に構える。


「〔先駆け御免!!〕」

 

 そして、呪文と共に鋭く斬り上げられた刀から、水流の斬撃が放たれ、幅三メートル程度の高波へと変化しながら直線上を薙ぎ払っていく。


「〈流し斬り:高波たかなみ〉……でござる」


 ザバババーンッ!!


『『『ッ!?』』』


『GRAAaaR!?』


 氷の茨ごと捕らえられた骸骨妖魔達が声もなく砕け散り、スカルドラゴンの横腹へと直通する道が拓かれる。


「おおおおお!!!!」


 刀を振り上げたまま残心する桜の横を疾走してすれ違った萌香は、高波を追うようにその拓かれた道を走り抜けた。

 その走り抜けた萌香の両籠手は、真っ赤に輝きを放っている。


『GRAAAAAAR!!』


 バキッ、バキキ……。

 と、高波が直撃した横下腹以外を氷の茨で拘束されているスカルドラゴンが、自らに迫る危険を察して激しく足掻いた。


「はッ!!」


 しかし、スカルドラゴンが拘束を解くよりも早く接近した萌香が、走る勢いそのままに飛び上がる。


「〔七撃一殺!!〕」


 ドドドドドドドッ!!!!


 そして、スカルドラゴンの氷結している背骨に向かって、左右の拳で七連撃を一息に繰り出した。


 氷を砕いて背骨に刻まれた七つの打撃痕が真っ赤に輝くと、徐々に重なり合いながら輝きを増し始める。


 連撃を叩き込んだ後、スカルドラゴンの肋骨を蹴り飛ばして後方へ宙返りしながら、萌香は呟くように宣言した。


「万代流──〈重ね:七段〉」


 ドゴォン!!!!


 〈重ね〉を十倍以上強力にした気の爆発が起こり、スカルドラゴンの背骨を中心から真っ二つにする。

 それだけではなく、爆発の衝撃と共に赤い気の流れが氷の茨を伝達していき、凍りついた全ての骸骨妖魔を砕いて消滅させた。


 爆発の勢いを利用して離脱した萌香は、体操選手のように身体を捻りながら、砕けて消滅していく骸骨妖魔軍の中心に着地する。


「うし、ユキモカコンボ大成功!!

 着地も花丸満点でしょ!?」


 ピタリと両手を上げて静止したモカは、目の前に立つ仲間達に笑顔で尋ねた。


「最後の捻りが高得点でござったなぁ」


「何の評価っすか……? それより、雪姫さんとモカさんの大技が決まったおかげで、残りは壊れかけの頭蓋骨だけっすよ」


 モカのフォローをするために、後詰めをしていた桜と霧子が、周囲を観察しながら軽口を叩く。


『graa……』


 氷の茨は一斉に砕け散り、全ての骸骨妖魔が消滅していた。

 ポツンと残されたスカルドラゴンの頭蓋骨だけが、ヒビ割れた状態で僅かに唸っている。


「やっぱ、脳天直撃にするべきだった?

 二人とも、悪足掻きされる前にトドメを刺しちゃうよ!」


「では、拙者が……」


「待つっす!! ……コレは!? 周囲の瘴気が核に逆流しているっす!!」


 弾かれたように全員が、野天を見る。


 視線の先で、野天はスカルドラゴン達の敗北に目もくれず、一心に両手で握った長杖を異界の核である石版へと向けていた。


 ズズズ……ズズ……。


 そして、召喚陣を刻まれた石版は、不安定な音を響かせながら、大量の瘴気を吸い続けており、不気味な黒い染みが石版の大半を侵蝕している。


 背を向けながらも、戦況を把握していたのだろう。長杖を下ろした野天が、萌香達へと振り向いた。


 野天の表情は、凪いでいた。

 混沌を制御し、瘴気を利用する。禁忌の秘術を行使し続けていた影響で、不安定だった精神状態が、束の間の安定を得ていた。


「やってくれたな……?

 スカルドラゴン……俺のドラゴンを……寄ってたかってボコボコに……。

 いや、負けることは分かっていた。

 貴様らの霊圧と戦闘力は、C級以上……混沌を制御したとしても……混沌……?

 あぁ、そうか……予知か……貴様らは、俺の栄光を盗み視て、わざわざ潰しに来てくれたという訳か?」


 しかし、その安定は嵐の前の静けさに過ぎないのだ。


「ユキちゃん!」


 異変を察して合流した雪姫へと、萌香が素早く指示をだす。


 ズダンッ! パキッ!

 と、氷雪弾・大が再び野天の前で弾かれた瞬間、何かがヒビ割れるような音する。


「あの状態でも弾くとはね……骨になっても宝を守るドラゴンってこと?」


 顔を顰めた萌香は、散乱する骨の中で唯一カタチを残しているドラゴンの頭蓋骨を横目で見た。


「瘴気の逆流を考えると、止めを刺すのは間違いなくトリガーっすよ」


「だよね……。コレ、絶対お約束パターンに入ってるわ……」


「諸行無常でござるなぁ……」


「『お約束には"認識"の修正力がある』という説もありますから……」


 《雪月花》の全員が諦めた顔になる中で、段々と野天が興奮していく。


「無駄だ……既に準備は終わっている。

 そうだ……無駄になったのだ……俺の努力も、栄光も……だが、愛は残っている。

 スカルドラゴンへの……いや、ドラゴンへの愛が……だからこそ、敗北を認めた上で……俺は愛を貫く!!

 ドラゴン死す時、俺の世界も死ぬのだ!!

 そして、死にゆく愛の手向けに、貴様らの世界も道連れにしてやる!!

 ああ、そうだ!! もう、遅い!!

 俺のドラゴンを倒そうが、俺を殺そうが、異界の核を破壊しようが、止まらんぞ!!

 既に混沌の召喚陣は起動している!!」


 異界の核である石版が漆黒に染まり、召喚陣が穢れた銀色に輝きながら、出鱈目に改変されていく。


「ギャハハハハハ!!

 召喚指定は『混沌』のみだ!!

 ランダム召喚!! みんな大好き、ガチャの時間だぞ!?

 最低保証は深度6だぁ!! 悍ましき混沌に侵された化け物を……いや、もしかしたら、混沌そのモノを呼べるかもなぁ!?

 貴様らは逃げてもいいぞぉ?

 人界を混沌が侵蝕してもいいならなぁ!?

 さあ、混沌災害の始まりだぁ!!」


 混沌の召喚陣を描く穢れた銀色が強く発光する。

 漆黒に染まった石版がカタチを失い、その場に召喚陣だけが浮き上がった。

 そして、その召喚陣の奥から、唸り声のような、くぐもった重低音が響いてくる。


 ドルンッ! ドルルルンッ!!


「全員、警戒!!」


 萌香の指示に退魔士全員が身構えた。

 野天は召喚陣へ向き直り、両腕を広げながら、哄笑し続ける。


「ギャハハハハハ!!

 来たれ!! 混沌の絶望よ!!」


 野天の耳障りな笑い声と謎の重低音だけが響いている地下空間が、輝きが限界に達した混沌の召喚陣が発動すると、瞬間的に銀光で染め上げられた。


  ドルルルル……ドウンッ!!

 と、召喚陣の発動によって、全員の視界が眩む中で、ハッキリと聴こえだした重低音と共に爆発音が轟く。


「ギャハハハハ!! 来た、あづっへぶうぅっ!?!?」


 ドゴォッ!!!!


「「「「ッ!?」」」」


 萌香達が状況を把握しようした瞬間、凄まじい衝突音が地下空間に響き、召喚された存在に跳ねられた野天が、冗談のように吹き飛んでいく。


 ドサッ……。カラン、カラカラ……。

 キキィィィ!! ズザザザァァ……。


 数十メートルも吹き飛ばされた野天が、萌香達の目の前に落下し、長杖が虚しく転がる最中に、激しいブレーキ音とタイヤを滑らせる擦過音が続いた。


「「「「…………????」」」」


 反射的に振り返った萌香達は、揃って言葉が出ないほどに困惑した。


 様々な"神秘"を体験して来た退魔士達であっても、ソレを理解することは難しかったのだ。


 全身を覆っているベルトが複数ある襟が高い黒のロングコート。

 上半身はピッチリと肌に張り付く濃い灰色のインナー。

 下半身は滑らかな黒革のパンツと同じく革のゴツいブーツ。

 左腕に巻かれているのはエジプトのミイラや聖骸布を連想させる古ぼけた包帯。

 右手にはシンプルながら金属で補強された指貫グローブ。

 コートを含めた全身に銀のチェーンが装飾とされており、背には閉じた眼を模した金色の魔法陣が描かれている。


 そんなイカれた衣装を着ている謎の小柄な少年が、三毛猫模様で炎を噴き出す大型バイクに跨っているのだ。


 そこには確かに混沌があった。

 召喚陣は混沌の絶望を召喚したのだ。

 ただし、絶望に叩き込まれたのは、白骨野天だけであったが。


 謎の少年は、静止した状態で自立している三毛猫バイクに跨ったままで、周囲を見回していたが、視線に気づいたのか萌香達の方を注視してくる。


 そして、突然、右眼を手で押さえながら、謎の少年は呟いた。


「くっ!? 右眼が、疼く……」


 思念を伴ったその呟きは、萌香達にも届き、彼女達へ一つの理解を与える。


「「「「……うわ、厨二病だ」でござる」です」っすね」


 その理解は、いずれ萌香達を真理へ導いていくだろう。


 厨二病なら仕方がない。

 疼くのだから、仕方がないのだ。

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