第42話 母が強襲
「きゃーぅ」
ドーラン君大興奮、ナクも御満悦でお腹に突っ込んでくる子供の相手をしている。
上に乗っているのはコウシアちゃん、さすがにマリンカさんは心配そうだ。
「ネル、ネル、ネルは寝てるでぇ」
「ネルはダメじゃない、いい子なんだぁ」
コハクちゃんとフクリちゃんはネルと寝転んで添い寝してる。
それを見ながら団扇でプリンの粗熱を取っている、大鍋で作ってそのまま冷やしているがまあ原型を知ってる人がいるわけじゃないし良いだろう。
「坊ちゃん吊るしたぞー」
パーテイションの影にカニ釣りの鉄棒があるので利用したらしい。
さっき狩った鹿を取ってきてもらったら用意してくれた。
流石に肉が持たないし自給させるのもいやだ。
これから処理をして火を通してから与える。
なんとなく生肉は与えたくない。
「ファーストフードコート開店でーす」
シンシアちゃんとロリエスちゃんをナクに預けてハニラシアちゃんが受付に立っている。
リリカは、ふてくされてないか?、先頭に並んでる、なるほど。
「バタートーストとシチュー」
「ポテトの薄揚げ」
チップが理解しづらいようだったのでこの名前にした。
「ハンバーガーとポテト」
ジュウスはデフォルトにしたみたい、お金を貰う訳じゃないし良いけど果物が足りなくなった、狩りに行こうかなぁ。
「お好み焼きとキツネうどん、あとポテト」
「焼きそば二つとポテト二つとシチュー二つ」
テミスさんだ、焼きそば気に入ってくれたみたいだね。
「たこ焼きとポテトと薄揚げポテトとワイン」
デバスさんはさっきまで監視台にいたからこれから仮眠だな。
テミスさんが大きなトレーをもって近くを通ったので聞いてみる。
「ジャガイモってみんな好きですよね」
「こんなにおいしいなんて知らんかったよ、飢えをしのぐときに煮るぐらいだし、たまにあたる人がいるって聞いてたし」
デフォルトの答えが返ってきた、なるほど。野菜に足りないのは塩と油か、又居酒屋を思い出した今度厚揚げ作ろう。
ホットドッグとシチューを貰って一人になれるところに移動した。注意されたしね。
監視台のマリナさんが見える位置で食事にする。
半分ほど食べたところでマリナさんが動くのを目の隅で見た。
「危ないっ!!」
聞こえた直後に背中に衝撃がくる。この匂い!。
衝撃に任せて移動しようとしてもすでに拘束されている、この世界にいるのを忘れていた。
鼻も塞がれた、畜生息が出来ない。
「どうしたマリナ、なんだぁ!どうなってる」
「オムルくん!!」
「すっごいスピードで飛んできたのよっ」
「飛んできたぁ?」
この野郎息が、くそ。
放せぇキス魔がぁぁ!!!!。
「セイラン様!?」
「オムルくんだぁ、オムルくんのチュウだー、うむ、ムチュウ」
「ちょ、たす、むうにゅ」
しばらく続いてぐったりしたころ放してくれた。
「はぁはぁはあ、ほんとに、死ぬよ、もう」
「オムルがいけないんだ、又一日延びるなんて言うから、夕べは我慢したんだ」
「何で?」
セリさんもっともです。
母さんが家を出て十日ほどのころウインドウを繋いだら何か必死だった。
風の上級者にとって最も苦手な重鎧装備のあいつ等に襲われていた、ウインドウは不意打ちなら最強だがここで出来るのは嫌がらせ位だった。
場所はここよりミレジに近い所。
丁度渡そうと思った装備、分類するならジェットスーツ、デザインイメージはカブトムシ。
突起の付いた卵型の中盾二つで風を受け上昇、ぶら下がる感じか、落ちる力で風切りはねで移動。攻撃は盾による体当たり。
流石に二百キロ近くで五十キロ?の物体に突っ込まれてはどうしようもなかったのか全員撃破。
町まで自力で行こうとした母を制止した。今倒した奴の本拠地だからね。
私が町の伝声塔に行って直接騎士団に救助要請をし、迎えに来てもらった。
この後は聞いただけだが襲撃者をバルバザに移送するのを手伝ったらしい。
そこで私の事を話さないと辻褄が合わなくなって話してしまい拘束されサラミドル家に連行となったと。
たしか私が行くからと言う話で軟禁状態で妹のチルミアリの面倒を見る話のはずだが最近は自由に飲み歩いている。
「本物の母さんになったんだから自重してよ」
「嫌ですぅ、お風呂も入るんでのぉよ」
「違う違うそうじゃない、いやそれも気になるけど違ううぅ!」
「セリちゃん落ち着いて、逃げないと、おもうよ?」
一度呼吸を整えてからセリアーヌさんが続ける。
「そうだ、はぁはぁ、どうやって、ここに、来たんです?」
「飛んできたんだよぉ」
「いい加減放して、ねえ」
「だからどうやってですか!!」
「あなた、そうね見て貰ったほうがいいわね」
団長と言い。キリっとするならはなしてっ!。
やっと放してもらったらリサに捕まった、気配が怖くて逆らえない。
この人父さんと出来てるからね、ほんとの母さんになってるからね、ほんとだから、ねぇ。
女の人の怖い顔を見たくないんだけど。
両手の前腕に付けた中盾、その先に着いたハンドルを交互の手で握る、腕で輪を描いた状態、ちなみに、このハンドルにショックがある。
風を巻いて一気に上昇する、点のようになって落下しだす。
手を後ろの羽のハンドルに回し加速、タイミングを見て羽を広げる、高速で岩場を旋回して風をはらんでふわりと着地。
手を後ろに回して羽を摘まんでいるので優雅な挨拶のよう。
カッケー。いつでも最大出力の風を生めて、完璧にコントロール出来るからの装備。
使い方間違ってるけどあえて言う、だからそんな生き馬の目玉抉ろうとする目で見ないで団長!!。
「ねぇ、オムルくぅん」
目が血走ってる血走ってるからっ。
「たっ、高く飛べなくていいなら作れますよ、いい?」
「うんっ、うんっ!」
途端にかわいくなるセリアーヌさんを見ていると突然かわいいほっぺたが。
「僕も特別装備ほしいなー」
近い近いクリームさん、わかった、分かりました練度は高いけど強度が低いっだったかうーん。思いついちゃった。
セリアーヌさんの装備は小さめのハンググライダーを背中に、大きくなるほど難しくなるけど小さくなり過ぎると危ない、盾を少し小さくして両方で風を利用する。
急上昇は無理と念を押す。
クリームさんは肩の後ろに大きめの楕円の器、防御力も上がるし元々の制御力もあって飛んでいると変わらない。
浮いている姿はまさに蝶。テントウムシでも良し。
ひと騒動過ぎたので仮眠を取ろう、新しい装備で湧いている今のうちに。
今晩特攻かぁ、敵の兵隊も可愛い子多いんだよ。
「コハクちゃんもフクリちゃんも今日は帰ろうねぇ」
「あいつ、昨日まで来ちゃだめって言ったのに」
近くに来た二人に話しかけると嫌な顔で言う。
「森を虐めちゃったかぁ」
えーと、なるほど。
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