第15話 バーベキュウで慣れてもらおう
最後尾にトランクを付けているのでそこに大量の荷物を乗せる、屋上にも荷物を載せて爆睡四人もそこに載せる。
階段は棒をパタパタ倒すだけの簡単仕様、一応監視台として作っているのでまあ安心だ。
馬三頭をテミスさん、クリームさん、マリナさんの女性騎士さんに乗ってもらい、馬車をリサとリリカに任せて私がダーウンに乗るとエジンちゃんがついてくる、かわええ。
馬車に乗っているのは不幸の世捨て男爵アルキル家のサイカ七歳ちゃんとミレイヤちゃん六歳同じくホスリアル男爵のハニラシアちゃん十二歳、シンシアちゃん十歳、ロリエスちゃん五歳この二家はゾルダン男爵にいろんな意味でつかわれてほぼ家族はいなかった、母親は一応サインラル家にかくまわれている。一緒には移動できなかった人数がそのね、ここに両親もいるらしいし。子供たちのダイレクトな血縁者は居なかったし、貴族って怖い。
一番多いのが元凶のゾルダン男爵関係、手を出したメイドのユリシアさん二十歳前、表情の固いふんわり系超美人の奥さんナツフカさん、独特な落ち着きと色気がある奥さんマリンカさん長女ユウシアちゃん七歳、次女ブリシアちゃん六歳そして男の子ドーラン君四歳、メイドや奥さんの血縁者一人もいない、何やってんだゾルダン!!。
ゾルダン男爵が強気に出た理由の子爵もいたが男爵が子を養子に出す約束で後ろ盾を作ろうとしていたようだ、さきに伝達させて動かないようにした、いやリリカ情報で近直授かるみたいですよと。
馬車に乗った人達にグリフォンのブローチを渡したパフォーマンス?ケア?まあそんな感じで少しだけ宝石をちりばめた物を全員に。
「何でしょう?」
「私知ってる本領主様の象徴です」
家紋ね。
「これをどうして・・」
「えー、では説明と挨拶をします」
「静粛に」
テミスさんキリっとしていて恰好いいな。
「皆さんはこれから都市に向かい領主の従者として働いてもらいます意味は分かってもらえますか」
ナツフカさんが俯いてマリンカさんが上を向いた子供たちはキョトンとしているが年長のハニラシアちゃんだけが固まっている。
「私の名前はオムル、オムル・アス・サラミドル、皆さんの直属の上司になります、よろしくお願いします」
「お風呂に入りたいー」
「飲み物が欲しいです」
「あ、ありがとうございます。」
「リサと言いますよろしく」
「リサ姉右に行くうよう」
「今行きます」
「姉ね、眠いぃ」
「えーとねこれを引くと良いと、よいしょ」
しばらく進むと馬車からいろんな声が聞こえてきた、鳥の声との合唱を気持ちよく聞いていると馬が近寄ってきた。
「すみません坊ちゃん一ついいですか」
テミスさんが聞いてきた。つい背伸びをしてしまう、いろんな企業で男女混同作業を推奨してるけどなんか分かった。
「はい何でしょう」
「月下美人の意味を知っています?」
「いえ、花のことはあまり」
「月下美人って一晩しか咲かないんですよ」
ええっ、まずくないかそれ病院に椿?レベルの話じゃ。
私が固まっているとくすくす笑いながら彼女が言う。
「違いますよ、種や本体なら戦争物ですけど絵になると逆転します、散るはずの花が醜聞に耐えていつまでも咲き誇る最上級の賞賛の証になります、貴族にとって何枚あるかは家の格を報せるものと大事にされます」
「そうですか、はぁ」
「あれちゃんとかける画家がいないんですよ」
「え?」
「しおれちゃうから」
「あ、ええ、そうですよね」
「実物みたいだそうですね」
ぶっこんでキター、どうする、なんと返事するのが正解だー。
「私セリちゃんと離れませんから」
「お?」
なんだ?
「大丈夫ですよ」
「はい?え、と、そういうこと?」
「ふふ」
そういうと軽く上を向いて離れていく、”ふふ”が絵になる人を初めて見た気がする。
馬車の中が静かになるころ野営地についた。見るとバーベキュウの準備もちゃんとできている、パンテさん一家が屋台の近くでかしこまっている。
「ただいまー帰りましたよ」
「おかえりなさいませ」
「シャサちゃんもう大丈夫?」
「はいっ、もう痛みもありません」
「わあーっ、何でデバスが居るんだー、ジョイ、おいジョイ起きろ、ガラリア手前あっちいけ」
あ、一人落っこちた。いけおじのほうだ彼がガラリアさんか。じゃあデバスさんがあの大男だな。
「いった~!、抱き着いてきたの団長ですよ」
「な、なにを貴様」
「へえ?」
テミスさんが無表情で立っている。
「ちちが、何もない何にもないですよ!!」
「あ、テミちゃん、着いたのかい?て、何だい有れ」
「宿泊施設ですよ」
「いやそうじゃなく?」
「順に説明します皆さんも降りてください、あ、トランクから荷物を出して」
ドーラン君をナツフカさんが抱いてロリエスちゃんをハニラシアちゃんが抱いているのをリサとリリカが預かり荷物をそれぞれ自分の近くに置いてもらう。
「それではあの車両に荷物を持って行って自分のベッドを決めてください、騎士さんたちも手伝ってください」
「もちろんさ、監視の仕事もあるしね」
「ベッドの下と上にトランクがありますから」
しばらくきゃいきゃいとゾルダン家がはしゃいでいた、やはり親がいる子は安心しているようだ、二階がゾルダン家とホスリアル家に決まった、私の視線の意味を感じたのかナツフカさんとマリンカさんが三人とよく話をしてくれる。
メイドのユリシアさんが一階でサイカちゃんとミレイヤちゃんの面倒をみてくれるみたいだ。
セリアーヌさんの勧めで私のベッドは個室になった映画なんかで見るあの個室、あとトイレの前に椅子と小さなテーブルを置いた監視用だそうだ「当たりもいるんだ」と言っていた。
騎士様達用のトイレも作った装備を付けたままだとせまいらしいこれはパンテさん一家も喜んだ、軽ハコ程度で風呂も作る一応三人定員ぐらいか。
最後に全員に布団を配る騎士団ご用達の店から仕入れた一応新品だ。様子を見てたけど案外不満は出ていなかったちょっと意外と思っていると。
「そういう扱いだったのよ」
リリカが横で呟いた。
「整理が終わったらみんな外に出てください、昼食ですよ」
「え、何も調理してないだろ?」
馬車の屋根や馬に積んだ自分たちの荷物を後ろのトランクに移動していたデバスさんが言う。
「何でも自分ですることに慣れてもらおうと思って調理しながら食べるものにしました。」
「俺は調理なんてできないぞ?」
「大丈夫焼くだけですから」
お手洗いから帰ってきたセリアーヌさんが気が付いたように言う。
「野営飯かいみんな納得するかな?」
「セリちゃん大丈夫よ彼がするんだし」
「ぬう、それはそれでねえ」
「ふふ朝のパン食べてなかったでしょ」
「え、なにそれ」
団長さんが私とテミスさんを交互に見ているが私のせいじゃない。
「うまかったのか?」
「さあ」
「オムルくん?」
「わかりました一緒に出しますよ」
「わあうれしいです」
クリームさんが嬉しそうにしている、肉付きが全て健康な色気に向いているそんな女性騎士、胸は小さめなんだけどそれがまた。
「ふんわりしていて野菜との相性もとてもよかったです」
マリナさんがうっとりした顔でいう、何もかも普通、普通過ぎてものすごい安心感があるおかあちゃんタイプ一緒に寝るとそっと抱きしめてくれるような逆にそのせいでエッチな姿は物凄い情欲を醸し出す感じ?。
リリカ分かっているから、そんな目で見ないでください。
パンテさん一家とリサが野菜を並べてくれるストーブも上が網になっていて縦一列に並んでいる。
野菜を一通り網に並べて説明する。
「自分が食べたい物を自由に焼いて今配っているたれにつけて食べてください。」
リサとリオナさんが三つに区分された皿とトングを配る、ゴマ味と醤油味とソース味、付けてから焼いてもいいですと付け加える。肉は取り敢えず二十ものにしといた。
最初に口を付けたのはセリアーヌさんゴマがお気に召したようだ。
「うまっ、熱い料理ってこんなにうまいのか」
「そんなんじゃないですよこれ胡椒?ほかにも香辛料が入っていますよね」
「何を言っている塩だ塩がとてもうまい」
騎士サン達がバクバク食うので子供達も慌てて食べだした。
「美味しい、美味しいよお母さん、」
皆一様に目を見張っている中、母親がすでにいないはずのミレイヤちゃんがつぶやいた、なんだかなぁ。
「いっぱい食べてくださいよ、ジュウス出しましょうか、ミルクもありますよ、ワインも!。あっパンでしたねパン。」
村長さん宅を覗くとパンが沢山あった金貨一枚入れた籠を置いてパンを頂く。
「パンに合うバターやヨーグルト、辛子、ジャムここに置いときますから自由にどうぞ」
パンテさんたちに割り当てを渡して、焦げそうなトウモロコシを転がしていると。
「トウモロコシ好きよねえ」
リリカに見つかった。
まあ子供のころの一番のおやつだったからな、生前しばらく食べなかったら市場から無くなって英語名の物に代わっていた。屋台のおやじに店番を頼まれたときに隣の爺さんにさっき食べた味のない焼きモロコシのことを聞いた。
なんでも今のトウモロコシは塩や醤油では本気を出さないらしい、生の状態で焼き肉のたれ付けてから焼くぐらいがちょうどいいとのことで試したら確かにだった。
私としては昔のザ穀物の味が恋しかったんだが既に何処にも無かった、それがここには普通にある見つけたときは六、七本一気に食べたな。
あとはりんご飴だなこれもその時聞いたがふじや睦などの甘いリンゴは向かないそうだ、紅玉などの酸味の強い小ぶりなものが向いているのにそれじゃ売れないらしい、しかも変なことを続けてりんご飴自体売れなくなったそうだ、そういえば唐揚げばっかりになっていたな。
そんなことを懐かしんでいると団長さんが騒ぎ出した。
「美味しい、柔らかいぞ、噛めば噛むほど甘くなる」
パンのことかと思ったら肉だった、シチュー肉ぐらいの部位の奴だな、私もあの固い肉が好きだった、この世界ではそれでも柔らかいほうだが。
「ふふ、その肉をこれに入れてごらんなさい」
「えーなんでぇ野菜入ってるやん」
「じゃああたしだけ食べるわ」
ぱくしゃくしゃくぱくしゃく。
「なんかやけに美味そうにたべるな」
「美味しいわよキャベツを入れてマヨネーズ入れてバターと少しの辛子これを挟んだパンに肉を入れるとん~」
「やるっ、私もやる!ええとパンにキャベツに唐辛子?」
「違う違う私がやるから、ほらかして」
「ぬう」
なんだか見ているだけでほっこりするな。
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