現実を突きつけられる。けどそれがクセになる。やめられないとまらない。

しっかり8話までのネタバレあります。注意!!




憧れのあの子は、少し接点があっただけの私を覚えてないかもしれないけど、私はあの子のことを覚えている…
転生系の小説を読んでいる人なら、ほとんど身に覚えがあるだろう情景や心理を、ここまでリアルに表現しているのがすごい。

無双やざまあで雑魚を倒し気持ちよくなることは、弱者に対していじめをしている側と同じ心理である、という描写。ひいては、最悪な糸クズたちが「なろうくん」を、良い人さんが「異世界転生」「チート無双」を、蹂躙しているのを見てスカッとしている読者の心理も同じことなのだ、と、ハッとする思いでした。性悪説。

こういう細かな情景、心理の描写がリアルであるからこそ、たくさんの人に刺さり、なおかつそれを重くしすぎない発想力と文章力が面白さをさらに引き立てているのではないかと思います。めちゃくちゃ面白いのに、どこか頭が痛くなる作品。それが癖になってスクロールする指が止まらない。



さらには糸クズたちはもちろん、「いい女」「いい男」の描き方も素晴らしい。
ラーラ様やカオリさんが吹っ切れて本当にやりたいことを見つけ、自分に素直な行動を決意した時のかっこよさが気持ちいい。
幼くして、糸クズたちの言い分をしっかり理解し、冷静な判断ができる、さっぱりとしたアリアちゃんは、その魅力がアウストロ少年に伝わったのか、しっかり恋を楽しんでいる。
最低な男に尽くす側から、最悪な男に尽くされる側へ、強くて可愛いマリンちゃんは、最低から解放されたことでこれからもっと良い女になっていくだろう。

そしてグズでノロマ、優しさと美しさが取り柄という印象の強かったお蜜。実の彼女は豪胆で苛烈、自分の中でしっかり芯を通している、とてつもなく良い女。大好き。



最悪で最高な糸クズたちと、カッコいいもちもちのいい女たちのこれからが本当に楽しみです。




良い人さんへ、
素敵な作品をありがとうございます。おかげで毎日が楽しいです。応援してます。