本当に知りたかった努力の種類

陽キャと簡単にまとめられている人たちは、でも、対人関係という戦いの痛みから逃げなかった人たちなんだと知ることができる物語です。

チートな能力があれば、美しさがあれば、自分だって対人関係は上手くやれた。
だって、『人を虐げる悪い人間』から私が攻撃されたのは、私の内面が善良だから。
だから、神様に才能と美貌を与えてもらって、それに私の『問題のない』内面が合わされば、周囲の人は私を受け入れて、私に優しくしてくれる。

そんな、『私は悪くないのに』という無意識の思い込みを暴いてくれます。

対人関係の戦いで受けた痛みに怯えて、対人関係を学ぶ努力を放棄したのは自分なのに。
あるいは、美しくなる努力を、賢くなる努力をしなかったのは自分なのに。

それらを神様から与えてもらい、全てが上手くいく物語は、確かに心を慰めてくれました。
けれどいくら似たような物語を読んでも、いつもどこかお腹が空いているような、そんな空虚感が消えませんでした。

この物語は、いわゆる陽キャやコミュ強と呼ばれる人々が、対人関係の中で同じように痛みを得て、けれど逃げずに戦った人たちなんだと教えてくれます。

怖くて目をそらし続けた、けれど、本当は一番するべきだった努力に気付かせてくれます。

ありがとうございます。この物語は、私に勇気をくれました。

レビュワー

このレビューの作品

異世界転生勧誘詐欺

その他のおすすめレビュー