第2話
1. 可能性の獣は老いてひとつずつ選び取らないものを捨てゆく
選び取らないもの→今ここにあるもの
2. 今ここにあるものだけを抱きしめて踏みしめてゆく暗い細道
暗い細道→夜道
3. 両腕に兵器をなにも持たぬまま夜道の先であなたと出会う
兵器→防備
4. あまりにも無防備なまま訪れることば同士が出会う瞬間
出会う→邂逅
5. 邂逅が事故となるその一瞬に捜査のためのうたを捧げる
事故→轟音
6. 轟音のさなかあなたは中空をじっと見つめて微笑んでいる
微笑んでいる→ほほえみ
7. 辺獄の炎に躍る醜悪なほほえみだけが貼り付いている
醜悪→みにくさ
8. カミサマが見放すようなみにくさも罪の重さを軽減しない
罪→審判
9. 審判を待っている間も腹は減り午後のラヂオはがなりつづける
ラヂオ→ヘビーローテーション
10. 楽だったバイト上がりのイヤホンは凱歌をヘビーローテーションで
バイト→般職
11. 般職になれよと言われた程度には刑執行に向いてるらしい
刑執行→拘置所
12. 指先をアクリル越しに合わせたらまだ終わらない拘置所の春
アクリル→透明な壁
13. 透明な壁ごしに君が呑んでいたバイスサワーすら懐かしくなる
バイスサワー→うす赤い、酸い
14. うす赤い空の色したあめ玉は恋をしたぶんちょっとだけ酸い
恋→好き
15. 好きだって言い募られたその日から下がり続けた人間強度
強度→非破壊検査
16. 退屈な君の態度を透視して非破壊検査できたらいいな
退屈→飽いて
17. 終わらない日常にもう飽いていてうすぼんやりと破滅を願う
破滅→隕石が落ちる
18. 隕石が落ちる前には君といてくらい夜明けを眺めていたい
隕石→流星
19. 流星がひとつ飛ぶたび幾万も反復される願い事たち
願い事→願い
20. 唯一の願いをつなぐ言葉らが指のすきまを駆け抜けてゆく
前回と違って、あまり連歌全体の場面展開に縛られることなく自由にいちごつみさせられたように思う。しかし結果的にはひとまとまりのイメージの連続にもなったように思う。
また、少し早めに備えておけば多少変なワードでも取り入れられる気がした。この連歌だと「兵器」の部分。そのあとの「無防備」の句が先に出来ていたからこそ使えたワードだと思う。
ことばを見たときに「詩に使える」と思う基準がどこにあるのかはまだよくわからない。ことばの持つ具体性の程度、漢語なのか和語なのか、うたで使われたことがあるのかないのか、まだ統一した基準は見いだせていないように感じる。
単独ではたちにくいうたも連歌のなかでは立たせることができる。独り立ちできるうたのほうがいいと思っていたが、こういう流れの中でこそ際立つうたもあるのかもしれないと思うようになった。
連歌試作001 @ef_utakata
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