第24話 鈍感力
《エピローグ》
幸せな後日譚?
大団円は迎えられましたか? んなもん、あるわけねーだろ。いい加減にしろ。
戦略の方向性は正しかったと自負がある。されど、些かプランに積極性が欠けていたことは否定できまい。花の性格を考慮して、攻めのシーンを減らした采配はマズかった。告白イベントを振り返り、敗北フラグを折れなかったのは当然の流れだろう。
指導力不足ですね、これは反省します。
認めたくないものだな、若さゆえの過ちとは。
閑話休題。
まぁ、第1部の前半はこんなもんだろう。
今回で第1部終了だと予想してたが、裕太の嫁になったヒロインがいない辺り、もうちょっとだけ正妻戦争は継続みたいである。
「卓ちゃん、私たちの戦いはこれからだよぉ~」
「敗北フラグの上に、打ち切りの兆しを盛るんじゃない」
俺の部屋。ベッドに寝転び、花が脚をプランプランさせていた。
「私、気付いちゃったんだあ。これは、私たちの戦い……つまり、今度は卓ちゃんの恋を応援する番なんだよ!」
「え、何だって?」
別に風は強くなかったが、裕太のラブコメウイルスに感染したかもしれない。
俺の意を介さず、花はやる気に満ちた声援を送ってくる。
「ねぇ~、誰かいないの? マジでLOVEな子。私、10人中3人の縁結びに成功したことあるんだよお。だから、任せて」
普通に、勝率が低かった。裕太と花には、絶対に相談しまいと誓った。
「ね、ね! いないの? いないの?」
「い、いないぞ」
「あー、この反応はいるなあ。でも……うーん、誰だろう? さっぱり分からない」
花は、ムムムと考え込んでしまう。
君、この前裕太にいろいろ聞いたよね?
もう忘れたん? ぼく、すこぶる恥ずかしかったんじゃが。
「……ハア」
なぜ俺の助力が徒労に終わったのか、卓は全てを悟った。
「このラブコメは、ほんと鈍感な奴ばかりだな」
主人公の他に、もう一人無自覚なヒロインがいたんじゃ、モブがどれだけ奔走してもテンプレに支障はないとまとめざるを得なかった。
<完>
俺の幼馴染が敗北ヒロインになったので、友人キャラがテンプレ知識を使って抵抗してみた。 金魚鉢 @kingyobachi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます