第9回 弓なりに反る情景


 時々、ホントになにも思い浮かばなくなってしまうその状態が、果たして暑さのせいなのか、湿度のせいなのか、あるいはそれらのせいにしているだけなのか。


 こういうふうに考えている時点で、やっぱり私はなにを書こうか思い付かないままこの場に言葉を並べはじめてしまっているし、そもそも「思い浮かばなくなってしまう」という語の流れというか、言葉の使いかたに、ある種のぎこちなさ、違和感とか疑問を抱いている。




 ひどく疲れが溜まっていて、常に眠気を覚えているのは一体何故なのか。

(知らんがな…)


「それはひどく疲れが溜まっているから、常に眠気を覚えるのではないか」


 そう指摘されてしまうと、「なるほど」なんて苦い顔をするしかないのだが、なんとなくその原因は「もどかしさ」にあるような気がしないでもない。




 目的や目標があって、方法や工程を考えてみる。


 さぁ、やってみようという段になると、どうにも動きが悪くなる。むしろ一歩も動けなくなる。



 なんとなく自分だけが立ち止まっているような気がしてしまうから、周囲や外の世界の人たち、諸SNSで捉える無数の誰かは、とてもスムーズに、順調に、滞りなく駆け足で、その人にとっての大事な何かを進めているように思えて、相反する自分はさらに「もどかしく」感じられてしまう負の連鎖。




 って、こういうふうに第三者的に外側から指摘してしまえるのは、ともすれば私はそういう状態の渦中にないのかもしれなくて、もっと他のなにか、それを言い表せてしまえれば、克服してしまえばいいだけだから、言葉にし得ない別の形がまとわりついている可能性もある。




 なかなか眠れないというか、眠ろうとしない日がある。


 というのは、過去の私のことだ。


 なかなか眠ろうとしないのは、その日に未練がある、その日に成そうと思っていた事柄が成せないまま終わってしまう、それとない悔しさがあるからなのだろう。


 他のことをして何らかの達成感を得ようとする夜更かしは、肉体的にという以上に、精神的に負担が大きい。




 最近ちょいといろんなことが起こって、色々と考えることが多い。


 十代のころ、深夜まで起きていて、「自分ってなんなんだろ…」なんて、すごくどうでもいい、くだらないことを考えていた時期があった。


 そう、「くだらない」と言い切れてしまうのだ。


 

 もしいまあなたが十代だとして、その疑問に直面している、あるいはいつかそんなことを考えた、悩んだことがあるとすれば、考えるだけ無駄だ。


 答えは単純に「何者でもない」でしかないから。




 きっと人は、自分よりも先を歩いている人、歩いているように思える人を見て、自分の立ち位置、現在位置を把握しようとする、優劣の度合いを見極めようとするのだろう。しかしハッキリ言ってしまえば、そうやって対象にしている相手も「何者でもない」



 もし本当にそういう考えの深みにハマって抜け出せなくなったら、(私みたいなバカじゃなければ、そんなくだらない考えの深みにハマらないと思うのだが…)宇宙のことを考えるといい。光速度とか、光年について知るといい。きっと笑ってしまう。


 面白く笑えたら、宇宙について学んでみればいいし、私は違う意味で自分自身を嗤った。虫を「虫けら」と見下げる虫けらは一体どこの誰だ、とかそういう感じ。





 そういえば、前回私は「ある種偏った発言をすると、偏った人間だと思われてしまうかもしれない」というようなことを書いた。


 じゃあその偏りがどこから生まれたのかという謎が、私の中で結構色濃く浮き上がっていて、少なからず遺伝も関係しているのではないか、なんて思わないでもない。




 とはいえ、偏った思考は、経験によって生まれるのだから(いや、思考自体が、だけど)生まれる前からその偏りが備わっていたなんてのはおかしな話。


 だからまた「後天的な遺伝」なんていうおかしな言葉を使ってしまうのだが、幼いころに与えられた事柄への善し悪し、物事の善し悪しの判断基準が、時間(年齢)とともに積み上がる経験、判断の土台になっているのだとすれば、いまさらその土台を覆すような真似は不可能に近いのではないか。



 そういうふうに考えたら、やっぱり親が与える子どもへの初手ってのは、ものすごく大事なんだなぁ、なんて考えたら、おそらく私は遺伝に対して悔しさしか抱いていない、なんて気がした。


 ということばかりを考えていたら、あっという間に一週間が過ぎていた…。




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