第4話 仲間が増えた!
「人間でこのスキル持つ人、初めて見たぁ」
リリーはテンション爆上がりで、この先のティローという町にある、武器屋に行くと言い出した。
そこにはウンコ鑑定スキル持ちしか扱えない、特別な武器をつくることができる鍛冶師が居るのだという。
俺たちの旅は始まったばかり。素手でウンコを投げるよりも、何か別の道具があるなら、俺はぜひそれを使いたい。それがトイレブラシだろうが、ゴミバサミだろうが、素手でなければなんでもいい。だから隣町ティローの武器屋を最初の目的地にした。
道中、魔物を倒すために弓を構える彼女を見ていると、学級文庫にあったギリシャかローマの神話に出てくる、狩猟の女神の話を思い出す。
それだけじゃない。なんと彼女は水系の魔法が使える魔法使いでもあった。
特にシャボン玉がすごかった。リリーが呪文を唱えて弓を回し円を描くと、そこからシャボン玉ができるんだ。
リリーはそれで拾ったウンコを包んでくれた。夜はテントみたいにその中に入って背中合わせで眠った。
本当は2つ作ってほしかったけど、大きいのは一個しか作れないのだという。仕方がない。でもちょっとラッキー。
旅の3日目。森でゲキヤバヒグマのウンコをいくつか拾った。ここは奴らの縄張りだ。
「かなり危険な魔物だ。リリー、ここは頑張って今日中に抜けよう」
「わかった」
そう言って歩き始めて暫くすると、人の叫び声が聞こえた。
ドン! と雷のような音がして、俺たちは顔を見合わせ、森の奥へ進む。
街道の真ん中で、半分ちぎれたマントを纏い、水着みたいな鎧のお姉さんが地面にうずくまっていた。
「クッ……お前の辱めなど受けぬ! 殺せ!」
「バカ言ってんじゃないわよ! この脳筋クソ剣士!! 遊んでないで立ちな!」
大柄で派手なコートを着たお姉さん?? が、杖をかざして雷系の魔法を、一頭の巨大なクマに浴びせている。
鎧のお姉さんは「チッ」と舌打ちして立ち上がると、お姉さんの身体の幅と変わらない分厚い剣をブンと振り回し、ゲキヤバヒグマに切りかかった。
「ゲキヤバの毛は分厚いの。普通にぶつかってはダメージを与えられない!」
それはリリーの弓でも同じ事だ。俺はふと閃いた。
「ゲキヤバにゲキヤバのウンコをぶつけてみる」
俺はゲキヤバヒグマのウンコを、背中のカゴから取り出した。
それで怯んだら、弱いところをみんなで集中攻撃すれば!
「あのでかい口めがけて、ウンコなげようぜ!!」
俺は適当にちぎったウンコを顔面めがけて投げつける。
凄い臭いがするけど、何度か繰り返すうちにうまいこと目に当たり、ゲキヤバヒグマがもんどり打って倒れた。
「ウンコ、目に入ったみたい」
そこからはもう一方的だった。
リリーは派手なお姉さんと雷と水魔法のあわせ技でゲキヤバヒグマを痛めつけ、鎧のお姉さんはヒグマの顔面を剣でぶん殴り、勝負は一方的に終わった。
ゲキヤバヒグマに襲われていた鎧のお姉さんはマサラさん、派手なコートの魔法使いは、レディオさんと名乗った。この人、お姉さんじゃなくてお兄さんだった。でもマサラさんより綺麗だ。
「子供二人でヒュドールまで? 助けてくれたしそこまで一緒に行ってあげるわ。あんたも行くでしょう? マサラ?」
「無論だ! この無敵剣士マサラが! 二人を守り抜く!!」
マサラさん、めっちゃテンション高い。
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