犯人の手紙

「ふわぁ・・・まだ5時か・・・」


今日はすっと起きれた。いつもは二度寝していたが今日は起きてみていつもやってないことをしてみよう。


「ほい、いちにー」


朝のラジオ体操は気持ちがよく一日頑張れそうな気持ちになる。たまにはこういうことをするために早起きするのもいいかもしれないなと思った今。


「ばんざーいー」


ラジオ体操を終えてリビングの方へ向かう。もちろんまだ母は寝ている時間である。物音をたてずにそろそろとゆっくり進む。こんな時間でも外はまだ暗いがもう少し時間が経てば太陽が顔を出すだろう。


優雅にお茶を飲んで読書をしてみた、前に読んでいたのも今見てもかなり面白くあっという間に母が起きてきた。


「あら、早いじゃない?」


「たまたま目が覚めたからさ、やってみたことないことでもやってみようかなと思ってさ」


「それじゃあご飯作っちゃうね」


こうして今日も平和な日常が始まるのだろう。


ーーーーー


そう思っていた俺の姿はお笑いだったぜ。


例の犯人を見つけてしまった。そいつの特徴としては黒いフードを被っているが身長は小さく身振りが女の子な感じがする。そいつの手には手紙が握られていた。あれが俺と職員室の平和を脅かしていたものだと確信した。俺は気づかれないようにそっと後ろから・・・


「確保―――っ!!」


「わぁぁぁぁ!!???」


羽交い締めをした。案の定女の子だったが、そんなことはどうでもいい。俺はフードをとると中から美少女が。しかもいつも俺のそばにいた友達だった。


「なんでここに空さんが・・・!?」


「・・・ごめんね、阪宮くん」


「俺の平和を奪ってたのって空さんだったのかよ!!???」


「え、そっち!!??」


そっちってなんだ?まあいいか。それよりも・・・


「空さんが犯人だったのか・・・」


「ば、バレたら仕方ないね」


そう顔を赤らめながらも変装が見破られた悪役みたいなことを言う空さん。自分では悪そうな顔と思っているその表情は元が可愛いので悪そうに見えない。


「なんでこんなことを・・・?」


「だ、だって・・・拓人くん気がついてくれなかったんだもん!!なんで気づいてくれないのこの鈍感!!」


「ど、鈍感・・・!!??」


「私の名前わかる?」


「空さんでしょ?」


「上は?」


「・・・」


空さんは『うわぁこの人まじか』って目で見てきた。確かに空さんの名字って聞いたことないかも。何だっけこの人の名字。


「坂口だよ。同じクラスの時に前にいたじゃん」


「あーそんな名字だったわ」


「あなたは私が一人のときに話しかけてくれて・・・それで好きに・・・」


「ちょろすぎ」


「む・・!!うるさいよ!一目惚れってやつだよ!」


「・・・今思ったけど俺と空さんって同じクラスになったことあったっけ?」


「ないけど」


ゾッとしました、はい。心からこの子はガチでやべえやつだという警告が鳴り響いている。はじめは清楚で可愛いと思っていた彼女の印象がぐるっと一回転して変わる。ただの妄想グセが強すぎるストーカーと言ってもいい。


「・・・坂口さん」


「何かな拓人くん?私達はもうちょっと先の関係なんだから名前で呼んでほしいな〜なんてね〜えへへ」


「職員室に手紙を送っていたのって坂口さん?」


「そうだけど?なんで」


なんでってなんだ?首をこてんと倒していて誰でも可愛いと思えるが俺にとってはホラゲの首をぶん回しながら追いかけてくる化け物にしか見えなくなっていた。


「・・・友達やめません?」


「それって愛の告白・・・ってことぉ!?」


「ランクダウンしてほしいのですがどうでしょう?」


「お断りさせていただきます!」


輝くように彼女はこれまで見たことないくらいの笑顔をみせていた。見たことないくらいの笑顔を断ることに使わないでほしかった・・・


「今日は一緒に帰りましょうね!」


「いやどす」


「うん!一緒に帰ってくれるんだね!優しいね!」


「耳腐ってんのか」


肉食動物に追いかけられている草食動物の気持ちがなんとなくだがわかった気がした瞬間であった。


あ と が き

作者です。次で最終回になります良ければ最後までお付き合いお願いします。


作者

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