左右から引っ張られたら痛い

教室に戻ると先生は心配していた。まあ、ちょっと頭を思いっきり机にぶつけて血を出しただけだから大丈夫だけどな。ちゃっかり優雨も戻ってきていた。俺が保健室出るときはまだいたのに・・・


「阪宮本当に大丈夫か?すごい血が出ていたが・・・」


「あ、大丈夫です。絆創膏も貼りましたし」


「それならいいんだが・・・」


「先生!阪宮くんは家で休ませたほうがいいと思いまーす!」


「それはなんでだ?寿」


「頭をぶつけてたんで記憶喪失担っている可能性があるかもしれないからです。そして、何も知らない拓人に・・・ぐふふ〜」


「・・・阪宮は家に帰ってゆっくり休め」


「なんでですか?元気なのに」


「そっちに空を向かわせるからさ。なんか寿の行動見てると恐怖が・・・」


そんな理由で生徒をズル休みにさせるんじゃねえぞ、教師失格だぞ。まあ休んでいいのならお言葉に甘えようとしよう。偶然にも今日はなぜか眠いし。


ーーーーー


「なあなんでお前らもいるんだよ」


「「たまたまかな〜」」


仲良しか。いつも嫌悪なムードかましているくせにこういうときには息があう。俺の状況は左腕に優雨、右に空さんと両手に花状態である、俺がこういう男女見かけたら5度見しているだろう。


さっきから二人が自分の方へと引っ張るのでちょっと痛い・・・いやかなり痛い。幸せなはずが痛みで目が覚めてしまった。このままにしていたら俺死ぬくね?


「なあ、ちょっと痛いんだが」


「それなら私の方に来るといいよ」


「離してもらえれば大丈夫になるんだが・・・」


「離してもらえると思ってるの?」


思ってない。可能性は限りなく0に近い、むしろ可能性という言葉はないと言っても過言ではない。


「あ!あっちに猫がいますよ!見に行きましょう!」


「ねえ、アイス食べない?あっちの方で売ってるけど」


「痛い痛い!ちぎれるちぎれる!さけるチーズになる!」


さけるチーズほどではないにしろ脱臼くらいはするくらいの力で引っ張られている。よく耐えるな俺の体。だがそろそろ限界が迫ってきている。脱臼しそうな感じがしてきた。


「まじで離して!脱臼しそう!」


「そしたら看病がいっぱいできるね!」


「サイコパスなのか?お前は」


それをポジティブなことみたいに言うな。優雨にとっては得があるが俺には得なんてものは一切ない。ゆういつあるとすれば美少女に看病してもらうくらいだろう。


・・・忘れていたが空さんは俺の腕にもたれかかって頬を赤くしている。寒いのかな?とは思わないがとっても赤い。学校一かわいいという二つ名は伊達じゃないことを証明し、ノーベル可愛い賞を受賞できるレベルである。


「ご、ごめんね。ちょっと強く引っ張りすぎちゃった・・・脱臼してない?」


「大丈夫空さん。でもこうなったら優雨の方に突撃しそう」


「え、じゃあ・・・」


そう言いながら空さんは寄りかかるのをやめ、またもや引っ張ってきたが、何故かデジャヴを感じた。だが今度はちょっと力を弱くして引っ張ってくれた。


「これで大丈夫・・・?痛くない・・・?」


「あ、ああ痛くないよ」


心配しながらも自分の方へと引っ張る空さんだが俺の腕を掴む手の温度が高くなっていた。隣の方から俺の袖を引っ張るやつがいた、優雨だ。彼女は俺と空さんがイチャイチャしているのを見てか頬を膨らませてこっちを睨んでいる。


「私が彼女なのに・・・!」


「ごめんな、忘れてたわ」


「ひどい!私は記憶消失になったとしても覚えている気でいたのに!」


「それはドン引き」


俺のことを覚えている前に他のこと覚えていろよ、重要なとこそこじゃねえだろ。心の声少し漏れたわ。


やったのことで家に付き二人にお礼を言いながら家に入ろうとポケットを探ってみても鍵が出てこなかった。


「やばい、鍵無くした」


「「え」」


二人は息ぴったりにそう驚く。これでは家に入ってゆっくりベッドで寝れないじゃないか。なにか解決策を・・・鍵を作る、これはないお金がかかる・・・それぐらいしか策が出なかった。


「「そ、それなら・・・」」


「それなら?」


「「うちに来る?」」


だからなんでそんなに息がぴったりなんだよ。


あ と が き

作者です。忙しいですが執筆はできているのでご安心ください。


作者


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