パルファン
あなたは笑った。
困ったように俯いて。
私の知らない香りをつけて。
私は歩いた。
何も考えないように。
気づかない振りをしていた嘘みたいな虚像を壊してきたやつがいた。
私たちの馬鹿みたいなごっこ遊びに拍手を送ってきたやつがいた。
そんなことをしたら私たちの踊る舞台に気がついてしまうのに。
弱くて薄いはずの嘘の香りは、何を間違えたのか舞台の下まで香るくらい強い香りだった。
「知っていたんだ」
私が言った。
嘘だらけの関係なのに、嘘をつかれた気がした。
本音の嘘を守ってほしいと、私はあなたに理不尽な怒りを投げた。
絶妙な距離感を崩して、混ぜて。嘘の香りのパルファンと取り違えてしまったから。その香りを覚えられる前に。
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