子猫デビュー

"チリンチリン"


今日も朝から保護猫カフェオハナのドアベルが鳴る。


「おはようございます。猫エリア入れますか?」


「はい。飲食はされますか?」


「いいえ。なしで大丈夫です」


「では、手洗いと手足の消毒をしてお荷物は棚にいれるかカゴに入れて中へお持ちください」


「ありがとう」


"チリンチリン"


「いらっしゃいませ」


「猫エリアふたりお願いします」


「はい。猫エリアですね。手洗いと手足の消毒をお願いします。お荷物があれば棚に入れるかカゴに入れて中へお持ちください。


"チリンチリン"


 連続してお客様がくる。


「さすがに今日は忙しいですね」


「うんうん。子猫効果ね」


 今日は産まれた子猫たちが猫カフェデビューをする日。


 やはり子猫というのは特別みたい。


 その小さくて、ふわふわで、柔らかい毛並み、大きな目と小さな鼻、または長いひげ。


 トータルでかわいい要素しかない。


 それに加えて活発で遊びまわる。そしてすぐ寝る。


 見ているだけで心身ともに癒される。


 1匹だけでも致死量を超える可愛さなのにそれが5匹もいる。


 もう大変なこと。


 尊死とはこのことなのだろう。


「子猫は本当にかわいいですね」


 そう言って子猫と遊んでいるのはライオン系獣人のリコさん。


 手のひらに乗っている子猫は本当に小さく見える。リコさんの肉球と大きさが変わらない。

  

「子猫の扱いが上手ですね」


「いつも小さいものを扱っているからですかね」


 リコさんはアクセサリーを作っている職人さん。


 繊細な作業をしているから子猫の扱いもしやすいのかな?


 たぶん。関係はないと思う。


「ところで……背中の子を取ってもらえませんか?」


 背中に子猫。だけではなく大人猫もくっついていた。


「わーごめんなさい。大丈夫ですか?」


「はい。全然大丈夫ですが集まりすぎているのが申し訳なくて……」


 1匹ずつリコさんの背中から移動させる。


「ありがとうございます」


「いえいえ。たくさんくっついてしまい。すみませんでした」


 それにしてもどうしてこんなにもリコさんにくっついているのだろう?掴み心地がいいのかな……?


 じっとリコさんの背中を見る。


「うーん。たしかにいい背中していますね」


「ははは。ありがとうございます。大きいだけですけどね」


 大きいだけと謙遜するけど……。


「ミホさん?」


「あぁ!ごめんなさい。無意識に触ってました」


 本当に無意識に触ったその背中は服の下にある毛がとてもいい弾力。猫たちが抱きつく理由と別でこれはハマりそう。


 かといってさわりたい放題するわけにはいかないのが残念。


 堪能できるのなら私も猫になりたいくらい。


 そういえば、デンさんは大きくなれるって紬さんが言っていたのを思い出した。


 大きいデンさんはどんなのだろう?


 ハチさんはフサフサであれも気持ちがよかったなぁ。


 大きいモフモフがこれほど素晴らしいとは。異世界バンザイって感じ。


 もちろん小さいモフモフもかわいい。

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