オハナが増えました。
ミキ様が同居して次の日
「お姉様!おはようございます!」
廊下から元気な声が聞こえる。声の主はミキ様。
「おはよう。昨日はよく眠れたかしら?環境が変わって落ち着かなかったでしょう?」
「たしかに落ち着きませんでした。お姉様と同じ屋根の下に居ると思っただけで一睡もできませんでしたわ」
ミキ様の全力投球は朝からすごい。
「ありがとうね。ミキちゃんも朝ごはんいきますか?」
「はい!」
「ミホちゃんにも声かけて行くわね」
会話に気を取られてまだ準備が出来ていない。
「ミホちゃん?起きてる?朝ごはんいくわよ」
「あ、はい。おはようございます。すぐ準備しますので先に向かってください」
「早くしないと朝ごはんなくなりますわよ」
「ミキちゃんなくならないから大丈夫よ。ミホちゃんあまり遅くならないようにね」
「すみません。すぐいきますー」
大急ぎで支給してもらったユニフォームを着て廊下に出る。
ふたりとも待っててくれた。
「すみません。おまたせしました」
「大丈夫よ。それじゃあ行きましょうか」
「お姉様と一緒に居られたので問題ありませんわ」
食堂につくとテーブルにごはんが並べられていた。
「シルフィさんいつもありがとうございます」
「シルフィさん。美味しそうですわ」
「あまりにもの美味しさにびっくりして昨日は一気に食べてしまいました」
「ミホ……きょうはゆっくりたべるのダヨ……」
「はい。いただきます」
パンにベーコン、サラダ、くだもの。
あとは見慣れない食べ物……。
「その瓶の物はエッグスラットといいまして、マッシュポテトを入れてその上に半熟卵を乗せてチーズをかけました」
「なんだかわかりませんが美味しそう!」
本当に美味しい。
「ミキちゃんは学校よね?」
「はい。ここからも近いのでゆっくり出かけられますわ」
「気をつけてね。ミホちゃんはもう少しこの街を案内するわ」
「ありがとうございます」
「ミホ?くれぐれもお姉様にご迷惑をかけるんじゃないわよ?」
「大丈夫ですよ。ミキ様」
「ふたりとももう仲良しさんなのね」
「もちろんですわ」
悪い子ではないから嫌な気はしない。仲良くできるはず。たぶんツンデレかクーデレタイプなのだろう。
朝ごはんを食べ終えてミキ様は学校へと出かけた。
私は猫のお世話をしたあとに紬さんに街を案内してもらう。
お城の方へは行ったので反対の右側へと進む。
道沿いにはパン屋さんやお菓子屋さんなど飲食店がポツポツとある程度でほとんど住宅。
突き当たると公園があって湖がよく見える。
道は左に曲がって進んでいる。
この辺りもほとんど住宅。
「おウチばかりでつまらないでしょう?」
「いえ。そんなこと……。日本の建物と違っているので面白いです」
そのまま歩くと今度は大きな建物が増えてきた。
「この辺りはまた雰囲気が違いますね」
「そうね。倉庫や加工場が多くて住宅とかお店があまりないから大きな建物ばかりね。この先に進むと港があって国外へ船で行けるのよ」
「そうなのですか。憧れますね!いつか行ってみたいです」
「ふふふ。いつか行きましょうね。あ、そういえば王妃のカイリ様にサホロ国へ行こうと誘われていたのでミホちゃんも行けるか聞いてみましょう」
「ええ!?カイリ様にですか!?いやいや私なんか申し訳ないですよ。ほ、ほらまだ部外者ですし」
「あら?もうお店の従業員よ?それにカイリ様も気に入ってくださると思うわ」
「か、考えておきますので……すみません」
「大丈夫よ。実は私もこんな風にあの方からお誘いを受けたから結構フランクな方なのよ。それじゃぁこっちへ行きましょうか」
そういえば王様も『よくある王様!』という感じじゃなかったな。日本人だからかな?
「ここが一番の大通りよ。南北にずっと延びていて町の外まで続いているの。でここを曲がるとミキちゃんが通っている学校があるの」
「ぐるっと回ってきた感じですね」
「すごいわ。よくわかったわね」
よかった。褒められた。そのまま歩くと大きな噴水に着いた。
「ここが一番の繁華街かな。ギルドなどもあるわ」
「ギルドですか!あの!?冒険者とかいるのですか!?」
「あー私もよくわかってないんだけど冒険者はいないかな……市役所みたいな感じかな」
「市役所……。そうなのですね。冒険者ギルドではないんですね」
「平和だからねぇ。ここまま北へ行くと外に出るの。右へ行くとお城があるわ。左はお店がある方ね。細かいところは自分で探検してみてね」
「探検!落ち着いたら巡ってみますね」
「うん。それじゃぁお店へ戻りましょうか」
「はい」
※ハワイ語のオハナは家族という意味。それは血縁だけではなく、親しい友人やお店のスタッフにも使われる言葉。
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