短編:だれでも夢みる「スケスケ眼鏡」! 危機一髪!

甘い秋空

だれでも一度は夢みる「スケスケ眼鏡」! 危機一髪!



「何をやっているのですか!」

 委員長のフルート嬢の声です。


 教室で、毎日のように繰り返されるイベントが、また始まりました。

 フルート嬢と、お子ちゃま令息タキジークの口喧嘩です。


 口喧嘩じゃ、委員長にかなわないのにね。


「仲の良いことです」


 そうつぶやく私の名前は、マーキュリン、青っぽい髪色で中等部2年生の令嬢です。

 しかし、その実体は、天才魔導師、、、なら、いいな。


    ◇


 それよりも、今の問題は、この失敗作です。

 教室で、友人の令嬢に相談します。


「彼氏の本心が見える眼鏡をお願いされたけど」

「失敗して、衣服が透けるスケスケ眼鏡が出来たの、ごめんね」


 私は、手を合わせ、謝ります。


「大丈夫よ」

「それより、衣服が透けるスケスケ眼鏡って、危険じゃない?」


 私の数々の奇行、いや、発明品を見てきた親友の令嬢は、呆れています。


「だよね」


 カバンにしまおうとした時です。


「いただきマンボ」

 お子ちゃま令息タキジークです。

 スケスケ眼鏡を奪われました。


「何をするのですか、返しなさい!」


「これが衣服をスケスケにする眼鏡か」

 お子ちゃまは、私たちの会話を盗み聞きしていたようです。



「ダメ、それをかけると、それは衣服が透ける眼鏡!」

 大きな声を出してしまいました。


「「キャー」」

 教室中の令嬢がパニックになりました。


「やめなさい!」

 委員長のフルート嬢が、令嬢たちの前に立ちはだかり、盾になってくれます。


「うるせぇ」

 お子ちゃまが、机の上に立って、眼鏡をかけました。


「「ギャー!」」

 聞いたことのない叫びが、教室に響きます。



「あれ? 透けないぞ」

 お子ちゃまが、がっかりしています。


「透けたのは、貴方の衣服よ!」

 目の前で見てしまったフルート嬢が叫びます。


 そうです。

 お子ちゃま令息タキジークの衣服が、全て透けています。


    ◇


 タキジーク君は、三日間の自宅謹慎になりました。

 でも、謹慎が解けても、学園に出てきません。


 毎日、フルート嬢が、タキジーク君の屋敷へ、お見舞いに行っています。



「フルート嬢と、タキジーク君が婚約したそうよ」

 親友の令嬢が教えてくれました。


「雨降って地固まるですか」

 私がつぶやきます。


「マーキュリンの失敗作が原因でしょ」

 親友の令嬢からツッコミされました。



 ━━ fin ━━




あとがき

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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