第14話 夏休みになりました橋本心菜とプールデート

今話から工藤祐樹争奪戦。女の子達のプールの戦いが始まります。

お楽しみ下さい。


―――――


 八月一日。今日は橋本さんとプールに行く。プールはここから結構ある。学校方向への電車で十四駅目。この路線の最終駅一つ前だ。勿論、快速とか急行もあるが、橋本さんの家のある駅は十駅目で快速も急行も停まらない。


 仕方なしに、普通電車でのんびりと行く事にした。橋本さんの家のある駅の改札に午前九時半待合せ。十五分早く行く事を考えると家を一時間位前に出るのが良さそうだ。


 午前八時半にマンションを出ると駅から電車に乗った。正直今から胸が少しドキドキしている。だって制服の上からでも分かる程大きいお胸。

 そのお胸が水着で覆われているだけなんて俺(童貞)にとってインパクトでかすぎる。なので海水パンツの下に履くサポータを二枚持って来た。

 

 午前九時十五分ちょっと過ぎに彼女の家の最寄り駅に着いた。彼女はまだ来ていないのでほっとすると五分も立たない内にやって来た。


 改札から見ると信号待ちしている彼女は、茶髪をポニテにしてノースリーブの薄黄色のシャツ。はち切れそうなくらい胸が出ている。それに白いホットパンツ、オレンジのかかと付サンダルを履いて手には大きなスポーツバッグを持っている。俺の二倍位ありそうだ。



 俺に気付くと手を振りながら走って来た。胸が右に左、上に下に揺れている。目のやり場どうすればいいんだ。


「待ったぁ工藤君?」

「いや今さっき来たばかりだよ」

「そうかあ、じゃあ行こうかぁ。今日は思い切り楽しみにしているんだ」

「俺もだよ橋本さん」

「うふふっ、そうだねぇ」



 電車は混んでいたので入口のドアの近くに立った。彼女は入口とシートの間に立ってこちらを向いている。

 少し離れていないと俺の体が直ぐに彼女の胸に付きそうになるので少し離れていると


「ねえ、工藤君。もっとこっちに来ないと後ろの人にぶつかっちゃうよ」

 確かにそれは分かっているのだけど…。


「ほら、こっち」

 いきなり腕を掴まれ引っ張られた。当然のことながら俺の鳩尾辺りに彼女のトップがコンタクトしてしまった。

 不味い、不味い。思い切り彼女の胸を感じる。今からこれじゃあ…どうしよう。



 ふふふっ、工藤君、顔が赤い。私が意図的に彼の腕を引っ張って体をくっ付けたから。可愛い。こんな事で顔赤くなるなんて。工藤君今日どうなるか、楽しみだなぁ。



 俺達の乗る電車が、プールの有る遊園地に着くと波に押し出される様に電車の外に出た。


「みんなここで降りるんだ」

「夏休み本番だもの。さっ、私達も行こう」

 いきなり手を引かれた。


「あの、橋本さん?」

「何?」

 俺が繋がれた手に視線を落とすと

「気にしない、気にしない。行こ行こ」



 良く分からないまま手を引かれてチケット売り場に着いた。遊園地に行く人とプールに行く人が同時に並んでいるので、結構な列になっている。


 少し待ってチケット売り場のカウンタに着くと遊園地入場券とプール入場券を二人分買って遊園地のゲートをくぐった。遊園地はそのまま真直ぐだけど、プールは右側に行って再度入口でチケットを見せて中に入る。


 直ぐ左手に更衣室が有った。

「工藤君、着替えたらここで待合せね」

「分かった」


 俺は、更衣室に入り空いているロッカーを開けるとさっと着替えた。サポータは、もう少し元気になっている奴を抑え込む為、二枚履いた。これで大丈夫だ。キャップは強制ではないとの事なので、財布と一緒に防水バッグに入れて外に出た。



 結構、他の人も待っている。家族ずれや友達同士といった所かな。十五分位すると橋本さんが出て来た。手には防水バッグとラッシュガードを持っている。なんで着ていないんだ?


 髪の毛は、上手くキャップの中に収められていて見えない。視線を下の流すと…えっ、多分セパレーツの水着のはずが、胸の部分は超ビキニ化している。

今にも零れ落ちそうだ。周りの男の人の視線を釘付けにしているのが分かる。お尻は普通に可愛いのだけど。


「工藤君、待ったぁ?」

「ううん、ちょっとだけだよ」

「ごめんね。女の子は支度が長くて」

「気にしないで良いよ。それよりラッシュガード早く着た方がいいよ」

「ふふっ、工藤君にこうしたかったの。えいっ!」

「うわっ!」


 いきなり橋本さんがその豊満な胸を俺の体に押し付けて来た。腕を俺の体の後ろに回している。自分の顔が一瞬で茹でタコ化したのが分かる。


「こ、これって?」

「ふふっ、工藤君にもっと私を知って欲しくて。どうかな?」

「み、皆見ているからもう離れて」

「駄目、感想言うまで」

「わ、分かった。充分に魅力的です」

「よろし」

 はぁ、周りの注目集め過ぎだよ。



 ふふっ、第一弾成功。彼に私の体を思い切りアピール出来た。でもこんなのまだまだ。これからだから。



 俺達は、プールサイドの空きテーブルを探すとまだ、監視員の傍にいくつかの空きがある。そこに行こうとすると

「工藤君、向こうの方が人がいなくて良いよ」

「でも、ここの方が…」

「大丈夫。行こう」

 どう考えても嫌な予感しかしないけど、彼女が言うから仕方ない。



 俺達は、サンダルを脱いで防水バッグをテーブルに置くと軽く体を動かした。


「工藤君の体って凄いね。洋服で分からなかったけど腹筋凄いし、体が贅肉と縁がない感じ。何かしてたっけ?」

「ほら、前に言った空手の稽古の所為だよ多分。父親から言われて小学校三年からやっている」

「えっ、じゃあ、凄く強いの?」

「そんなことないけど」


「でも安心。工藤君なら私を守ってくれるよね」

「ま、まあ。守れるかな?」

「何その自信なさそうな言い方。それよりプールに入ろう。あれ、流れるプールって奴行こうよ。浮輪借りよ」

「ああいいよ」



 橋本さん、凄いな。最初からもうする事が決まっているかのように動いている。

 俺達は浮輪を一つ借りると橋本さんがお尻からその浮輪に入った。浮輪の輪の中から太腿と足が出ているけどその上にドカンとお胸が鎮座している感じ。


「ふふっ、工藤君、そんなに私の胸が気になるの?」

「あっ、いやそんな事は…」

「あるんでしょ。いいよ工藤君が見たければ」

「いや、あっ、その」

 自分の顔が赤くなるのが分かる。急いで彼女の胸から目を逸らして余所を見た。始めからこれかよ。彼女が悪戯顔でニコニコしている。最初から予定していたのか?



「工藤君、浮輪引っ張って。ゆっくりとだよ」

「分かった」

 流れる方向にゆっくりと引いて行く。彼女が手で水を漕いで楽しんでいる。こうしてみると結構可愛いな。


「やっぱりもう少し早く」

「分かった」

 少し強く引っ張ると浮輪が傾いて思い切り横にひっくり返った。


 きゃーぁ!


 ザブーン!


 俺は急いで橋本さんの傍に行って腕を持って引き起こすと

「もう、工藤君の所為だからね」

 自分が強く引いてって言ったのに。


 今度は流れるままにプカプカ浮いていると

「工藤君、あれしようか?」

 

 定番ウォータースライダーだ。何となく嫌な予感。でも

「いいよ」



 俺達は浮輪をテーブルの傍に置いてからウォータースライダーに向かった。十分位待って順番になった。


「どっちが先になる?」

「えっ?別々じゃないの?」

「駄目だよ。係員さん。どっちが先?」

「彼氏さんが先の方が良いですね。彼女さんは彼氏さんのお腹に手を回して下さい。ぎゅーっとですよ」


 お前わざと言っているだろう。仕方なく俺が前に座ると橋本さんが俺の後ろに座ってお腹に手を回して来た。俺の背中と彼女の間に強烈に柔らかい物が挟まれる。気持ち良いけど…。

「ハイスタートして下さい」


 俺は、縁に付いていた手を離すとさっきよりもっと思い切りお腹に回した手をきつく締めて来た。橋本さん勘弁して!


 右に回り左に回り又右に回り


 ザッブーン!


「きゃーっ、面白かった。ねえ、もう一回やろう?」

「えっ、いいけど」


 結局三回もやった。もう俺のメンタルもあそこも限界に来ている。俺はトイレに行きたくなったけど彼女が心配なので、


「ねえ、俺ちょっとトイレに行きたいけど橋本さん心配だから一緒に行かない?」

「あははっ、心配性だなぁ。大丈夫だよ。テーブルで待っている」


 仕方なく、彼女を一度テーブルまで連れて行くと俺は早足でトイレに行った。素直に出そうと思ったけどサポータ二枚が邪魔になっている。

 仕方なしにコンパートメントに入って、大人しくさせて用を済ませた後、急いでテーブルに戻ろうとすると


 やっぱりなぁ。定番の様子がそこに在った。


「ねえ、可愛い彼女。俺達と遊ばない?」

「俺お金一杯持っているんだ。楽しい事しようよ」


「結構です。連れがいます。あっちに行って下さい」

「そんなこといわずにさあ、連れも一緒でいいからさ」


「すみません。俺の友達にちょっかい出さないで下さい」

「何だ手前は?せっかくこの子と楽しい事しようとしているんだ。邪魔すんじゃない」


 いきなり俺の頭を押さえつけようとしたので、その手を簡単に払いのけると今度は殴りかかって来た。 


 ばかか、そんなに大振りして。俺は殴って来た手をそのまま徒上げると右手で顎に掌底を食らわせてやった。


 ぐぇっ。


そのまま後ろに吹っ飛んだ。もう一人の男が、

「おい、止めようぜ」

「くそ、覚えてろ」


 俺にやられた男が顎を押さえながら逃げて行った。監視員の方を振返ると近寄ってはいたが、俺の顔を見て顎を引いて頷くと監視台に戻って行った。



「さすが、私の工藤君。安心してた。助けに来ると信じていたから」

「もう、だから一緒に居て欲しかったのに」

「そんなに私が傍に居て欲しいの?いいわよ、ずーっと傍に居ても」

「い、いや。そういう意味では」

「じゃあ、どういう意味」


 その時、彼女のお腹が鳴った。顔を赤くして

「ごめん、ご飯食べようか」

「そうだね」



 俺達は、プールの端にある何軒かの売店から、焼きぞば、ホットドック、たこ焼きと炭酸ジュースを買って来てテーブルで一緒に食べた。

 食べている時の彼女の顔は学校のお昼時間で見る顔よりもとても可愛く見えた。



 三十分位休憩して、今度は波の出るプールに行った。波が来るたびに彼女がしがみついてくるので仕方なしにその度に彼女の腰を持って少し上げてやると思い切り俺に寄りかかって来た。しまいには俺の首に手を回してくる。


 完全に彼女と体が一体となっている。周りも同じような状況だ。でも流石にもうメンタルきついし、あそこもきつい。


「なあ、そろそろ上がろうか」

「えーっ、やだーぁ。じゃあ、ウォータースライダー二回やったらね」


 俺は全部が終わった頃には、頭の中と感情が整理出来ない位やられていた。参った。更衣室に入り、個室シャワーで冷静な体に戻すとタオルで体を拭いて外に出た。まだ彼女は出て来ていない。



 二十分位してやっと出て来た。

「ごめんね。待たせちゃて」

「ううん。いいよ」

「じゃあ、帰ろうか」


 帰りの電車を待っている間に彼女が

「ねえ、工藤君。君が忙しいのは分かっているけど、もう一度会えないかな。勿論プールじゃなくて良いよ」

 この時、俺の頭は少しばかりの彼女に対するアドレナリンが入っていたんだと思う。


「うん、良いけど。八月も終りの方だよ」

「いつ頃が大丈夫?」

「八月二十二日以降なら」

「じゃあ、八月二十三日でいい」

「いいよ」


 帰りの電車で彼女は俺の右上腕に自分の腕を絡める様にして寝こんでしまった。彼女が降りる駅で起こすと

「じゃあ、工藤君。またね。今日は楽しかった」

「うん、俺もだ」


 彼女が嬉しそうな顔で降りて行った。良かったのかな。




 工藤君の乗った電車がホームを出て行った。今日は思い切り、そして意図的に彼に甘えた。私の体も思い切りアピールした。

これで、今度会った時…絶対に成功させるんだ。そうすれば私は彼の彼女になれる。あっちも早く整理しないと。


―――――


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る