10.体力づくりは基本
「そんじゃ、訓練するぞー」
自警団の訓練日。
俺は父の手伝いから解放され、……ひたすら走ることになった。
まず五歳の体力では戦場で足手まといになると考えられた。
魔法使いゆえに後方から魔法を放てばそれでいいと思うのだが、ブルーベアくらいになると戦列を乱されて後衛に抜けてくることもある。
そのときに逃げられないようでは、あっという間に死ぬと言われた。
まあその通りですね。
納得したので、走り込みをする。
てっきり魔法を撃つ練習でもできるかと思ったけど、そう甘くはなかった。
走り回るなら、と折角なので
駆け回ることの多い
半日、走り続けて微々たる量のSPが増加したことに満足し、俺は休憩に入った。
昼食を村からの差し入れで済ますと、今度は魔法を撃ち尽くした後に戦えるように、棒きれを振るう訓練に参加させられた。
どうやら棒きれは槍に見立てて使われるようだ。
なので
当然、消費SPはゼロだ。
ただ武器を振るうだけのスキルだが、これがなければ武器を扱い魔物にダメージを与えることはできない。
ひとまず〈槍・刺突〉を習得し、セットした。
〈槍・刺突〉はその名の通り、槍を突き出す単発の攻撃スキルだ。
上級クラスの
ブルーベアを倒したことで、この世界に来てから始めて多くのSPを稼いだものの、上級クラスの証を習得するにはかなり足りない程度の数字だった。
ゲームでも何度もクエストをクリアしてようやく上級クラスになれるわけだから、当然といえば当然だ。
「お、なかなかいい動きじゃねえか」
自警団の長ディアマンドは、俺の刺突を見てそう評した。
巻藁に打ち付けられる棒きれの先端からは、ダメージエフェクトが発生しているから一目瞭然だ。
しかしどうやらディアマンドにはそのようなものは見えていないらしい。
そういえばアイテムの表示ウィンドウも俺だけに見えるもののようだ。
転生したこととなにか関係があるのかもしれないが……謎である。
「攻撃魔法が使えて、午前中の走り込みをやりきって、槍の型も悪くない。……レイシア、お前は一体、何者だ?」
「さあ。妖精さんの祝福かもしれないですね」
「それも胡散臭いけどなぁ」
どうやらディアマンドは妖精うんぬんの話には半信半疑らしい。
さすがに五歳の少女を乱取りに参加させるほど我らが自警団長は鬼畜ではなかった。
ただし魔法は結局、一度も撃たせてもらえなかったが。
◆
《名前 レイシア 年齢 5 性別 女
クラス
パッシブスキル
〈農業Ⅰ〉
アクションスキル
〈ストーンハンマー〉
〈ウォータースピア〉
〈ウィンドカッター〉
〈ヒーリング〉
〈槍・刺突〉
〈投石〉
控えスキル
〈農民の証〉
》
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