クラフター喧嘩する

 ほわほわとマグカップから立ち上がる湯気を見ながらパンを一口食べます。芳醇な味わいが口内を侵略しながら鼻に抜けてきます。今です! 匂いが鼻に抜けてきた瞬間にティーを飲みます。パンとティーがマリアージュして脳からはこんなに幸せなことを体験させてくれてありがとうと言われてるみたいにぴくぴくと動きます。


 横で同じ表情をしながら元の妖精の姿に戻っていました。


「私が生きていて1万年こんなに美味しいものがあるとは思っていなかったのじゃ。クワナよ! 無礼を許すぞ」

「美味しさに気づいたフブミーも流石ですね! 許してくれてありがとうございます」

「クワナよ。私の仲間にもこれを食べさせてやりたいのじゃが、土産に持たせてはくれぬか? ただでとは言わん。代わりにこれをやろう」


『妖精の笛を手に入れました』

『妖精の笛、この笛を使用すると近くにいる属性持ちの妖精女王を呼び出すことが可能です。呼び出した妖精女王は妖精の心をくれる場合があります。ただし各妖精女王と友好度を上げる必要があります。友好度氷の妖精女王フブミー100親友』


 私がフブミーは親友になるほど仲がいいです! そりゃそうですよ。今から一緒にちひろたちを騙すんですから、もし怒られそうになっても一緒に怒られてくれそうなので怖くありません。さあ悪魔ちひろよ! 今に見てるがいい。


・・・・


 2時間後。



「それでフブミーをサボり仲間にしようとしたわけね? 怒られるのが怖かったとか言ってたけどそれで他人を巻き込むなんてクワナは最低ね。少しだけ見損なったわよ」

「そこまで言わなくてもいいじゃないですか! 私だって巻き込む気なんてなかったんですよ。少しだけフブミーをからかった悪かったと思ったので一緒にティータイムを楽しんでだけなんですよ! それにサボっているわけじゃなく休憩していたんですよ。一方的に言ってくるくせにちひろは休憩しないでやってたんですか? そうやってすぐ見損なったとか言い出すほうが呆れました」

「あら、そう。そうやって意味も分からず逆ギレするなんて思わなかったわ?」


「二人ともとりあえず落ち着くのですわ! 頭に血がのぼっていていきなり喧嘩になるなんて不幸ですわ!」

「落ち着く。 絶対。 だめ 喧嘩」


 何なんですか! いつもそうです。私だけ責められて、怒られて理不尽じゃないですか! もう限界です。 メニューからログアウトボタンを押します。


『ログアウト中の処理をしています。処理が完了しました』


 大広間から無言のままクワナの姿は消えていった。

 

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