クラフターオフラインでもCAOをする
VRギアを投げ捨て周囲を見渡すと暗黒世界に転生してしまったように感じる夜7時のベッドの上はいつもより悲しさと哀れさで言葉が出ません。なぜあんなことで怒ってしまったのでしょうか。確かにティータイムの回数が多かったですがしっかりと仕事はしていました。その部分だけを切り取って一方的に言ってくる必要なんてありませんよね? さっきの出来事を思い出すと悲しさは怒りに変わってきます。
答えが出ないまま1時間。
「今日はもう答えが出ませんね。もう寝ましょう」
目を閉じると目じりから液体がぽたぽたと流れていくのを感じながらその日は静かに眠りにつきました。
「……だれ!」
服を強く引っ張られ誰かが家に侵入来ていると察知した私は急いで起き上がりあたりを見渡しました。周りを見渡すとそこはCAOで私が拠点にいる城の大広間でした。いつもよりも肌に触れる風はリアルに感じて鼓動の音まで聞こえてきます。
「クワナ様そんなに慌てた表情でどうかなさいましたか? 先ほどのパンがお口に合わなかったのでしょうか? それとも具合でも悪いのでしょうか? 急いで王国随一の医者を呼び寄せます」
「待ってください。ただいつもと違う目覚めで少しだけ混乱していただけです。疲れているのでもう少し寝ることにします。心配せず仕事を続けてください」
会話の自由度が高いと言ってもここまで現実的な会話に聞こえるのは一体何でなんでしょうか。ますます慌てそうですがまた行動に出してしまっては医者をよばれかねません。それなら自分でこのもやもやを解消するしかありませんね! 方針を決めたクワナ隊長は部屋を飛び出して歩きます。
「何でいつもより疲れるのが早いんでしょうか」
いくらクラフターは弱小といえどスタミナはあるはずです。スタミナゲージも見当たりませんし、ここがリアルの世界に感じてくるようになりました。でもゲームの世界に転生するなんて作り話の話で合って現実に起きるはずがありません。これはきっと悪い夢なんです。喧嘩してふて寝した私への罰なんだと思います。もう一度寝ましょう。そうすればいつも見慣れたマンションの部屋に帰れるはずです。
「そうだ。今こそ落ち着くべき! 私はギルドマスターで皆を守らないといけません」
何も分からないまま城の自室に到着しました。そしてベッドに飛び込んで何も考えずに目を閉じます。
『セーブしますか?』
『VRギアが正常にシャットダウンする前にお使いになると脳波が取り残されて現実に近い夢をみることが稀にあります。これは警告です。お気をつけください』
ログアウトはしたがVRギアを投げ捨てたせいで少し怖い思いをする桑名であった
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