クラフター大会を満喫する2

『ようこそ辺境の森へ! このエリアで皆さまは優勝をかけて戦っていただきます。今回はテスト大会になりますので敵チームとの協力は禁止にさせていただきます。次にルールですが最後の1チームになるまで生存をすることです。それ以外の勝利条件はありません。ぜひ皆様のご活躍を祈念いたします』


 ふええ、本番が近づくにつれて足ががくがくと小鹿のように震えています。でもここまで来たなら、悔いの残らないように頑張りたいと思います。何故か周りから視線を向けられているような気がしますが多分気のせいだと思います。気のせいであってほしいです。他の参加者たちも続々と待機ロビーに集まってきました。大きな大盾と大きな両手斧を装備した巨人族みたいなプレイヤーが特に目立っていて、油断したら一撃でもっていかれそうで要注意というところでしょうか。


「バフパンはしっかり持ってきたかしら? 回復ポーションも忘れずに持ってきた? 忘れ物が無いかしっかりとチェックして頂戴」

「大丈夫です。全部最大スタック数でもってきました! それにしてもちひろは心配性ですね」

「初歩的なミスで負けるほど屈辱なことはないわよ? それに誰かさんが慌てすぎてるせいでこっちまで心配になってきたのよ」


 大勢の人の前で仕事をして慣れてるちひろでも手ががくがくと震えています。でも私に心配かけさせたくないためか黙っていますね。それならさっきやってくれたところ恩返しするべきじゃないですか!


「何をしてるのかしら? 何でこの状況で膝枕になってるのよ。公衆の面前でこんなことをしたら変な噂をされるわよ?」

「気にしてはいけません。今はちひろの緊張を解すほうが優先です。これで勝率が上がるなら私はいつでもどこでもやりますよ」


 さっきより人からの視線が強くなった気がします。でも私は間違えたことをやっていないので、何でもばっちこいです!


「ごきげんよう。お二方はもしかして出来ていたりしてますの? 友人以上の何かを感じますわ」

「マインさん!ごきげんよう。できてないです! ただの友達ですよ」

「変態お嬢様は回れ右したほうがいいんじゃないかしら? またうちのクワナに変なことしたら今すぐ消し炭にしてもいいわよ?」

「あらら、そんなことができるならやってほしいですわ。まあ~わたくしに勝てるとは到底思えないですわ」


 ぷつーんという音が聞こえてきたような気がしてちひろを見るといつもの顔は鬼の形相になっていた。少し落ち着いてください!

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