クラフター大会を満喫する1

 待ちに待ったPvPDUO大会当日がやってきました......! なんてなりません! 戦闘ステータスが一般以下のクラフターがこの大会に喜んで出場する人はおそらく誰一人いないと思います。


「ほらいい加減ぷくぷく膨れてないで覚悟を決めなさい。それにそんなにぷくぷくしてたらしわができちゃうわよ? せっかくかわいい顔してるんだから自分で台無しにするなんてもったいないわよ」

「メイジはいいですね。戦闘向きだし、派手だし、何をしても盛り上がってくれるじゃないですか! クラフターなんて最弱モブと最終決戦くらい激戦をするんですよ? それなのにPvPで勝てるはずないじゃないですか!」

「そう、でも私がいるわよ? それにクワナの装備もそれなりに強いはずだから自信を持ちなさい」


 緊張と不安で体と頭がふらふらして今にも倒れそうです。ゲーム内で倒れても異常検知システムで強制ログアウトになるだけですが~!


 ソファーに座ってゆっくりお茶を飲もうとしてもカタカタとグラスを持つ手が揺れて飲めませんでした。そんな私をみてちひろは気を使ってくれたのかそっと隣に座ってきました。


「そんなに緊張するなんて珍しいわね。いつも通りでいいのよ? ほら少しだけ横になりなさい」

「え、え?! ちょっと待ってくださいー」

「ほらこうすれば暖かいでしょ? 暴れないで落ち着きなさい。今は緊張を解すほうが大事なんだから」

「そ、そうですね。これを現実でもやってくれば...... あ!」


 膝枕をされると落ち着くという都市伝説は本当だったと今証明されました。ゲームの中でも肌の温もりと感触?!が直に伝わってきます。現実でもやってほしいです。このまま溶けてしまいたいと思うほど顔が真っ赤になっているのは鏡を見なくてもわかります。


『警告体温の急上昇を確認しました。改善が見られない場合は強制ログアウトモードに移行します』

『警告体温の上昇を確認しました。改善が見られない場合は強制ログアウトモードに移行します』


 そしてなぜか同じ空間にいる二人それぞれのVRギアから警告のアナウンスが流れていた。


「それじゃあ休憩はここまでにしていくわよ。特訓の成果を存分に活かして頑張りましょう。勝つことじゃなくて全力で楽しむことをメインにしましょうね」

「分かりました! 足を引っ張るかもしれませんが楽しみたいです」


『もう間もなくに迫りました。PvPDUO大会。アルファ大会として優勝者には拠点が贈呈されます。気が抜けない熱き戦いは公式チャンネルとゲーム内スクリーンにて配信予定です』

 

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