クラフター古代王のダンジョンに挑戦する
ぽたぽたと上から垂れてくる水滴が地面に当たって不気味な音を鳴らしています。ここは古代王の挑戦ダンジョンの中です。
お話を少し遡りです。
そう、あれは古代王の家具セットが出来上がってしまった時のことです。
『おめでとうございます。クワナ様とそのパーティーメンバーにはこれより古代王のダンジョンに挑戦していただいきます。なおデスペナルティは解除され、一時的にステータスをダンジョン適正レベルまで調整させていただきます』
というわけで少しだけ強くなった私とちひろは心の準備が出来ていないのに古代王ダンジョンの中にいます。ここのモンスターたちは骸骨が多いので刀はダメージが減衰されるようで道中はメイジのちひろにすべて任せています。それじゃ私はキャリーされるだけのお荷物なのかというとそうではなく、肉体を持つモンスターにはダメージ特攻が付いているので担当させてもらっています。
でもここだけのお話ですよ? ダメージ特攻があるとはいえちひろが魔法を打ったほうがすぐに倒せちゃいます。クラフターって強くなっても戦闘能力は適正なしなんですね。少しだけショックです。
「チェックポイントについたみたいよ。丁寧に椅子まで用意されてるしここでご飯にしましょうか」
「うんー。ようやく私が活躍できます! クワナ印の特別パンを堪能あれ!」
「このふかふかの食感にほのかに感じる甘さは癖になりそう。リアルでも食べてみたいわ。今度家に行くから作ってくれる?」
「私が料理できないこと知ってるのにそんなお願いしてくるなんてやっぱりちひろはいじわるです」
CAOを始める前まではお互い時間が取れなくてこんなに長い時間一緒にいることが出来ませんでした。ちひろは売れっ子なのに無理やり休みを取ったからできた時間かもしれないですが、家に居てもちひろと一緒にいれるなんて幸せです。
「ほらそんなに丸くならないでそれに食べかすが付いてるわよ。お嬢様がそんなにはしたない食べ方をしてはいけませんよ」
「はーいごめんなさい」
「十分休めたみたいだし先へ進むわよ」
ご飯を食べた私たちの怒涛の快進撃の始まり~始まり~だと思っていました。
『古代王の大広間への入室を確認しました。古代王の家具セットを配置しますか?』
『配置を確認しました。これより古代王が現れます』
えーとそのー私なんかやっちゃいました?
「人の子よ。この場所に人の子が来るのは実に何千年ぶりの事じゃ。よくぞ来てくれた。そしてこの家具は儂が大切に使っていたものと同じとはお主は相当な技術者とお見受けする」
「あーそのそれはたまたまできたもので私自身驚いているんですよ。お見受けしないでください、ただのクラフターなんですから」
「謙遜いらぬぞ。その家具を製作できるようになるのは少なくとも五十年は修行をしたものじゃないと無理なのじゃ。それにお主の隣におるのは賢者様ではないか。その魔力量は初代賢者様を優に超えておる」
「私はただのメイジよ? 賢者様なんて崇めるのはほしいわ」
「細かいことは気にせん。お主らを認めよう」
『クラフタークワナ様、メイジちひろ様は古代王から認められたため古代王の大広間を拠点登録できるようになりました。おめでとうございます』
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