∞ 森部誠一の述懐 其の四 ∞
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……もし、オレが異世界に行ったとして。
オレが一番欲しい異能は、『精神と時の部屋』だ。あの有名なやつ。
その部屋の中では『一日で一年分の修行が出来る』。しかも、『厳しい環境設定によって、修行だけに専念出来る』。
もし異世界に行けたとしても、多分なんだかんだで理由をつけて修行をサボってしまうであろうオレに、最も必要な異能だと言える。
精神と時の部屋は、時間の流れが外の世界とは違う。もしも環境設定を自在に操作可能ならば、修行だけではなく、ちょっとした手作業などの日常生活にも役に立つことだろう。
つまり、使い方によっては『一日で一年分の作業が出来る』わけだ。
世の中の忙しい人のほぼ全員が「オレも(私も)、精神と時の部屋ほしい!」と思ったことが、人生で一度はあることだろう。
しかし、精神と時の部屋を『物理的な部屋』として実際に作ってしまった場合、もしかしたら『敵』とかに奪われて利用されてしまうかもしれない。
それは、あまり宜しくない。
もしかすると、オレの敵の方がオレよりも有効的に活用して強くなってしまうかもしれないし。
……ならば。
精神と時の部屋を『自分の心の中だけに作る』というアイデアは、どうだろう?
自分の心の中だけに作るのだから、他者は利用できない! 当然、敵も利用できない!
自分だけが使える、自分専用の『精神と時の部屋』というわけだ。
『自分専用』という言葉の響きに、
オレはゾクゾクしてくる。
………
人間の人生というのは、結局のところ
『時間との戦い』だ。
少なくとも、オレ自身はそう感じている。
誰にとっても平等な『おんなじ一秒間』の間に
なにを、どんだけやったかで、
自分と他人との差は、どんどん開いてくる。
……それなら、異能や想像力を使って
『他人とおんなじ一秒間』でなくせばいいだけの話だ。
自分の心の中の時間は。
現実の『一秒』の間にも、『無限』の拡がりを持つハズだ。
それが、『オレにとっての精神と時の部屋』だ。
…To Be Continued.
⇒Next Episode.
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