∞40【ひらめきの源泉】
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“夢のおっさんの夢”には2パターンある。
一つは、おっさんがひたすらアゾロに話しかけてくるだけの夢。白い闇の中でずっとおっさんの声だけが聞こえてくるという、多感な15歳の少女にとってなかなか耐え難い夢だ。
このパターンの場合、一方的におっさんが喋り続けるだけなので、アゾロからすると話の内容の要領を得ない場合が多い。
極稀に『今のアゾロに必要な情報』がおっさんの夢として顕在することもあるのだが、そもそもアゾロは悩むのが苦手なので、夢のおっさんの言葉もあまり積極的に活用できてはいない。
もう一つが、おっさんの実体験をおっさん主観でアゾロ自身が追体験する夢。異世界のおっさんの実体験をフルカラーで『まるで自分ごとのように』体験することになるので、これもかなり辛いものがある。
なんの因果で『15歳のアゾロ』が『異世界のサラリーマンのおっさん』の人生を追体験しなければならないのか、はおそらく誰にも分かるまい。
しかし、このパターンの場合は極稀に『異世界の有益な物品』についての情報を、アゾロ自身が視覚的に獲得することが出来る。夢に出てきた『阿修羅の木刀』の再現や、『バーチャルリアリティ』や『アップデート』などの現代知識の理解にも役に立っている。
人間の意識には、二種類ある。
本人に意識できる『顕在意識』と、意識していない(或いは意識できない)『潜在意識』。
アゾロ自身はこの言葉を知らない。
夢のおっさんにしても『潜在意識』くらいなら知識としてギリギリ知ってはいるが、『顕在意識』とかそんな心理学の専門用語なんて人から聞いたこともない。しかも、潜在意識というのも“無意識的にエロいこと考えちゃったりすること”くらいにしか思っていない。
アゾロ自身の『顕在意識と潜在意識の
そして、“夢のおっさんの夢”はアゾロの人生に、あるいはアゾロの属する世界に『阿修羅の木刀』や『現代知識』という“それまで存在し得なかったもの”をもたらしたという事実。
顕在意識と潜在意識。
“ひらめき”はその『
そもそも“ひらめき”というのは、“今の自分自身が考えつかないような優れた
それは、必ずしも意識的なものとは限るまい。
『新しいアイデア』は、常に自らの顕在意識と潜在意識の
これは『世界』を構成する、重要な
『夢のおっさん』はアゾロにとって、
ギリシア神話でいう『ムーサ』のようなもの。
……かもしれない。
アゾロ自身は『夢に出てくるうるさいおっさん』くらいにしか思ってはいない。
──今のところ、は。
…To Be Continued.
⇒Next Episode.
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