∞12【便利だな〜《無限チュートリアル》!】

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 さすがに『デカいクマ』は強かった。


 何度も危うく喰われそうになりながらも、最後はクマのけつの穴に木刀を根本までねじ込んでやった。

 オスのクマは切なそうな鳴き声を上げていて、【チュートリアル】上に新たな情報が『自動アップデート』されたようだ。


 これで『クマ』との戦績は54戦7勝。 

 《スキル》無しでクマ相手だとこんなもんだろう。


「今のわたしが全開で《スキル》を使ったら、どうなるかしら?」


 昨日、【竜の御座石みくらいし】をレオ山の山頂に埋め込んだ時でさえ、『少し余裕』を残しておいた。


 アゾロの《スキル》は肉体への反動が大きい。

 特に自分の力では『破壊不可能なもの』を破壊しようとするとヤバい気がする。

 そういう『ヤバい気がする』という感覚をアゾロは大事にしていた。


 それに《スキル》全開でやらなくたって、『大きな石を踏んで全体的に少しずつ地面に沈める』とか『樹を叩いて枯れ葉だけを落とす』とかいった精密なコントロールの練習はできる。

 もしかしたら、パワーとかスピードよりもそういう『精密さ・正確さ』の方が、実戦では必要なのかもしれない。

 アゾロ本人はそう思った理由を言語化できないので『勘』でそう思ったように感じている。しかし、実際は《無限チュートリアル》を何度も何度も繰り返したことで得られた結論である。


 《無限チュートリアル》のお陰で、15歳のアゾロの戦歴は現実と幻覚合わせて『300戦』を軽く越えている。単なるトレーニングも含めるとはいえ、戦歴だけなら『歴戦の勇者』と呼べるほどの経験を15歳のアゾロは重ねていた。しかし、アゾロ自身はそのことを自覚してはいない。


 せいぜいが、『便利だな〜。わたしの《無限チュートリアル》!』としか思わない。



…To Be Continued.

⇒Next Episode.

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