第2話 目的

川が見えた、とても美しい川の向こうに見覚えのある女性が見えた、

川を渡ろうとしても、身体が動かない、もがいているうちにまぶたがとじる、

目を覚ます、最初に見えたのは女性の胸だった、あぁここが天国か

やがて声が聞こえる、

「さっさと起きろ!」

大きい声に反応して立ち上がる、そこにいたのは小さな妖精だった

さっきの胸はこの子ので遠くから見ると小さくがっかりした、

強い口調でその子が告げる

「やっと起きたか、死んだと思って心配したぞ、お前、俺を覚えているよな、」

初対面だと思っていたが、どこかで面識があるようだ、こんな可愛い子

忘れるはずがないとおもうが、だいぶ昔なのかもしれない、その子は続ける

「覚えてないのか、今一度名乗ろう、俺の名前はベルゼブブ、ベルゼでいい、」

それを聞いた瞬間驚く、あの醜い蠅がどうしてこんな姿になったんだ、

それと同時に少しでも、可愛いと感じた自分が悔しくなった、

見れば、白髪以外の服などは真っ黒で見れば見るほど蠅らしい、

しかし、ベルゼブブは僕を殺そうとしたはずだ、何故だ

「ベルゼ、僕に何をしたんだ、」

率直な疑問をぶつけた、すると、

「お前の体を借りている、今俺は狙われている、お前の体と心を覗いて、

 この姿になった、よろしく、クレイ」

僕の名前を知っている、どうやら本当らしい、だが身体に違和感を感じる

今一度、自分の身体を確かめた、何故か千切られたはずの左腕がついている、

「お前の心臓にコアを埋め込んだ、クレイ、その体は再生できるようになったんだ」

心を読まれているらしい、思い出したようにベルゼが告げる

「そして、お前の首に付いている蔦のような首輪はクラウンと言って、

 クラウンは全ての偽神が狙うお宝だ、逃げ場などないぞ、」

首を確かめる、確かに蔦のようなものがついている、偽神に狙われれるなんて

ごめんだ、ベルゼの目的がよくわからない、

「俺の狙いか?それは、お前に偽神を殺してもらうことだ、」

「偽神を殺して何になる」僕は問う、

「十だ、十の偽神の魂が必要だ、あと十の魂とクラウンで十字架の神が解放される、

 わかるか?あの巨大な十字架には偽神じゃない本当の神がいる、そいつが俺たち

 現世から解き放ってくれるんだ、代償に魂がいる、集めてくれ、探さずとも、

 クラウンがあれば血眼になって探してくれるとおもうがな」

理解できない、偽神の魂だと、集められるものか、願い下げだ、

「もちろんお前らにも利点がある、偽神が解放されれば、神官も信者も消え去る

 お前の仕事もな、だが安全を得られるんだぞ、悪くないだろう」

一理あるが、胡散臭い、本物に信じていいのか、心の中で葛藤がおこる、

だが、選択肢は一つしかない、狙われれるなら潰してやる、

「わかった、協力するよ、」 それを聞いたベルゼの顔がパッと明るくなった、

「本当か、ありがとう、これからよろしくな、クレイ」

「こちらからもよろしく」 

二人で握手をした、必ず安全を得てやる、固い決意がみなぎった。

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孤独と蠅と偽神 @letn

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