第7話
朝礼から、今日の目標までの
そして前日から引きずる案件に関して、本部からの回答がないか念の為の確認依頼その他
さてと、と、一息ついて自分の作業をするべく、デスクの引き出しから適当にクリップを取り出して前髪を
いつもの
ホント、動かないよなぁと
「蒼衣さん今日もまた可愛いことになってるんですね!」
「あー、これ?今日のは、誰だっけかなぁ、しおりんがくれたやつだったはず。」
前髪クリップを使い始めたのは、以前に前髪が
それがきっかけであるが、前髪を留めておけば、目の前をチラチラするものが無いし、いちいち
以前も同じ様に前髪が伸びてきたのを、適当に家にあった工作バサミで切ったら
だからプロにお任せすることに決めたものの、
ちなみに蒼衣は、身長は175センチほどあり、程よく筋肉もあるものの、ゴツイ、いかつい、でかいといった体型ではない。
服装も、ダボダボしすぎるものよりは程よくフィットしたキレイ目の服を好んでいる。そのせいなのか
おまけに目が大きいため化粧をしたら女性モデルやれるんじゃないかといわれたりもする。
一度、本気で諏訪と谷原に囲まれ、昼休憩中にアイシャドウだけ塗られたことがあった。ただし、職場であった為、一通り
ある意味
しかし、いい年したいくら細めに見られがちでも筋肉はそこそこある体格の男が、りんご3個分の仔猫をつけ、それが可愛いだの何だのと言われるのもそれはそれでどうかと思う。
蒼衣にしてみれば前髪がどうにかできれば文句はない。まぁいっかと付けていたら、どうもその姿が、蒼衣と交流のある社内の女の子達にヒットしたようだ。
こぞって面白い前髪クリップを見つけてはどうぞと
よって、とくにキャラクターが好きとかそういった
今日は、
「蒼衣さんがつけるとなんでか違和感ないんだよなぁ。コバだと絶対似合わない。」
「いや待て、そこは違和感持ってくれ。そしてコバさんはスキンヘッドだろ。」
ツッコミどころが
「じゃなかったとしても似合わない。」
あまりにもキリッとした表情で蒼衣をみるから、細谷につられて蒼衣もイメージしてみたが、言葉にし
「うん。ちょっと、いや、かなりアレだね…。ってか、ほそやん絶対似合うだろ。リボンをつけた美人な猫のがあるぞ?それとも
ふと、いたずら心が
「いやっ、巻き込まないで!」
「またぁ、本当はつけたいんでしょ、私のやつ貸してあげようか?」
本来の目的は、蒼衣に今日はどのくらい動けない時間があるのか状況を確認することだった諏訪が、蒼衣のところまでやってきたところで、面白いことになっていると
「いやいや、しおりんまで!」
本気で逃げようとしている細谷を捕まえるべく、
「しおりん、俺が
さっきまで話の
蒼衣と諏訪が、
「は~いほそやんもこれで俺とおそろいだなっ。」
「はい可愛いほそやん出来上がったよ、コバさんどうよ?」
「いやっ!俺はかわいくない!!」と細谷は再度抵抗しようとするが、小林がホールドしているから、クリップをとることも許されていない。
「コバさん的に、面白いから有り。」
感想を求められた小林も完全に悪ノリ状態だ。
その姿と会話を聞いて、部署内からもクスクスと笑いが起こっていた。
方々で細谷さんかわいい、似合う、なんて女性陣の声や、細谷さんウケる!もっと付けていいんじゃない?なんて、面白がる男性陣の声も上がっている。
「相変わらずこの部署はにぎやかだなぁ。」
「あはは、仲いいですから、うちのメンツは。」
在原は騒ぎの中心を見て、やっぱり蒼衣がいると、自然に全体が明るくなると感じながら、まぶしいものを見るようににっこりと笑った。
「この追い込みの状況で笑ってるのはこの部署くらいだぞ。」
確かにみんな集中し始めれば、時には水を打ったような静けさが訪れることもある。ただし、その沈黙に耐えられない人間が多いのだ。
その最たる例は細谷である。
勿論、真面目に仕事してるのだが、あまりに会話がなくなると、その反動で自分の手が空いた
「うちはそのくらいでちょうどいいんですよ。ほそやんがちょっと騒がしいですけど。」
だから、こういう息抜きのような会話ややり取りは、部署内ではオアシスのようになる。
「お前のところで起きてるトラブルあるんだろ?どうにかなりそうなのか?」
昨日から蒼衣にフォローしてもらっている件だ。これがクリアされれば、在原のチームは一気に
「一応蒼衣さんが
「まだサブでいける段階で
そういって、在原の背中をトンと軽く叩いて去っていった。
「えっ?」
在原は、
ただ、今は蒼衣の力を借りないと起きているトラブルの対処はできない。
いや、本当にそうなのか?蒼衣に頼りすぎてしまっているのではないか?はたまた、自分のフォローは足りているのか。
自分のせいで蒼衣を潰しかけているかもしれない…。部長の真意を汲み取りきれないままに、在原は、あの騒がしい輪の外で
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます